タクシーに乗るのも悪くない。
今日、携帯に玄米のように懐かしい友達から電話があった。
久しぶりだということもあって、会話も弾み会って話そうということになった。
いつもと違い、かなりの時間を持て余していた僕は、とても小さな旅行がしたくて、彼の家まで行くことにした。
しかし、彼の家の近くの駅でおりたときに最悪のタイミングで、雨が降ってきてしまい、濡れることを避けた僕は今、タクシー乗り場で順番を待っている。
確かにタクシーは高い、そのため僕はタクシーに乗ることを、かなり避けて生きてきた。
でも、今日はなぜか、駅で雨の匂いを嗅いだときに、どうしようもなくタクシーに乗りたくなった。
なぜだろう。
そんな事を考えていると、ちょうど僕の順番が回ってきた。
僕は大きな口を開けたタクシーにのりこみ。
「●●町三丁目まで」
と、用件だけを確実にいった。
返事がない。
まぁいい世の中にはいろんな種類の人間がいる。
たとえ仕事だとしても会話しない人もいる。
僕の乗ったタクシーの運転手もそういう人なのだ。
そうしてタクシーは出発した。
だんだん駅が遠くなる。当たり前だけど僕の知らない町を進んでいく。
「お客様はとってもラッキーです。
お客様はクルートに選ばれました。」
無口。とかってに決めた運転手がしゃべった。
「それはいったいどれくらいラッキーな事なのかな?」
と、僕は言った。
「とてもラッキーですよ。
一年のうちに三人しか選ばれない、そんな確率なのですよ。
おめでとうございます」
「どんなメリットがあるの?」
「そうですね・・・
たくさんあって、一概には申しにくいのですが・・・
あぁ、確か豚汁は食べ放題です。」
とてもいいね。
そう僕は言った。なぜなら僕は豚汁は大好きだから。
どこにつれて行かれるか、本当に分からなくなってしまった。でもタクシーも悪くない。
ところでクルートって何だろう?




