学園七不思議
今までと少し毛色の違う、ほのぼのとした日常回が少しだけ続きます。
読み直したらゼロの存在が消えてたので、少し修正しました。
学園での生活も早いもので、もう1週間になる。
とはいえ、ミナとルナの2人はクラスや学年の垣根を超えて親交を持とうとするものが後をたたないため、学園でコミュニケーションを取ることは少ない。
ちなみにゼロも王族とコネを持ちたいのか、2人に近付いている。俺のことは手も足も出せずに負けたからか避けているようだ。
2人に関しては学園に通ってからも手紙でコミュニケーションを取ってるから大丈夫だ。
さて、10才のクソガキ共と同じ空間というのは中々にストレスの溜まるもの…と、思っていた時期もあったが、腐っても貴族クラス。
思考力が高く、地球の高校生ぐらいの頭脳を持っている者がミナとルナを除き5人いて、その5人と休憩時間なんかは過ごしているから、それほどストレスは溜まっていない。
その中には、俺の婚約者であるリリアと、その兄であるグリアもいる。
家格的に王族の次に来るリリアとグリアが、このグループのトップに立ち、主に話題を振ったりしている。
ちなみに残りの3人は中流貴族の男の子と女の子が1人ずつとライアだ。
この日も、いつものようにグリアが話題を振ってきた。
「ジルア君。そういえば、学園の七不思議を知っているかい?」
「七不思議というと、初代勇者様がこの学園を作られた時からある噂話のことですか?」
「あー知ってる、誰もいない音楽室に響き渡るピアノの音とか、学園の地下には開かずの扉があってそこには魔物が無数にいるとか?
でも、それって初代勇者様の嘘でしょ?
思考力の低い分別のつかない子が迷子になったり、夜中に学園へ来ないようにするための」
俺の言葉に中流貴族の子が続けた。
その言葉を聞き、グリアは頷き神妙な顔つきで口を開いた。
「うん、ほとんどの七不思議がそうだと言われているね…けど、実はその内の1つ、薬学室の幽霊はどうやら実在する話らしいんだ」
ゴクリっと誰かが唾を飲んだ。
「七不思議の1つ、薬学室の幽霊。
薬学室には勇者様が現れる前に存在した魔女が残した薬が保管されているんだ。
ただ、その薬は酷く非人道的な方法で作成されていてね。材料には小さな女の子の眼球が使われていたとか…」
一呼吸置いてグリアは続けた。
「その女の子は今も薬に溶けてなくなってしまった自分の眼球を探して深夜の薬学室を彷徨っていて、深夜の薬学室に現れた人の眼球を自分のものだと思い抉り取ってしまうんだ!」
グリアが迫真の演技で声を荒げた。
「「「「……」」」」
「あれ?みんなビックリして固まっちゃった?」
「いやいや、それこそ薬学室という危険な薬もあるような部屋に間違って入って荒らされないようのするための嘘でしょ」
リリアの言葉にみんな頷く。
「でも、実際に深夜の薬学室へ行って失明した人が2年上の先輩にいるよ?」
「それは何か危険な薬剤が目に入ってしまったのでは?」
中流貴族の女の子が常識的な発言をする。
「いやいや、この七不思議は本物だって!
僕みたんだ!薬学室にゴーグルで完全に目をガードしたまま入っていく先生をね!」
「「「「……」」」」
ドヤ顔のグリアに対し、俺達は再び言葉が出なかった。
「その目は疑ってるね!じゃあさ、今日の夜七不思議を確認しにいこうよ!」
「はぁ、馬鹿らしい。
お願いだから、その話は私達以外に話しちゃダメよ。それが拡散されて、グリアが噂の発信源になったら恥だから、ねっ?ライア?」
「あ、えと、あの、は、はいリリア様」
「ん?どうかした?」
明らかに挙動不審なライアに全員が首を傾げた。
「どうした?体調が悪いのか?」
森での生活で、あえて毒を与えて体調不良の状態でもベストなパフォーマンスが出来るようにしてきたから明らかにおかしい。
額に手をやるが、特に熱があるわけでは無さそうだ、むしろ体温は低いか?
「い、いえ大丈夫です!ジルア様!」
「ふむ、そうか?」
「ライアも無事そうだし話を戻すよ?
今日、一緒に薬学室に行く勇気がある人は手を上げて」
誰も手が上がらなかった。
「そんな無駄なことをするぐらいなら家で寝るわ」
突き放すようにリリアが言うと、グリアはぐぬぬと拳を握った。
「じゃあ、いいよ!僕1人で行くから!」
「勝手にしたら?頭がよくても根本的なところでガキなんだから困るわ…」
リリアはそのままグリアを無視して中流貴族の女の子とライアと別の話を始めた。
グリアのことが可哀想になったのだろう、中流貴族の男の子は手を合わせながら口を開いた。
「今日は家族と外食の予定があるから無理なんだ。ごめんね?」
「そっか大丈夫だよ…ジルア君は?」
ふむ、薬学室の幽霊とやらは興味ないが薬学室の薬には興味があるな。
「そうですね。明日は休みだし、特に予定もないから大丈夫ですよ」
「そっか!じゃあ、一旦家に帰ってて!
準備が出来たら家に呼びに行くよ!」
「わかりました。では、待ってますね」
「うん。夜遅くになるから仮眠しておいた方がいいかもね!」
中流貴族の2人の名前は未だ考えてないです。
子供ゆえにしがらみの少ない学園では、ほとんどの生徒が貴族階級を無視してタメ口を使ったりしています。




