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必要なものは

「これで終わりっと」

「一応ヒールかけとくぞ」

「ありがとー」


 5体のゴブリンをなんなく倒した凛花にヒールをかけておく。3層には到達したが探索はなかなか進まず、サービス開始から一週間経ったがまだ最初のボスどころか3層止まりだ。

 俺達以外のプレイヤーはまだ2層を突破できていないので、最前線を独走できているのは良いことだが、そろそろ追い付かれてもおかしくはない。

 こうして停滞しているのも、戦闘が殆ど凛花任せだということが大きいだろう。1層はまだチュートリアルといった感じでモンスターが群れを成していることも少なく、一戦一戦休憩を取ることもできた。だが、2層からはモンスターとの遭遇率がかなり上がり、さらにモンスターが群れでいることが多くなったので、一人では対処しきれずにぎりぎりの戦いが多くなった。

 凛花のプレイヤースキルのおかげで死に戻りこそ体験していないが、探索の効率はかなり悪いだろう。他のパーティーが魔法職を殆ど入れていないので、回復をアイテム任せにしている分、金策をする必要があって探索スピードが落ちているのが救いだ。


 初めて魔法を使った時の俺の懸念が当たり、現状魔法職は不遇とされている。時間のかかる詠唱、放っても当たらない魔法、そして連発すると切れるMP。魔法職は連れて行ってもらえたとしても、戦闘には参加せずに、回復や支援魔法を離れた位置で寄ってきた味方に使うだけというのが中継で何度か映っていた。

 魔法職が不遇となっているのは悲しいことだが、そのおかげで他のパーティーの攻略速度落ちているのならば、俺がどうにかすることは今のところないだろう。全ては慣れと読みだから、自分で頑張って練習してくれ。


「一旦引くぞ」

「はーい。ごめんね」

「今日もアイテムは結構手に入ったから問題ない。最後まで気を抜くな」


 ゲームと言えど、ボタンをカチカチと押すだけではないので、戦闘をぶっ続けでやるのはかなりの疲労がある。こまめに休憩を取っていても二時間もダンジョンにいれば凛花の集中力は落ち、被弾も多くなってきたので入ってきたポートまで戻ってダンジョンから脱出する。


「あー……今日もポート見つからなかったー……」

「まあ、まだ他のパーティーは2層で詰まっている。戦闘の様子を見ても、3層に来てもすぐに抜かされるなんてことはないだろう」

「戦闘技術に関しては負けるつもりはないよ。それこそ、ツキヤ……夏樹が本気で私に勝とうと努力しない限りね」


 凛花相手に勝てるほど俺のスペックは高くないんだがな。昔は負けたくないと努力したが、今ではすっかりぐーたらだ。十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人とも言うが、俺は十五までもったか怪しいな。凛花はいつまで天才でいるのやら。


 ギルドで他のパーティーの中継を見る。今は2パーティーが映し出されていて、両方とも2層を探索しているようだ。

 両パーティーとも大きな盾を持った戦士職が二人で敵の攻撃を受け、そこに軽戦士が二人で攻撃を加えている。

 片方のパーティーはアーチャーを採用し遠距離からも攻撃を加え、狩り効率を上げ敵を釣るのにも貢献している。ただ、混戦になると弓矢は味方を貫きかねないので攻撃には参加できていないようだ。

 もう片方は回復役を採用している。あれは白魔導士だろうか。盾役の後ろでヘイトを取らないように背中に触れるようにしてヒールを使っている。味方に近づけば敵への誤ヒールも無いし、HPポーションの節約になるから盾役がしっかりしていれば悪くない戦法だろう。ただ、全く攻撃には参加できていないので、もう一つのパーティーよりも殲滅速度は遅い。

 それでも、人数がいるから、俺達よりも殲滅速度は速い。支援魔法と回復、そして凛花のプレイヤースキルのおかげで半分以下ということはなさそうだが。


「やっぱり、パーティーメンバーは増やした方がいいか」

「そうだね。二人でも無理ではないけれど、時間がかかっちゃう。ツキヤも自由に動けないのもきついもんね」

「ヒールと支援魔法を連発するとヘイトがきついからな。ヘイトを取ってくれるか、自由に動ければタゲを取っても良いのだが、タゲを取ると魔法に集中はできないしな」

「そう考えると、タンクとヒーラーかな。遠距離も使える人がいればいいけど、今は遠距離を使える人はすくないだろうね」


 タンクは人気職だから上手い人はすぐに勧誘を受けているようだから、見つけられるかは運だろう。ヒーラーはまだキャラを作り直さずに残ってくれていたらいいが。まあ、まだ一週間だから残ってくれているだろう。


「じゃあ、パーティーメンバーを探そうか」

「当てはあるのか?」

「無いからとりあえず街をブラブラと歩こう!」

「ここでモニターを見ていても進まないからな。どうせすぐにはダンジョンに行かないし、取引ボードとアイテム補充のついでに街をぶらつくか」


 結局パーティーメンバーなんて適当に声をかけるか、たまたま仲良くなった人と組むかってところだから人のいるところを歩くのはいいだろう。

 ギルドを出てとりあえず取引ボードに向かう。用があるところは先に済ませておくのが無難だろう。街の中は稼げるようになったプレイヤーが増えてきたからか、装備をしたまま歩いているプレイヤーが増えた。凛花はダンジョンから出ると装備を外すが、わざわざ外す必要もないからそのままの人が多い。

 まだオシャレ装備のような物をしている人はいないので、生産系の進捗は良くないのだろう。生産系は一から作るなんてことはないが、ボタン一つでできるなんてほど楽ではないようで諦めたと言っている人を見かけたことがある。さらに、いくつかのアイテムのレシピは公開されているが、大半は自分で考えて試さないといけないので、かなり大変なようだ。


「皆結構良い装備してるね。私も装備新しくしようかな」

「金は貯まっているから良い装備があったら買えば良い。レンヤの被ダメージが減れば戦闘が安定するのは間違いないからな」

「じゃあ、あとで防具も見に行こうね」

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