勇者召喚と想像通りな転生
長い間、放置しており申し訳ありません。
色々と環境が激変して…
多少は安定してきたので、ようやく続きを書いていこうと思います。
暫くは若干の修正をしつつ、忘れてしまった内容を思い出していきます。
「ははっまじかよ」
真っ白な空間に俺は絶世の美女と対面していた。まさかの転生フラグに俺は笑った。
多少ズレはあるものの予定通りな結末に。
話は十数分前に巻き戻る。
「おらっ!痛えか?あっ?」
「なんか言えや!」
「ひぐっうぐ!」
金髪と坊主頭の2人に殴る蹴るの暴行を受け、むせび泣いている黒髪の男。
それが俺……ではない。
かといって、金髪と坊主頭でもない。
「はあ、つまんね。ボスこんな事して何になるんですか?こんな反応も微妙な弱い者イジメなんてつまらないですよ」
金髪が暴行現場を片目にネット小説を読む男、俺に声をかけてきた。
「だから前から言ってるだろ。
コイツの今までの経歴とかを考えると絶対勇者召喚かチート転生が行われるんだぞ?そんな美味しい展開に巻き込まれたいって普通思うだろ?」
それにそろそろのはずなんだ。
俺の予想が正しければ今日、あと数分で条件が揃う。
「何回も聞きましたが、そんなの作り物の世界でしかあり得ませんよ」
「それなら、それでいいんだよ。
俺は卒業前に、この痛い考えが作り物だけの存在だと実感したいだけなんだから」
「やっぱ、ボスの考えはわかんねぇや」
「別に理由なんていいじゃねえか!こいつ学年一可愛いマミちゃんと家が隣ってだけで良い雰囲気なのが気に入らなかったからよ!」
そういいながら坊主頭による暴行は加速していった。
ちらりと時計を確認する。
3,2,1…
「貴方達!何やってるの!
すぐに警察に連絡しなきゃ!」
うん、タイミングバッチリ。
後ろから大きな声が聞こえた。
その声の持ち主である少女は暴行を受け続け倒れている男に駆け寄りカバンから携帯を探し始めた。
「げっ!マミちゃん!」
「良い機会じゃないか。
携帯を奪って好きなだけ遊ぼうぜ。
サンドバックより俺のストレス発散にもなる」
「…それもそうだな」
金髪の言葉に坊主頭がニヤニヤした顔で頷いた瞬間だった。
倒れた男と少女を中心に魔法陣が浮かび上がった。
「なるほど、やっぱりヒロインとセットで絶体絶命のピンチというのが条件だったか。これまたテンプレだな」
そう言いながら俺は魔法陣の中心に向かって走り、中心に辿り着くと魔法陣が一際大きく輝き俺は意識を手放した。
走る際、金髪と坊主頭を見たが奴らはタダ目の前の現象に驚き固まっていた。勿体ない。
そして目を覚ますと現在の状況だ。
「貴方は最低のクズですね」
絶世の美女、おそらく神的存在である彼女の口から放たれた最初の言葉だった。その業界の人だったら泣いて喜び金を出すだろうが俺は業界の人じゃないから心に響かない。
「自分の欲のためだけに、たくさんの人を犠牲にして…地球だけじゃなく他の世界にまで手を出そうとするなんて」
「そんな事よりどうするの?
俺は勇者召喚に巻き込まれて死んだの?
その後はどうなる?転生?
それともそのまま消え去るの?」
このまま存在が消えてしまっても、それはそれでいい。だって…
「生に執着しないんですね」
「あれ?心とか読めてわかるんじゃないの?
俺の考えとか」
「貴方の思考なんて知りたくないですからね。どうせ気持ちの良いものじゃないですし」
ふーん。神ともなれば俺の考えも理解してくれると思ったんだけど仕方ないか。
どうせ、誰も俺を理解出来やしない。
「まあいいや。
というか早く質問に答えて?
俺は転生するの?消えるの?
それとも勇者召喚に巻き込まれてそのままの状態で異世界転移?」
「…貴方は転生します。
本当は絶対に嫌なんですが勇者召喚に巻き込まれ死亡者が出た場合、その者を勇者と同世代になるよう過去に転生させなければならないという掟があるので」
「なんで過去に転生させるの?
勇者召喚の邪魔したらタイムパラドックスが起きて元の世界に戻る事が出来るとか?」
巻き込まれた人への救済処置的な?
「いいえ違います。
勇者召喚の邪魔は絶対に不可能なので」
絶対に不可能ねぇ。
「へぇ、じゃあ何で?」
「理由はありません。掟ですから。
掟でなければ、貴方の転生なんか絶対に阻止します。
…では転生の前に転生先の世界について少し説明させていただきます。
貴方の想像通りでしょうが、文化は中世並みで魔法と魔物が存在し科学はあまり発達していない世界です。
そこではステータスが存在します。
そして人は皆、最低でも1つ最高で5つのスキルを持っています」
ステータスにスキルか、これもテンプレだな。スキルの数が限られてるのは微妙だが。
「転生の特典として普通ならスキル…チートを1つ自由に選択させ与えるのですが、それは掟ではないので貴方には与えません」
絶世の美女は良い笑顔で言い放った。
その笑顔に柄にもなくドキッとしてしまった。
あぁ、この顔を今すぐにでも歪ませたい。
腕は動く、足も動く、この距離、神の力的なもので防がれる可能性もあるが、それを発動するために思考が必要なのであれば、その僅かな隙間で余裕でマウントを取れるだろう。
…今やるか?いや、コレよりも先に勇者だな。
美女を嬲る様々な方法を考えるのを一旦やめ、美女の話に耳を傾ける。
「貴方の生まれやスキルなどは私の補正なしで純粋な魂の質や生まれにより決定しますので悪しからず。
そして約7歳になるまでは精神年齢は体に引き摺られるようになっているので赤ちゃんプレイを恥じる事はないので安心を。
では掟にある最低限の説明もしたので早速転生させますね」
絶世の美女が手を俺の顔に向けると意識が遠のいていった。
「…願わくば、愛に触れ改心を」
遠のいていく意識の中、絶世の美女がポツリと漏らした言葉は上手く聞き取れなかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!