恋愛少年
僕、恋をしました。
好きになったのは、同じクラスの水上 海夜っていう子。
……あ!僕が誰かわからないですよね。
僕は砂槍 鋼牙です。
ちなみに中1、13歳の男です。
この場合は男の娘……って違う違う、男の子って言ったほうがいいんですかね?
ほら、年齢的に。13歳ってまだまだチビだと思うんですけど……。
兄貴には「ガキだぞ」と言われたんですけどね。
それはさておき、正直に言います。
うわさによると、水上さん、好きらしいです。僕のこと。
……あくまでうわさです。
そこで兄貴の彼女の華奈さんに聞いてみようと思います。
そのうわさは信憑性があるのかと。
「兄貴、兄貴」
「んぁ?鋼牙、どうした?」
「華奈さんの電話番号教えて」
「……お前、そういう奴だったのか……」
「ち、違うよ!」
「華奈は渡さない!華奈は俺のだ!」
「一体何の話をしてるの?」
「あっ、華奈っ」
むぎゅー…
「ちょ、ちょっと鋼牙くんの前で……恥ずかしいよ…」
「そんな華奈も可愛いよ」
「や//そんな///」
なんということでしょう!
弟がいるのに目の前でいちゃつき始めた!!
っていうか華奈さん、家に来てたんだ……知らなかった。
「んー……、華奈ぁ……」
「おいそこのデレ期突入中の兄貴」
見てて痛々しい。リア充しすぎだ。
華奈さんが嫌そうな顔をして……なかった。むしろ嬉しそう。
僕も水上さんとこういうことしてみたい……って危ない危ない。
「んぅ、くすぐったいよ」
僕の声は聞こえてないようだ。
仕方ない。相談は無理のようだ。
そして僕は決めました。
誰も頼れないなら僕が頑張るしかないと。
決めました。告白します。
3日後。
「み、水上さん!」
放課後の教室。
実を言うと、僕と水上さんは学級委員をしていて、今日はその仕事で残ってたんだ。
ちなみに2人っきり。
「何?砂槍」
水上さんが仕事の手を止めて、僕を見る。
「……どうしたの?」
何も言わない僕を、きょとんとした目で見てくる。
「僕は、水上さんのことが好きです。付き合ってください」
思い切って言う。水上さんは顔を真っ赤にしている。
「あ、えっと、砂槍、それ、本当!?」
水上さんが叫んだ。
「私…砂槍みたいにかっこいい人とはつりあわないよ。
それでもいいの?私なんかで、いいの?」
「僕は水上さんがいいんだ。
それに、こういうこと、本当に好きな人じゃなきゃ言わないし、言えないよ。
……もしかして、僕のこと、軽いって思ってる?」
「そ、そそそんなこと無いよ!」
「それじゃ、返事、聞かせて?」
少し意地の悪い笑顔で僕はそういった。
そして、僕は兄貴に報告した。
「兄貴、ぼ…じゃなくて俺、彼女できた」
「ふーん、そうか。……え、彼女?」
「そう。彼女」
兄貴が「あーあ……」という表情で俺を見る。
「鋼牙、お前……」
「?」
そのとき、ドタドタと階段を上る音がして、華奈さんがドアを開けた。
「奏牙!妹に彼氏ができたの!海夜に彼氏が!!
相手誰か知ってたら教えて!別れさせてくる!!海夜にはまだ早いもの!!」
……俺の恋は、軽く、前途多難です。