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準備も始めないと

「ツキヤ、話はナナカちゃんから聞いた?」

「ああ。まあ追い付かれたのは仕方がない。慌てて死に戻りするくらいなら、自分達のペースで攻略を進めた方が良いだろう」

「そうだね。でも、ボスを突破するのは私達だからね」


 ここまで来たならボスは先に攻略したいよな。だが、突っ込んで勝てるような相手ならボスにはならないだろう。ボスへのポートを見つけるのと共に、ボス戦に向けた準備をしないといけない。


「先に買うか。俺達のクランハウスを」

「! お金貯まったの?」

「ああ。この前の探索分で足りている。ミナトに装備を作ってもらうためにも作業場が必要になるから、いっそクランハウスを先に買った方が良いだろう」

「私は賛成」

「私もいいよー。ナナカちゃんとフィルちゃんもいい?」

「はい。大丈夫です。」「ええ。大丈夫よ」


 ならばさっそく行こう。クランハウスを買いに。


 不動産屋さんへ行き建物の購入を済ませ、メニュー画面からクラン申請を行う。クランメンバーになる者を選択し、クランリーダーと副リーダーを選択する。


「ツキヤがリーダーで私が副リーダーね」

「いや、レンヤがリーダーで俺が副リーダーだろう」


 凛花が引っ張っていっているのだから凛花がリーダーで良いだろう。どうせ、どっちが顔役になるかだけの問題なんだから、凛花の方が目立つし良いとも思う。


「私はツキヤさんが良いと思います、周りに気を配ってくれていますし、交渉とかがあったらツキヤさんの方がよさそうな気がします」

「私もツキヤでいい」

「どちらでも文句はないけれど、ツキヤさんの方が合っていると思うわ」

「ふふん。じゃあ、ツキヤがリーダーで決まりね」


 多数決なら従うけどさ。明るく適当な感じが少しするけれども凛花の方が天才と呼ばれるくらいには頭も要領もいいんだけれどな。交渉なんてことも、俺には経験が無いし、凛花の方がうまいと思う。

 反論はせずにリーダーと副リーダーを選択すると、次はクランの名前を聞かれた。そういや、俺達ってパーティー名も設定していなかったな。


「クランの名前だって。何かある?」

「双天連月というのはどうですか? 掲示板でレンヤさんとツキヤさんをさす言葉なので、分かりやすくそれを使っちゃうのはどうでしょうか」


 双天連月ね。かなり厨二臭いが、俺達のクランっていうのは分かりやすいか。こういうのを考えるの苦手だから、他に案が無ければこれにするか。

 掲示板を見ているフィルとミナトは文句がないようで、凛花はどういう意味か考えているだけで反対ではなさそうだ。


「他にはなさそうだから、俺とレンヤばかり目立つが、クラン名は双天連月にするか」


 確定ボタンを押せばクランについての説明書が現れ、クランが設立されたというログが視界の端に表示された。


「これでクランの出来上がりですか。建物の外見も少し変わりましたね」


 もともとは普通の一軒家のような見た目だったが、入り口のドアは大きくなり、建物自体が家から事務所のような感じに変化している。説明書の目次を見ると、クランハウスの内装や外装は変えられるようなので、また今度ゆっくりと皆で決めて変えることにしよう。


「じゃあ、ミナトは装備作りやアイテム作りをしておいてくれ。残りの四人で4層の探索をしてくる」

「わかった。気を付けて」


 ミナトと別れてギルドへと戻る。何やらギルド内が少し騒がしいのでダンジョンに直行せずに様子を少しうかがうと、プラバスタの五人が何やら色々と聞かれているようだ。4層にそのまま行ったと聞いていた割にもう戻ってきているということは4層で全滅でもしたのだろうか。


「声かけていく?」

「別にいいだろ。今はトップに並んだことで気分が上がっているだろうから、下手に刺激せずに放っておこう」


 絡まれたりしたら面倒だし、周りの奴らもトップ争いをしているパーティーが顔を合わせたら煽ってくる可能性も高いしな。競争するのは良いが、それで熱くなりすぎたりするのは嫌だ。勝負ごとになると熱くなりやすいからな。俺自身が。


 そのままダンジョンに行き、4層の探索を始める。

 入口周辺はもう見終わっているので、モンスターをさくっと倒しながら奥へと進む。レベルが上がっているのと慣れてきたのもあって、数さえ少なければ問題なく倒せるようにはなった。


「ちょっと無理してみる?」


 凛花が指をさす先にはモンスターが10体ほどいる。上手く釣れば少しずつずらして一気に相手にせずに叩くことはできるが、6体は同時に戦うことになるだろう。

 いけるかと聞かれれば、七割くらいの確率でならと答える難易度だろう。たまにはこのくらいの戦いをするのも悪くない。


「じゃあ行くよ」


 支援魔法をかけ終えるのを待って凛花が前に出る。慎重に距離を詰め、最初の3体が釣れたところで引いてくる。下がりながら攻撃を加え、フィルがギリギリまで待ってウォークライを発動させる。ウォークライのスキルの効果範囲内にいた奥の4体がさらにこちらに向かってくるが、凛花がスキルで押し切り、まず1体を倒す。


「ヒール」


 凛花にヒールをかけ、自分にヘイストとプロテクトをかける。さすがに5体のタゲを今のフィルが集めてしまうと回復が追い付かない。俺のヘイトが最初の2体に対してはフィルを上回ったので俺がそのままタゲを持つ。支援魔法のかけなおしでヘイト値を溜め、もう一回フィルがウォークライを発動させても、この2体のタゲは俺のままだ。

 奥から来た4体の内の1体に凛花が攻撃を仕掛け、これで後は俺がミスってやられなければ大丈夫だ。ヘイストのおかげで避けることはそこまで難しくない。

 ナナカが三回目のヒールをかけたタイミングでフィルがもう一度ウォークライを発動させ、さらに奥の3体がこちらにやってくるが、凛花がこの間に3体目のHPを削り切り、俺が減らしていた1体のHPもすかさず削り切ってくれた。


 後は同じようにミスしないように戦えば、これ以上の敵の援軍もないので、問題なく狩り終えた。


「いやー、意外となんとかなったね」

「それぞれが上手く役割を果たせたからな。ウォークライの発動範囲も上手く調節してくれたし」


 ORDEALではスキルや魔法は基本の効果値や範囲があるが、使うMPやイメージ、集中力などを変化させることで効果の強弱や範囲の大小を変えられる。ただ、変えるのは簡単にできるようなものではないので、今回はじっくり集中できる一回目のウォークライの効果範囲を変えてもらうことで一回目には一番奥にいた3体のタゲを取らないようにしてもらった。

 ただ、これをするとヘイト値なども変わってくるので難しい。ナナカが三回目のヒールを放った直後にウォークライを使ったのは、ヘイト値がずれる可能性を考えての判断だ。乱数以外にもこういった要素があると計算がかなり難しくなるからやめてほしいが、リアルさは格段に上がるからあった方が良いとも思う。

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