表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/42

番外編:ジルアの過去

今回は番外編ジルア転生前の話です。

ここはジルアが異世界に転生する前にいた何もない空間、そこで絶世の美女は異世界で活動しているジルアを見ていた。

そして本来なら7歳になるまで、肉体に引っ張られるはずのジルアの精神が地球にいた頃と変わらないものになってきているのを見て驚愕していた。


「まさか5年で肉体年齢を精神が追い越すなんて、これでは地球のように…いえ、神たる私が希望を捨てては…はあっ無理かなあ」


美女が地球のことを思い出してため息と諦めの表情を浮かべた。

美女はジルア転生後、人々からジルアと関わった記憶と影響を地球から可能な限り取り除いていた。

そうしなければ、ジルア無き世界でもジルアの悪意により人類が僅か数年で滅亡してしまうからだ。


「何故、人間があのような事が出来るのだろうか?

そもそもアレは本当に人間?

暇を持て余して人間に化けた神や悪魔と言われた方がまだ納得できるわ」


美女は現実逃避をしつつ、ジルアの動向を監視し続ける。神の掟で手出しが出せないため、どうにか改心して欲しいと神でありながら神頼みをした。


では、ここでジルアが人間なのか疑問すら生まれる悪行の1つを紹介しよう。

雪が20cmほど降り積もった冬のある日。


「うーん流石に外は寒いな」


当時中学1年生のジルアは授業をサボり屋上にいた。

サボっても授業では欠席扱いにはならないし、授業の評価は満点が確定している。

何故なら先生の弱味を握っていたからだ。


「少し運動して暖を取りに行くか」


そう言うとジルアは屋上から飛び降りた。

中学校の屋上だ。高さはかなりある。

しかし雪のクッションと受け身でジルアの体は雪が付くだけで無傷だった。


「はあっなんで怪我1つしないんだろうな?

こんな漫画みたいな行動、普通怪我するし最悪死ぬだろ」


現実味のない現実にジルアは首を傾げるが、そんな考えは直ぐに消える。

考えたとこで無駄だからだ。


ジルアは雪の中、学校近くの橋に向かった。

学校が近いのにホームレスが橋の下に住み着いておりジルアのいた地区は相当治安が悪いと言える。


「おっラッキー。

うん、ちゃんと火もつくな」


ジルアは橋の近くでライターを拾い、橋の下に向かっていく。

ホームレス達の住処を燃やしにいくため…


「よっ元気か?」


ではなかった。


「おおボス今回はどのような案件で?」


ホームレス達がジルアの元に集まってくる。

それはジルアがホームレス達に対する立ち退き運動をアレコレ指示をして阻止してやったりと恩があるからだ。

まあ立ち退き運動を主導していたのもジルアであり、早い話がマッチポンプで、ジルアは配下を増やしたのである。


ジルアは集まってきたホームレス達に見えるようにライターを掲げて近くにあった段ボールハウスに近づき…


「今日はこうやって」


段ボールハウスを躊躇なく燃やした。


「雪で湿ってるはずなのに良く火がつくな?しかも中々の火の勢いだ。まあ暖かいからいいか」


「ああ!わしの家があ!?

何してるんですかボス!?」


小声でジルアが疑問を口にしたが、段ボールハウスの持ち主の声に掻き消された。


「今日はこんな感じに学校の近くを暖かくして欲しいんだ。それと家を焼いた詫びに金をやる」


そう言ってジルは家を焼かれたホームレスに1万円を見せた。


「おお!流石ボス!」


ホームレスが手を伸ばしたところで金をホームレスから遠ざける。


「誰が全額やると言った?これは全員分のライターと燃えやすくするための灯油を買うための資金だ。お前への詫びはその釣り銭だ」


「了解ですボス!」


ライターの価格と灯油の価格を引いてもホームレスにとっては大金だ。

そいつは喜んで1万円を受け取った。

持ち逃げされぬよう仲間と共にライターなどを買いに行かせると、嬉々として走り出した。


「じゃあ俺は学校に戻るから頼んだよ?」


そう言い去りジルアは学校へ歩みを進めた。


「はあっホームレスとは言え、なんでこんなガキの言う事を聞くんだろ?犯罪行為だぞ?

立ち退き妨害の恩人と、たまに金をくれる金ヅルだとしてもガキなんだから痛めつけて金を搾り取れるだけ搾り取ればいいのにさ」


ジルアは心底不思議そうに独り言を話す。

そして学校に着くとジルアは全てを諦めた顔をして

「まあ仕方ないか」と呟いた。


その日、中学校の周りで火災がいくつも発生した。ホームレス達は数人捕まったがジルアに警察の目が行くことはなかった。

ホームレス達の狂言と聞いて貰えなかったのだろうか。それとも、既に警察内に何人かいる信者達の働きのおかげだろうか。それは分からない。


この事が原因でホームレス達への立ち退きの圧力が強まったが僅か数日で事態は落ち着いた。元々声が大きくジルアに扇動される前から活動していた者達が偶然火災により死んでしまったためである。

また火災の後処理をジルアがホームレス達にさせたからだった。


ちなみに後処理をさせた理由は臭くて屋上からの景観が悪いからというしょうもないものだ。


しかし民衆は騙され一部のホームレスだけが悪く、後処理をしているホームレス達には好印象を抱いた。

そいつらも実行犯だというのに。


「本当にこの世界は狂ってる」


ジルアはニュースを見てそう呟いた。


言っておくが、これは序の口に過ぎない。

なぜならジルアが本格的に活動したのは高校に入ってからだ。世界人口を10分の1にしたパンデミックや史上最悪の同時多発テロも高1の時にやってるしね。

ん?詳しく聞きたいかい?

それはまた機会がある時に話そう。

今回はこれで終わりだ。

引き続きジルアの活動を楽しもうじゃないか。

ちなみにジルアが転生前に間接的に死へ追いやった人数は約1億人、日本人口並み…という設定です。

ピタゴラスイッチ的に数年後、世界人口を大幅に減らす計画の最中で転生されたため、まだ1億人となります。

果たして、ここまで悪に振り切れてるヤツが主人公でいいのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こういう主人公大好物です!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ