6.彼女が第一号なんだよ-[ヒト]として扱われても良いのでしょうか?-
全34話予定です
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ひとしきり話が終わったところで、
「これからきみは、きみの本来の機体に乗り換えてアルカテイル行きだ。そこでお披露目という形になる」
カズはそう告げた。
――彼女が第一号なんだよ。後続が続くかどうかはその人物次第というところか。
カズは准将という今の立場になったと同時にサブプロセッサーの処遇についても発言権を持つことになった。それはソフィアのように功績を上げたものに対して[ヒト]としてパイロット扱いに戻せるというのを意味している。もちろん、その逆だって可能だ。第一世代という型式が、コアユニットという存在がいなくなった現在、それほどにカズに対してレイドライバーの運用が一任された、という事なのだろう。言ってみれば[自由に運用できる]というところなのだ。そしてそれを可能にする現在の脳科学である。成人した人間の記憶操作もそれほど難しいものではないのだ。
「今更ですが、私は本当に[ヒト]として扱われても良いのでしょうか?」
ソフィアはそう尋ねる。そんな彼女にカズは、
「それはきみが第一号だ。そういう意味では、これからきみは前例がない道を歩むだろう。だがきみの心配はもっともだ。脳核だけの存在を、今ここで同盟連合全軍に知らしめてしまえば混乱が起きるだろうからね。だからしばらくはソフィアという名前と、ゼロフォーという呼称を使い分けることになる。だから相手がゼロフォーと呼ばれた時は今まで通り[戦の女神]として、高度な知能を持ったAI(人工知能)として振る舞ってもらえれば」
形としては成立する話だ、とカズは付け加えた。
「ちなみに、私は単独運用される運びなのでしょうか?」
とソフィアが問えば、
「しばらくはマリアーナと一緒にいた方が良いだろうと思ってね。基本は彼女のサブプロセッサーとして働いてもらう。だけど、こちらが指定した場合は」
「直ぐに私がコントロール権を持つ、と?」
直ぐに問われるので、
「その通り。それに階級で言えば、きみはマリアより上の立場になる。まぁ、それできみという人物像がブレるのはないと思うけどね」
と答えた。
「よし、ここで話していても何だから、とりあえずアルカテイルに行ってお披露目しようじゃあないか」
その言葉と共にソフィアはあらかじめ用意されていた自分の機体に乗り換えてカズと共にアルカテイルへと向かった。
そんな道中でカズは、と言えばこれからの話の流れを考えていた。
――ソフィアの件は問題ないだろう。まぁどのサブプロセッサーも元は人間だから羨む声も出そうな気はするけど、そうは言ってもサブプロセッサーたちには全員首輪が付けられているからその辺りは大丈夫だろう。もしなら、彼女の功績を棚に上げて[頑張ればこうなれる]と宣言してもいいし。それにその後の話も。
ふとそんな思考がめぐる。カズはカズで考えがあるのだ。だが、それは今すぐどうの、という話ではない。まずは手順を踏んでから、計画しているものが実際に稼働してから、さてどうしようか? という話になる。その計画が実現するには、それまでは、まずはソフィアという存在を、大尉という階級を皆に知らせないといけないのだ。
「旧ギリシャ組の行方は、まぁ大丈夫だろう。本当にいざとなればここから輸送機を出せばいいだけだし」
カズは第五弾の旧ギリシャに関して言えばそんなに悲観はしていない。もちろん前回、帝国が送り出した新型戦車の投入という事態を目の当たりにして、今回の作戦が損害がゼロ、等とは考えていない。それはつまるところの今回送ったレイドライバー部隊の誰か、もしくは誰かたちが亡くなる事態も想定している。だが、カズはその損害を嘆いてはいけない立場へと昇ったのである。兵士はあくまで駒、ユニットとしてカウントする。大局の為に少数ユニットを切り捨てる、なんて可能性も考えなければならないのだ。
――大局、か。そんな立場になったんだな。
改めてそう実感する。これから行くのはアルカテイル基地、そしてそこで待つのはカズが育てたレイドライバー部隊、三五FDIのパイロットたちなのだ。もちろん全員揃っているわけではない。派兵の為に遠征している人たちはリモートで繋ぐ予定になっている。
これからするのはソフィアのお披露目と、各部隊員の階級授与である。なのでカズもいつものラフな格好ではなく正式な軍服に着替えている。左胸に下げた階級章も真新しいものだ、とそれを右手でさする。
准将、しかもお飾りの階級ではなく発言権がしっかりとある准将だ。基地司令は大佐クラスである。つまりは階級を追い抜いた形になる。そして今のカズには准将と同等までの任命権まであるのだ。
――オレが准将、ね。これから頑張らないと。
とりあえずはまず、目下の目的地を一路目指すのである。
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