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次は

 全員揃ったのでダンジョン探索に行き、時間をみて早めに戻ってプラバスタのハイオーク戦を見に行く。

 ギルドに戻ると、まだ一時間前だが人は多い。二日続けてのボス戦。それに、昨日もポートを見つけて少ししか経たずに挑戦したから見逃した人も多いのだろう。長期戦になっても良いように飲み物や食べ物を持って準備万端といった人が何人もいる。


「まとまって座れるところあるかな?」


 キョロキョロと見渡し、空いていそうな場所に近づいては場所が足りなかったり荷物が置かれていて凛花が肩を落とす。


「あそこ空いてるみたいです!」

「急いで場所取りだ!」


 荷物が置かれていたが戻ってきた人数的に、まだ隣に座れそうな場所をナナカが発見したので、そこに凛花が走り出す。


「隣いいですかー?」

「大丈夫だよ。ん? 君たちも見に来たのかい?」

「オルムさんでしたか! 見るのも楽しいですからね」

「それは同感だ。人のプレイも参考になるからね。盗めるところは盗まないと」


 アルバの一軍パーティーからオルムとサディの二人が来ていた。なぜか俺がサディの横に座ることになり、反対側にミナトが座る。

 ちょっと気まずいなと様子をうかがうが、二人とも気にしていないのかお菓子を食べているので肩の力を抜く。小さく息を吐きだした俺に気がついたのか、ミナトがこちらを見る。


「気にしなくていい。あれはお礼」


 気にしなくていいと言われて、簡単に忘れられることなら悩みはしないんだよな。だが、本人が気にするなと言っているのに態度に出すのは悪いか。


「それにあんまり気にしてると彼女に怒られる」

「彼女? いや、付き合ってないから」

「そうなの。仲良いから付き合ってると思ってた」

「家が隣だからな。家族や親戚みたいなもんだよ」


 そもそも凛花に恋愛感情が存在しているのだろうか。基本的に興味がある人か、それ以外でしか見ていないような気がする。周りの話に混ざって誰々は格好いいとか話しているのに同調している姿は見たことがあるが、凛花が自分からそういう話をしたことはない。

 告白とかもされているが毎回断っている。凛花がある程度興味のある相手から告白でもされたらどうなるかはわからないが、今のところそんな相手もいなさそうだしな。


 モニターが切り替わり14層を移動中のプラバスタが映る。まだポートに向かっている途中だとは言え、集まっている皆の視線が一気にモニターに集まった。少しギルド内が静かになり、まだ移動中だということがわかると再び騒がしくなる。


「プラバスタは勝てると思うかい?」

「勝てるだろう。デュークさんの実力はわかっているだろ? あの人ならハイオークのタゲを一人で受けながらヘイト管理くらいならできるだろう」


 オルムとデュークさんは知り合いらしいから実力に関しては知っているだろう。それに、トップクランともなれば情報収集役だったりもいるらしいので、プラバスタのメンバーの実力もデータとしてあるはずだ。


「そうだろうね。デュークなら問題なく対応してくれるだろう」


 俺の意見を聞きたかったというわけでもなさそうだし、こっちがしっかり分析しているのか確認したのだろう。


「これで突破されたら追い付かれることになるけれど、大丈夫そうかい?」

「20層までは良い勝負ができるだろう。そっちはどうなんだ?」

「僕たちも20層までには追い付けそうかな。今日13層には到達したし、今も仲間が探索してくれているから明日には14層にいけると思うよ」


 こういう時代わりのメンバーがいるのは強いな。ポートさえ見つけることができれば、そこまで行くのは現状の階層なら簡単だ。アルバは現在二パーティーが10層を突破していて両方とも同じ階層にいるので便利だろう。ここから追い上げてくるとなれば、二軍パーティーは一旦置いていかないと20層で追い付くのは難しいだろうが。


 話をしているとプラバスタがポートに入り、ハイオーク戦が始まった。最初はリピドがタゲを取りデュークさんは攻撃に回る。後半戦に向けての体力温存だろう。

 三人で攻撃しているが、凛花とミナト二人でのダメージと同じ程度しかダメージを与えられていない。それだけ、魔法のダメージが大きいということだが、ここよりも後半戦での影響の方が大きくなる。


「スキル回しは上手いけど、まだ本気ではなさそうね」

「デュークのことかい? 彼ならタンクだから仕方ないよ」

「あれじゃない。あっちの剣士」


 サディがさす先にいるのはトライだ。確かにトライのスキル回しは上手いが、いつも通りのプレイだと思う。普段から何か隠しているのか、それともサディの勘違いか。


「もしかしたら隠しているのかもね。この前デュークと話した時に、向こうも次のイベントの情報をつかんでいるようだったから」

「だったら楽しみ」

「もし、あれで本気でないとすれば相当の実力者だね」

「それでも、私の方が上だもん」


 スキル回しによる戦い方という点では、火力と速さという違いはあれど、同じようなスタイルと言ってもいい。速さで俺と対抗しているように、スキル回しでトライには負けたくないということか。

 それにしても、次のイベントか。かなりの重要情報だが、わざわざ口にしたということはそれほど隠す意味もないものなのか、すでにある程度知れ渡っていることなのか。


「掲示板でリークがあった。本当かはわからないし、先に新アイテムの発表があったからすぐに流れた」

「そういうことか。またあとで聞かせてくれ」


 掲示板であった情報なら隠す必要もないか。それが真実だと確証があるようなのは他にも何かの情報を持っているからだろうが、それは聞いても教えてくれないだろう。まあ、聞かなくてもイベントがあるということさえわかれば良いので今はこれだけでいい。ミナトとナナカに聞けば、リークのあった内容くらいならわかるだろう。


「これはもう勝てそうだね」


 オルムの声でモニターに目をやるとすでにヤドザミの処理に入っていた。デュークさんが一人でハイオークを受け持ち、残り四人がヤドザミの処理をすることで少しでも処理時間を短縮する戦法か。デュークさんの実力と信頼があるからこその行動だろう。


「僕たちは先に失礼するよ。見たいものは見れたから、次の準備をしないといけないからね」

「来週楽しみにしてる」


 また面倒なことがありそうだから、俺としては全然楽しみではないんだけど。

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