見え見えなイト
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というわけで本日2度目の更新です。
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ありがとうございます!
それから2日後の夜、盗賊に襲われるなんてアクシデントはなく、無事に王都の別邸についた。
王都にある別邸は5年間過ごした我が家と同じぐらい大きかった。
「ザルム様、既に夜食の準備は出来ております」
別邸に入るとザルムと似た顔の男が使用人を後ろに従え出迎えてくれた。
この別邸の管理をしているザルムの末の弟ザレアというらしい。
「御披露目会では王族が来られるということで王都からかなり離れたリーム家も参加の意を記しております。既に家を出ており到着予定日が今日を入れて3日後なので御披露目会は4日後を予定しております」
「なんとリーム家が!
くくっツキが回ってきたようだな」
リーム家はゾルート家とは違い、正真正銘の上流貴族で国にとって非常に重要な役割を与えられており、王族の次に権力のある家だ。
ちなみに、その役割とは俺がいるグラサ王国最大の敵国(現在は休戦中)との国境付近に領地を構え、敵国の監視と牽制をするというものだ。
非常に重要な拠点のためリーム家は国の騎士団並みの戦力を有しており、リーム家があるおかげでグラサ王国は敵国と拮抗出来ていると言われている。
そんなリーム家とパイプが出来ることにザルムは笑いが堪えられないようだ。
そんなザルムを内心笑いながら、その日は終わった。眠る前、ザレアとラルフがザルムに呼ばれていたが…まあ気にしても意味ないか。
翌日、朝食を食べる前にザルムが話しかけてきた。
「そうだジルア。
昨日ラルフと話したのだが魔力量の関係で魔法の修行は半日も出来ないということで今後は午後のみ行うことにした。朝はいつも通り1時間は勉強だが、その他は自由に過ごしていいぞ」
確かにラルフが来た初日の修行では魔力切れまで半日ぐらいしか持たなかった。
魔力切れの倦怠感を考えると午前中にやるのは無駄が多いし仕方ないか。それに街を探索してみたいから自由時間は有難い。
ちなみに勉強というのは貴族としてのマナーなんかを使用人から教わるのだが、自我が覚醒する頃には毎日1時間受けていたため既に体に染み付いているのでやる意味を感じられない。
「しかし御披露目会が終わるまでは外出禁止だからな」
「えっ」
どうでも良いことを考えてる最中、ザルムから発せられた言葉がやけにクリアに聞こえ思わず声が漏れてしまった。
にしても街の探索が出来ないのか、まあ仕方ない。別邸にある本でも読んで時間を潰すか。
「それと別邸には本があまりない。
ザレアには読書の趣味もないし、私も王都に来ることが少ないからな」
ザルムなんかに追い討ちをかけられてしまった。
そんな…ショックで声も出なかった。
魔力は体外に出さない限り消費はしないから魔力制御の修行は一応出来るけど、やれる事は限られてつまらない。
そうだ、元々ラルフは魔法だけじゃなく近接格闘についても指導してもらう契約だったはずだ。
午前中は近接格闘の修行に時間を使おう!
と、俺が思考するのをザルムは待っている。
いくら別邸に住み管理するザレアが本の趣味がないと言っても、ザルムの見栄っ張りな性格からして本が少ないというのは有り得ない。
何故なら本は娯楽の少ない、この世界では価値があり沢山の本を持つ事は一種のステータスともいえるからだ。
普段使わない王都の別邸だからこそ、本を集めていないわけがない。
つまり、自らの意思で近接格闘の修行をするよう糸を引いてるんだ。
まあ5歳児に近接格闘の修行なんて怪我が付き物のような事を強要して騎士などにバレた場合、貴族であるため罰せられたりはしないだろうがタダでさえ風当たりの強いゾルード家としては望まないところだろう。
だからこそ、俺自身で修行させるように意図している。
まあ俺としては強くなることは勇者召喚の阻止という目的を達成するには不可欠だから望むところだ。今は操り人形のようにザルムの意図通りに動いてやるよ。
ただ成長が阻害されるような激しいものは絶対にやらない。そこだけは譲らないからな。
「ラルフさん。確か近接格闘の修行は僕が大きくなってからと言っていましたが、今の僕でも出来る事はありますか?」
俺が質問をすると少し考えるフリをしたラルフ。しかし、既に答えは持ち合わせているはずだ。
「体の柔軟性を高めたり、体作りの基礎なんかは出来ますよ」
「では午前中はラルフさんが良いのであれば、それらを教えて貰いたいです」
「かしこまりました」
こうして俺は御披露目会までの間は午前中は1時間勉強と肉体的な修行を、午後は魔法の修行をして過ごした。
まだ体は5歳児なので夜更かしも無く適度な運動に、(魔法で)頭も使うという何だかんだ健康的な生活は満足いくものだった。
多分、明日も2話更新します。