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初めての魔法

服屋で着せ替え人形の如く様々な服を着せられ結局無難な黒を基調としたスーツに家紋の刺繍などをふんだんに入れ豪華にする形で落ち着いた。


家に着くとザルムが笑顔で出迎えていた。


「おお!待っていたぞジルア!

お前のステータスとスキルについて話したところ王自ら御披露目会に参加する意思を示された!王都にある別邸で御披露目会をやるぞ!明後日には出発するぞ!」


この領地から王都は以前確認したように馬車で約3日ほど離れており文明が進んでいないため電話はない。

それなのに俺が服屋にいっている数時間で王都と連絡を取れたのは過去の勇者の仲間が発明した魔力さえあれば誰でも使える魔道具を使ったに違いない。


しかし、驚いたな。

こいつがアノ魔道具を躊躇なく使うとは…

勇者の仲間が発明した魔道具の連絡先は王都の騎士団に固定されており、基本的に魔物が大量発生して領地が危機的状況で応援を要請するためだけに使われる。

それを王への伝言、それも子供の御披露目会へのお誘いなんて理由で使えば最悪、罪として罰せられる内容だ。


それを押し通して使った。王族とのパイプという利益だけのためにだ。

臆病なザルムには不可能な選択肢に思えるが…


もしかして、そこまで頭が回らなかったのか?今にも小躍りしそうなザルムだ。その可能性が高い。やはり評価を少し下げようかな?


「それとジルアの魔力量を更に増やし、魔法の扱いを覚えさせるために元冒険者を雇ったぞ」


「ありがとうございます」


むっ、俺があとで頼もうとしていたことを先読みして既に行動していただと?

評価は保留だな。

まあ保留といっても結局、無能なのは変わらない。無能から脳なしにならなかっただけだ。


「冒険者ランクの最高位Sランクだった者だ。年老いてはいるがSランクの力は衰えておらず、王都の騎士団から魔法の指南役を打診されている程だ」


ザルムの態度から王都の騎士団から指南役を打診される程の人というのは見栄のための嘘ではなさそうだ。しかし、それはそれで不安になる。そんな凄い人が何で没落しそうな上流貴族の指南役をするんだ?


まあ気にしたところで無意味か。

ザルムのことだ。もしかしたら弱みでも握っているのかもしれんな。

だとしたら評価を上げて無能から低脳扱いをしてやろう。


「早速明日から来てもらう事になっている。

また王都への旅路も護衛を兼ねて同行することとなった。馬車の中でも魔法の勉強に励むのだぞ?」


「わかりました」


そういえば王都までは馬車で約3日かかるんだっけ…何もなければ良いんだが。と、フラグを立ててみるが回収されるだろうか?

前の世界でもフラグはそれなりに回収されたが、ここではどうだろう。


その後、特にする事もなく魔力制御の修行と読書で時間を潰し一日を過ごした。

明日の修行が早く終われば一度この足で街を見てみたいな。


そして翌日。

俺はカンフー映画などの師匠のような風貌のおじいさんと裏庭で対面していた。

この人が元Sランク冒険者で、俺の指南役。

確かに強そうだ。

子供相手だからか隠そうとしてるが、それでも前の世界で対峙したマフィアのボスが赤ん坊に見えるほどの威圧感がある。


「初めましてジルア様。

私はラルフと申します。僭越ながら魔法や戦闘技術の指導をさせていただきます。

ただ身体がもう少し出来上がるまで成長を阻害しかねない戦闘技術の指導は控えさせて貰います」


子供の内に剣術の修行とかしてるラノベとかあったけど、絶対逆効果だと思うし戦闘に関する修行が未だ先なのは納得だな。


「よろしくお願いしますラルフさん。

いきなり失礼ですが質問をいいですか?」


「ええ、どうぞ」


「王都の騎士団からも指南役を打診されていたんですよね?それで何故、ゾルート家を選ばれたのですか?」


ラルフは少しだけ目を大きく開き驚きの表情を一瞬だけ作った。恐らく想定していた質問は戦闘技術の指導を早速して欲しいとか、そんなものを言い出すと思っていたのだろう。

絵本の勇者に憧れだす5歳の子の質問だ。

戦闘技術を磨きたいと言い出すと思うのも道理だが、俺は前世の年齢も合わせれば成人なのでそんなことは言い出さない。


ラルフは顔を少しうつむかせながら口を開いた。


「…その話はジルア様が大人になられた時に教えましょう」


何か理由がありそうだな。

まあ自分で聞いておきながらどうかと思うが、理由なんて興味ないからテキトーに流すか。


「わかりました」


「では、最初は魔力制御の腕前を見たいので魔力で前方に私の像を形作ってください」


「はい」


言われた通り魔力を前方に出しラルフの像を形作る。毎日魔力制御の修行は行っているので、これくらいは容易い。

だが、まるで水の中にいるような違和感を感じた。


「なるほど、流石ですね」


魔力は無色透明で基本的に他者が知覚するには実際に魔力を触れるか、自身の魔力を薄く広げて感じ取るぐらいしか方法はない。

恐らく感じた違和感はラルフの薄く広げた魔力だろう。

そうしないと魔力がキチンと制御出来ているか判断出来ないからな。


「では先程、何か違和感などを感じませんでしたか?」


俺は先程感じた違和感を俺の予想を含め答えた。


「正解です。思考力Cは伊達じゃなさそうですね。では魔法の実践を始めましょうか」


そう言ってラルフは右手を空に向けた。


「魔法は基本的に属性を与えた魔力を留め」


緑色の球がラルフの手の前に出来た。


「形を形成し」


緑色の球が小さな槍の形に変わった。


「相手に向かって解き放つ」


槍は上空に飛んでいった。


「また途中で方向を変えたり、爆発させるなど指向性と威力を高めたり出来ます」


槍は空中で様々な動きを見せた後に大きな風を巻き起こし爆発した。


「おぉ綺麗だ」


初めて見た魔法に素直に感嘆の声をあげた。


「では魔力に属性を留め形を形成するところまでやって見ましょうか」


「はい!」


俺は未知の力を手に入れる喜びを隠せず、見た目相応の返事をしたのだった。

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