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反省は

 前回と同じようにみんなで中継のカメラに向かってポーズを作り記念撮影をしてから、11層へのポートをくぐってダンジョンから出た。

 案の定、ギルドに戻ると耳が痛くなるほどの歓声が待っていた。


「連続一発突破とかやばいな!」「俺は信じてたぜ! 一発で突破するって!」「今回も勇者ちゃん大活躍で最高だったよ!」「いや、今回はもう一人の双天がやばかった」


 口々に感想を言ってくるので苦笑いしながら少し落ち着くのを待つ。途中から俺達に向かって言うのではなく、周囲の人とあれはどうだったとかゴーレム戦について話し合い始めたところでその場から離れる。

 またもやインタビューが来たのでそれにも応じた後に、プラバスタのメンバーがこちらへやってきた。記者や周囲の人は何かあるのかとスクショの準備をしているが、トライ達の表情を見るにただお祝いを言いに来たのと俺達の戦いを見て自分達も頑張らないといけないと気を引き締めているだけのようだ。


「おめでとう。良い戦いだった」

「ありがとう。結構ぎりぎりだったからきつかったよ」

「だが、ハラハラするシーンが見ているこちらを盛り上げてくれて、視聴者としては楽しめて良かったぜ」

「狙ってやったわけじゃないが、盛り上がったなら良かった」


 今となっては攻略自体が楽しく、このパーティーでどこまで行けるのかとわくわくしているが、本来の俺の目的は中継で金を稼ぐことだから盛り上がってくれるのは嬉しい。

 ただ、これだけ目立ちまくって視聴者も稼ぎまくっているから、どれだけインセンティブ報酬が稼げているのか報酬確定が怖い。まだスポンサーなんかの話はないが、それでも相当な額になっている可能性はある。


「行動パターンの変化でやられはしたが良いタンクだった。また話を聞かせてくれ」

「ありがとう。注意が疎かだったのは失敗だったわ。私のわかる範囲なら情報提供するからまた皆で話をしましょう」

「そういうわけで、またそっちが落ち着いたら話を聞かせてくれ」

「ああ。明日にでも時間が合えば」


 デュークさんに褒められてフィルも嬉しそうだ。現状タンクとしてはトップだろうからな。掲示板を見ていない俺でも話を聞くほどだし。

 ボスの情報に関しては隠す気はない。もう俺達は攻略した後だし、それに独走もいいが競っている方が盛り上がる。絶対に一番乗りをしたいってわけではないから、ORDEAL自体が盛り上がってくれる方がいい。


「今回のゴーレムは俺達の方が相性良さそうだから俺達も一発突破して、今度こそ次までに追い付いて見せる」

「楽しみにしてる。またボス攻略の時は中継で見させてもらう」


 最後にトライとハイタッチして別れたが、この写真記事にされそうだな。ちょっと格好つけた感じがして恥ずかしいが、ゲームの世界なら少しくらい格好つけたって良いよな。




 そのままクランハウスに戻って机を囲んで座る。今回はゴブリンロード戦よりも時間がかかったし、皆やることが色々あったから疲れて机に突っ伏す。ギルド内のあの人込みに疲れたというのもあるが。

 各々休憩したり話をしたりとゆっくりと時間を潰す。食事をとるために次々とログアウトしていき、結局ギルドハウスに戻ってきたところから二時間ほど経ったところで、再び全員が集まった。


「じゃあ、ゴーレム戦の振り返りでもするか。もう動画もアップロードされているから適宜見ながらいくぞ」

「はーい。まあ、今回も一発突破できたから各々反省点はあると思うけれど結果オーライだから気にし過ぎないようにね」

「本当に勝てたのは良かったです」


 動画を再生し始めると、ツキヤの顔かなり緊張してると凛花が笑い始めたので、戦闘が始まるところまで飛ばす。いや、緊張するのなんて当たり前じゃん。むしろ、凛花が緊張しなさすぎなんだよ。一番プレッシャーの大きい立場だっていうのに。


「序盤はフィルがタゲを取って上手く受け続けてくれたからかなり安定してたね」

「その後が問題でしたが……」

「あれは仕方ないよ。行動パターンがあれだけ変わるとは思っていなかったし、フィルの立場で敵のHPを確認し続けるのは難しいから、あの場面は周りがしっかり確認して注意していないといけなかった。俺達も行動パターンが代わると思っていなかったのが一番の原因だ」


 フィルは落ち込んでいるが、想定外のことだったし、余裕のある周りの俺達も反応できていなかったから仕方がない。あの場面でタゲが別の人に移っていたら、誰もがやられていただろうから責めるつもりはない。


「あそこですぐに命の祈りを発動し始めてくれたナナカの対応は良かった」

「私はフィルのサポートをすることしかできないので、できるだけ早くフィルを復活させないといけないと思って」

「そのおかげでまだ続けようと思えたからな。蘇生魔法は覚えておいてもらって良かった」


 あのゴーレムの動きを見たからにはヒーラーが必要だと見ていた人は思っただろう。さすがにポーションのみではクールタイムがきついし、タンクを三人にして回すのもヘイト管理が大変で厳しいだろう。

 ヒールを飛ばせなくても、タンクの後ろでヒールを使い続けるだけでもかなり安定する。巫女以外の職業で蘇生魔法を何レベルで覚えられるようになるかは知らないが、白魔導士ならヒールとリリーブだけでも有用だし、巫女などの神官系の職業なら蘇生もできる。


「ミナトは前半は魔法でHPを削ってくれたから戦闘時間が短くなって助かった。後半はヘイトの関係とゴーレムが動き回るようになったから攻撃できなかったが、これは現状仕方がないな」

「うん。できることはやった」


 攻撃魔法はまだ扱いにくいな。完全にタンクが敵を抑え込めればいいが、そうでないとやっぱり当たらない。ただ、今回のゴーレムは剣での攻撃によるダメージが低かったので、前半戦はミナトの魔法によるダメージに助けられた。


「レンヤは言うことないな。今回もよくやってくれた」

「当たり前! ただ、やっぱり剣での通常攻撃だけだと敵によってはダメージが出ないね。剣士で覚えられる属性剣系のスキルを早く覚えられるようにしないと」

「レベル上げしないとな。パーティーレベルだとプラバスタの方が上だから、行き詰った時に先を越されてしまう」


 どうしてもレベル制のゲームではレベルが高い方が有利だからな。凛花のプレイヤースキルは断トツで高いが、一撃でやられるのと一撃は耐えれるという差が響いてくる可能性はある。今でこそ敵の範囲攻撃が無いからいいが、広範囲攻撃がくればガードして耐えられるステータスが無いとどうしようもない。


「最後は俺だが、今回はそこまで悪くなかったかな。ゴーレムの攻撃パターンの変化を一回目は予想できていなかったのはダメだったが、それ以外でミスらしいミスはしていない。俺ももっと攻撃できるようにならないといけないのと、集中力が続かないのは問題だが」

「ツキヤの集中力はどうにかできるものじゃないから仕方ないよ。あの状態をあれだけ維持できるだけで十分」

「そうね。そのステータスで、私がやられている間一度も崩されなかったのはさすがとしか言えないもの」

「そうですよ! 今回ばかりは掲示板でも批判の声は殆どなかったです!」


 きっちり掲示板の確認はしているのね。さすが、ナナカ。

 凛花の言う通り、こればかりは頑張れば長く続けられるというものではないから仕方がないと言ったところか。もとの能力を上げて深く潜った状態を減らしても戦えるようにするしかない。


「それぞれ反省点や次までにやるべきことはあるだろうから、明日からはそれを踏まえてダンジョン探索をしよう。だが、今日はせっかく最初に10層を突破したんだ。ゲームの中だが皆で打ち上げしよう!」

「いえーい! ここならどれだけ食べても、ログアウトすれば苦しさからも解放されるからいっぱい食べるぞ!」

一応、これで第1章終了です

本作は作中で掲示板の話がかなり出ていますが掲示板ネタはここではやりません。

更新ペースをできるだけ上げるためにも掲示板ネタは別で単独、もしく短編と合わせて作りますのでお待ちください。

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