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情報交換

 差は広げられるうちに広げておく方が良い。ゴブリンロードを倒した翌日から、すぐに6層の探索を開始した。

 6層も4層までと同じく草原と森が広がるフィールドだが、若干森の割合が多くなっている。モンスターも今までのモンスターに虫型や草や花をモチーフにしたモンスターが出るようになった。

 モンスターの強さ自体は階層に合わせて少し強くなった程度なので、ゴブリンロード戦に向けて装備とレベルを上げた俺達ならそれほど苦戦することもなく探索はできる。

 ただ、虫型のモンスターが現れたのと同時にドロップ品に糸が出るようになり、それの確保も並行しているので探索ペースは上がらない。幸いにも、うちの女性陣は虫は嫌いでも戦えない程ではなかったので、使い物にならないなんてことは無くて良かった。


 探索から戻ろうとしたタイミングでトライさんからチャットが来たので、3層で会うことになった。


「遅くなりました」

「待ってる間も狩りをしていたから大丈夫。ちょうど探索していたみたいで悪いね」

「ちょうど戻ろうとしていたところだったので」


 ミナトには先に戻ってもらい、さっさく糸で何か作れないか試してもらっている。ナナカは今回もそれに付き合うと言ったのでクランに戻ってもらい、今来ているのは俺と凛花とフィルだけだ。


「俺はデューク。もう一人のタンクがリピド。アタッカーがシン。ヒーラーがクレスだ」

「よろしくお願いします」

「まずは、ゴブリンロード戦のことから聞いてもいいか?」

「ああ。俺達も一度挑んだだけだから全部を知っているわけではないけど」


 もしかしたら見ていない行動パターンなどもあるかもしれない。

 わかる範囲で質問に答えていき、判断ができない部分は一緒に考える。プラバスタも全滅したとはいえ一度挑んでいるので、話はスムーズに進む。

 時折雑談も交えながら、迷宮内だというのに和気あいあいと話している姿は異質だろう。とはいえ、中継はオフにしているし、他のパーティーもここまで来ているパーティーが少ないので会うことは殆どない。


「ゴブリンロードはそこまで賢くないから、近づけば横なぎを狙ってくるか」

「絶対とは言い切れないけど、近寄る素振りを見せると殆どが横なぎだったよ」

「あの横なぎ。録画で何度も見たけど、完全に避けようと思うと踏み込めなさそうなんだよな。ガードしても結構ダメージもらいそうだし」


 それはあるな。凛花でさえ序盤は攻めあぐねていたし、一度俺が受けた時はガードした手がしびれそうだった。回復前提で戦わないときついが、クレスさんはまだヒールの命中率が低い。


「デロッダの町に行っている知り合いに頼んで鉱石を売ってもらうか」

「良かったらうちの分も売ってもらえそうならお願いします。金額は少し色をつけてもらっていいんで」

「そのくらいなら全然いいぜ。まだ取引ボードでも出回っている数が少なくて高いからな」


 それは助かる。ダンジョンだとまだ鉱石類は手に入りそうにもない。素材集めなら通常マップの方が色々あるようだが、そっちに手を出している余裕はないからな。


「今はまだダンジョンに来ていないところで、実力のあるパーティーとかはどのくらいある?」

「俺が知っているところだと、二つは確定だな。両方とも別のゲームからの知り合いで、規模も大きいからクランを作るだろう」


 クランを作るということはパーティーがいくつか用意できるということだろう。俺達のように少ない人数でクランを作るメリットはそれほどない。

 そのあたりはダンジョンに来たらすごい勢いで攻略していきそうだ。来るまでにできるだけ進んでおきたいところでもある。


「ねえ、魔法を飛ばすのってどうやってるの?」

「味方の動きを先読みして、しっかり飛ばす軌道をイメージすればできる」

「あー……やっぱりそこはプレイヤースキルなのね。私にはまだ無理そうだわ」

「アタッカーには少し下がってもらって使えば、誤ヒールなんかも減るんじゃないかな。あとは、飛ばさずにその場で待機させている魔法を、クルクル動かしておくのもイメージの練習になって良いと思う」

「たまにモニターで見ていて気になっていたけど、そういう理由でやってたのね」


 混戦状態のところにヒールを飛ばすのでなければそこまで難しくはないはずだ。攻撃魔法は狙いをつけて飛ばさないといけないから大変そうだけれど。


「あのゴブリン相手に一人で6体のタゲを取っても大丈夫だった守備力も気になる」

「この装備意外と性能良いんですよ。うちの生産職もやってくれているやつが作ったんですが、これのおかげもありますね。これとプロテクトを合わせれば守備力はデュークさんも超えます」

「支援魔法か。代わりになるアイテムでもあれば良いんだがな」

「今のところはないですね。装備をワンランク上げられれば、フィルよりも守備力は上になるはずなんでそっち方面で頑張ってください」


 ステータス上昇系のアイテムはすぐにはできないだろう。今はまだ他に代替案があるから、そちらで補うしかない。



「今日はありがとうな。今度は一緒に狩りでもできると嬉しい」

「他の人と組むのも練習になるからな。そっちがゴブリンロードを倒したらやろう」

「今週中にはクリアして見せるから。あまり油断してると10層は俺達が取ってやる」

「次もゆずらないさ」


 プラバスタはそのまま狩りを続けるようなのでダンジョン内で別れてクランハウスに戻る。

 今回はこちらが得る情報は少なかったが、鉱石の取引などアイテム類のやり取りはいくつかできたから無駄ではなかった。

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