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女神様の側近(仮)は今日も行く  作者: Mr.アマゾネス
~第一章 魔界を横断するようですよ。~
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第七話 魔界、到着しました+α

 こんにちは、俺はアルデリッヒっと言います。

 俺は今、周りには木々が鬱蒼と茂っており、背後には古代遺跡のように石を削り積み上げ苔と弦でデコレーションしたような建物があります。

 

 女神様の謁見を終えた後、カマエル先生から任務の詳細を説明されてから必要な物をリュックに適当に詰め込んでから、しばらくの休憩を挟んで女神様の力によって魔界というところに転移したのですが・・・。初めて見た魔界の感想を言いますと・・固定概念てすごいですね。

 魔界とは、空が暗闇に包まれて土地は痩せ干せてまさに暗黒の世界を想像していたのですが・・・なんですかこれは、エロフ・・・失礼間違えました。エルフでも出そうなくらいの森に年代を感じさせるほどの遺跡、そこから空を見えげれば清々しいほどまでの快晴で青空が広がっています。

 知ってますか?快晴は雲量が1割以下の状態の事をいうんですよ。

 そして、目線を上から前に移せばどこまでも蒼色に透き通りそこまでがはっきりと見える美しい泉があり、その水辺では上半身が人のようで下半身が水のように透き通っている水の精霊らしき人達が「こんにちは」や「ごきげんよう」と言って楽しそうに遊んでいます。


 俺が想像したような灰色の空や岩などが転がった平原やどす黒く濁った池などの存在は何処にもありません!!

 期待はずれです!!魔界にはもっと殺伐としていてほしいです!!

 こんな小鳥たちが楽しそうにさえずる森など魔界のイメージはありません!!

 ん?もしや転移先を間違えたのでは?

 

 仕方有りませ、ここは第一の発見者に尋ねてみましょう。


「すいません。そこの水の精霊さんらしき人達。」


 楽しそうに水辺で遊んでいた水の精霊さんらしき人達が一斉に俺を見ます。

 やだ。注目を浴びるのは恥ずかしいですね。

 そして代表者と思われる一人が俺の目の前に出てきます。


「ごきげんよう。私たちは水辺の精霊。あなたはどなた?」


 ご丁寧に、可愛らしくお辞儀をして尋ねてきます。


「こんにちは。俺は女神コーネ様の側近の天使です。」

「天使さんですね。私たちになにか御用でしょうか?」

「えぇっと不躾な質問ですがここは何処でしょうか?」


 水辺の精霊はおかしなことを聞くねという感じで首をかしげながらも教えてくれます。


「ここはエルダーの森です。」

「なるほど、エルダーの森ですね。」

「はい。そうです。要件は以上ですか?」

「いいえ!質問を変えます。ここは魔界ですか?」

「はい。魔界ですよ。」

「そ、そうですか・・・ありがとうございます。」

「いえ。それでは。」


 水辺の精霊さんたちは俺に一礼してまた楽しそうに水辺で遊び始めた。

 どうやら間違えなくここは魔界のようです。

 いいでしょう。魔界と言うことにしときましょう・・・。気持ちを切り替えていきましょう!!


 それにしても水辺の精霊さんは小さくて礼儀正しくてとても可愛いですねぇ。

 思わず鼻の下が伸びそうになるのを頭を振り凛々しい顔をに戻します。

 リュックからカマエル先生に貰った魔界の地図を取り出して、現在地を確認します。有りました。エルダーの森。

 ここから数日移動したところにディーバという村が有りますね。話ではその村から移動して点々と村や街を訪れた後、サンドハイム国(渇きの国)にある宿場町アーリストでの報告が最後・・コーネ様の話では魔界の調査をするために単身で調査に出したらしいですが定時連絡がここで途絶えたとのことです。

 迷子の名前は、レミエルさん。序列は俺の一個上で大天使だそうです。

 なんでも、コーネ様の右腕とか言われているらしいですね。

 ライバルですね!!個人的には適当に時間を潰し見つかりませんでしたと言いたいところですが・・・これは俺の初任務です。なんでも初めが肝心です!!何としてでも成功させないといけませんね!!

 

 決意をあらたにしましたがこの一件・・事件の匂いがしますね。

 とりあえずはディーバで一休みしたあと情報を集めながら最短距離でアーリストに向かったほうがいいですね。

 

 方針も決まりましたし、早速この森を出てディーバに向かいましょう。

 とりあえず、キャッキャと楽しそうに遊んでいる水辺の精霊に別れの挨拶を済ませて足を進めます。



 しばらく森の小道を鼻歌まじりに歩いていると目の前になんともまぁ可愛らしいうさぎが草むらから飛び出てきました。魔界というよりメルヘン界ですね。

 近くにあった木の実を取って掌に載せて呼び寄せます。


「ちちちち。こっちに置いでぇ。ご飯だよぉ。」


 するとどうでしょうか。ピョンピョンと愛嬌を振りまきながら跳ねてこっちに来るではありませんか。掌の木の実の匂いをクンクンと嗅いでパクリと木の実を食べました。


「かわいいですね。君に名前はあるのでしょうか?」


 返事が返ってくるわけありませんがなぜでしょう話しかけてしまいます。


「キューキュー」


 あぁ。癒やされますね。鳴き声までかわいいじゃないですか。

 撫でててみましょう。


 ガブリ


「痛ったあああぁぁぁぁぁ!!」

 

 噛まれました!!恩を仇で返されました!!なんですか頭を撫でようとしたら噛まれました!!

 立ち上がり、俺の手を噛んだうさぎを睨みます。

 あれ?いません。

 うさぎの姿を確かめるため顔を上げると白い可愛らしい足が見えました。


「ゴフっ!!」


 強烈な後ろ足キックです!!

 貧弱な体から放たれた蹴りだとは思えないほど重く俺の体は吹き飛ばされ近くにあった木にぶち当たって止まります。

 痛いです・・・。そして、怒りましたよ!!


「痛いですねぇ・・・いくら温厚な俺でも怒りましたよ!!このうさぎ野郎!!」


 叫びを上げて立ち上がりうさぎを()とめようとしましたが既に姿はありません。影も。いいでしょう。次あったときがあなたの見納めとしましょう。うさぎの肉とか一度食べてみたかったんですよね!鍋にしてやりましょう!!

 気を取り直してこの森から出るために足を進めます。

 

 あれから何度がうさぎの姿を見かけたのですが逃げ足だけは一人前のようで捕まえることができず仕方なく足を進めているといつに森から平原へと出ます。

 再び地図を広げ現在地を確認、しばらくは野宿が続きそうな距離ですね。

 まぁ飛行練習や加護の練習などをしながら行きましょう。道のりはまだ長いのですから・・。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 (視点が切り替わり女神コーネ)


 彼は今頃、空間転移をして魔界に到着した頃でしょうか。

 自分の力不足のせいで彼には過酷な任務を強いることとなってしまいました。

 

 私に出来るのは彼の無事を祈るのみ。

 神の身になり神の掟に縛られ気付けば自分ではなにも出来ない存在へと成り果ててしましました。

 眷属がこのようになってもこの場から離れることができず、歯がゆい思いばかり、できることなら―――。


「女神様・・・。」


 カマエルさんが私の握りこぶしに手を重ねます。


「あまり、力を入れるとお手を怪我しますよ。」


 言われて気づきました。

 思わず手に力が入り過ぎた掌を開いてみれば爪の後が残ってます。


「すいません。」

「いえ。私こそ差し出がましいことを言いました。」


 カマエルさんは若い天使や序列の低い天使の育成を生業(なりわい)にしている中級天使三隊の中の一つである能天使。序列6位の天使です。

 本来ならば然るべき神に仕え天使を束ねる地位にいる方。しかし、彼女は神には仕えず、天使の育成に力を注いでいます。

 力ある彼女がなぜそんなことをしているのでしょうか?

 彼女であれば引く手数多でしょうに・・・。


 話がそれましたね。

 今は私の無力さを彼に押し付けてしまったことです・・・。


「彼が心配ですか?」


 カマエルさんが尋ねてきます。

 心配じゃないわけありません。彼は仮にも私の天使となってくれたのです。

 

 私の眷属の天使は多くありません。給仕天使・・・メイド天使と言えばわかりやすいでしょうか?その方々が10人。戦闘系の天使が片手で数えれるほどです。はっきりと言えば少なすぎます。他の神々からもよく言われますね。下級の神でも100から200の天使を眷属としています。それに比べれば私の所有している天使の数は少なすぎるといえますね。

 それはいいのです。眷属の天使が多いと私の手に余ります。

 使えてくれる一人一人の天使を大事にしたいという想いでやって来たのでこれからもあまり増やすつもりはありませんが・・・そうしてきた結果が今のこの事態を招いてしまったことを考えれば・・・私は間違っていたのでしょうか。自分が動ければいいのですが・・・。

 今の私にはどうすることも出来ません。まだ、天使としては幼すぎる彼に頼ることしか・・・。


「心配です・・・。カマエルさん。あなたから見て彼はどうですか?」

「どう、と言うのは任務を成功させるかと言う意味ですか?それでも無事に帰ってくるかということですか?」


 彼女の顔を見た後、彼が立っていた場所。転移の門を見ます。

 彼は既に魔界へと降り立ったでしょう。

 魔界はお世辞にも安全とは言えません。

 強力な魔物がアチラコチラに生息しています。それに多種多様の人々が住んでいます。文化の違いや考え方違い。それに危険な魔王――。

 考えれば考えるだけの危険があります。

 送り出した今でも、この選択は間違えでは無いのかと自問自答しています。


「両方です。1番は無事に帰ってきてくれることですが。」

「任務はわかりませんが、彼なら必ずあなたの元へ帰ってくるでしょうね。」


 彼女がそう断言するのが珍しく私は彼女の顔を見ます。

 その視線は彼が旅立った転移の門を優しく見守る様に見ていました。


「ふふふ。」


 彼女の教え子たちが今の彼女を見ればきっと私のような反応をするのではないでしょうか?

 その視線を気づかれないようにか眼鏡が反射して目が隠れます。


「なにか?」

「ごめんなさい。あなたのそのような顔を初めてみたもので。」


 彼女の頬がほんのりとピンク色に染まりました。


「ご、ごほん!!彼はあなたを大変慕っています。それはもう、地獄に蹴落としたとしても自力で帰ってくるくらいでしょうね。そんな彼が魔界に送られたからと言ってどうこうなるものでもないでしょう。それに」


 わざとらしい咳払いをしてソッポを向かれました。

 彼女はそこで一拍ほど置いて言葉を続けました。


「彼は、きっと強くなるでしょう。こんなところで終わるような天使ではありません。」

「あなたがそう言ってくれるのであれば、私も少しは気が楽になります。」


 私は彼が旅立った転移の門を今一度眺めてその場をさります。

 その後に彼女も続きます。


「あなたはこれからどうするのですか?」


 彼の教育係としてお呼びしたのに彼がいなければ彼女との契約はここで一旦は破棄されます。悲しいですが、別の場所に行くことが可能です。

 彼女はしばらく考えて口を開きました。


「彼にはまだまだ教える事が有りますので、ここに滞在させて頂きます。その間何もしないと言うのも何ですのであなたの補佐を勤めさせていただきますよ。貴方様に異論がなければですが。」

「頼もしい限りですね。よろしくお願いします。」


 振り返り彼女と握手をした後に私は彼の無事を祈りながら彼女と共に政務室へと足を進めます。

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