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王様との謁見前

ザルムが国王へレジスタンス討伐の報告から帰ってきた数日後。俺は馬車に乗っていた。

そう、国王と謁見するためだ。

偶にミナから誘われて王城へは何度か遊びに行き、その際国王と話す機会もあったから特に肩肘張らずに済…まなかった。

今回は色々と試したい事がある。

下手をしたら俺の首は飛ぶ。


まあ、この話は置いておこう。

特に問題はない。

問題は道中が暇すぎることだ。

今回、王都に向かっているのは俺と護衛役の私兵2人だけ。


ラルフさえいれば、馬車の中でも高度な修行が出来るのに…熱で寝込むなんて、情け無い。


「はあっ」


「ジルア様ため息は幸せを逃すといいますよ」


「そうっすよジルア様!

それにその歳で国王様との謁見なんて多分史上初なんじゃないっすか?」


俺のため息に反応した護衛2人。

1人は5歳の頃、父から借りている状態のスート。もう1人は先日の褒賞として与えられたジークという新人だ。

新人ながら腕は良い。

言葉遣いが軽いところも個人的には高得点だ。


「こらジーク!

ジルア様に何て口の聞き方だ!」


「すみませんスート先輩。

ジルア様も申し訳ございません」


「大丈夫ですよ。

それにジークのその口調も新鮮で親しみやすいので無理に直す必要もないと思うよ」


家での敬語もどきばかりの生活は何だか気持ち悪い。過去の勇者達が広めたんだろうが、知識が曖昧だったのか中途半端な敬語となっているのが分かるだろう。


「本当っすか!流石ジルア様!

柔軟な思考をしていらっしゃる!」


「ジルア様よろしいのですか?」


「うん、毎日敬語もどきばかりだと疲れるからね。スートも砕けていいよ?

僕も君達といる時だけは敬語もどきをやめるからさ」


「いえ、主人にそのようなこと出来ません」


「主人って父様だよね?」


スートは借りているだけだ。


「3年前から私の主人はジルア様です」


「あっそれってザルム様に対する謀反宣言すか?」


「なんでそうなる!?」


「雇用関係上はザルム様の私兵で主人はザルム様ですからね」


「んぐ!?」


「ふふっこれは一本取られたね」


意外にジークは頭が切れるのかもしれないな。旅も面白いものになりそうだ。

ちなみに使用人も一緒なのだが、無言&無表情だ。


5日後、以前のように盗賊に襲われたりはせず無事に王都の別邸に到着し、夜になっていたため夕食と風呂に入り、そのまま眠った。


そして翌日、昼食を食べ終わり魔力制御の修行をしていると騎士団の副団長が馬車でやってきた。


「ジルア様お久しぶりです。

では国王様の待つ王城まで、お送ります」


副団長は王城へ遊びに行くたびに馬車で迎えに来てくれるため、結構仲良くなった。

というより、無意識化で俺の事を一番に考えるように洗脳済みだ。

洗脳方法は魔法ではなく、会話などで地道にしたよ。

優先順位を変えさせるだけだから簡単だ。


「最近はミナ第一王女とルナ第二王女の2人に自衛のため訓練をしているのですがミナ第一王女は年相応、いえ騎士としてやっていけるほどの才能を感じますね」


「ミナ様は昔からヤンチャですからね。

ルナ様の方は性格からして、そもそも訓練をするのに一苦労といったとこでしょうか?」


「ジルア様の言う通りです。

魔力量からしてルナ第二王女にも才能があるのは間違いないんですが、生まれた頃から側にいる私にすら未だ距離がありますからね」


「大変ですね」


「ですが最近は多少コミュニケーションが円滑になってきています。それもジルア様のおかげですね」


「いや僕は手紙のやり取りぐらいしかやってないですしミナ様のおかげじゃないですか?」


ミナはルナの事を振り回して人に慣れさせようとしてるからな。


「確かにミナ第一王女の存在も大きいですが、分かりやすく変わったのはジルア様が現れてからです」


アレで分かりやすく変わったって…未だにミナ以外とマトモなコミュニケーションを取れてないだろ?どんだけ重症なんだ?特に人に襲われた過去があるとかではないのにさ。


「それで、どちらが好みなのですか?」


「はい?」


「言葉通りの意味です。

どちらの王女が好みですか?」


真面目な顔をして副団長が質問してきた。

質問の内容はある意味予想通りであった。

全く面倒なものだ。


「それは未だ8歳の子供にするような話でもないでしょう。まあ、この非公式の場で聞かれたとなると国王様の謁見で何をされるか事前に知れて多少ですが気は楽になりました。

一応感謝しておきます」


本来、このような話は漏らすと罰があるが話した。俺を一番に考えての行動だ。洗脳は上手くいってるようだな。


「話が早くて助かります。

まあ今回は親であるザルム様がいないので無理矢理に決められることはないと思うので安心してください」


「ははっ父様が聞いたら間違いなく国王様がするであろう提案に乗るので時間の問題ですよ」


「ふふっそうですね。

さて、王城へ着きました。

謁見の間まで案内します」

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