3.それじゃあ今回の功労者を出迎えないとね-じゃあ、まずは今回の報酬だ-
全34話予定です
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一方のカズはエルミダス基地まで帰ってきていた。本州の政府高官、いわゆる向こう側の人間とはエルミダス空軍基地でお別れを、となったのである。
「それでは、研究の継続とこれからの身の振り方をよろしく。情報は逐一伝えるから」
そう言われて件の人物とは別れた。今やカズは准将、そして同等の階級までの任命権まで与えられているのだ。作戦立案や兵器製造にまで口が出せる立場になったのである。
「さてさて。それじゃあ今回の功労者を出迎えないとね」
そんな言葉を呟きながら、軍港からちょうどこの基地に入ってきたトレーラーに目を遣る。そこには確かにソフィアを乗せた機体が積まれているのだ。カズがわざわざ研究所にまで持っていかなかった理由は明白、電波の出る類の[仕込み]を警戒しての事である。クロイツェルはそこまではしないだろうとカズは踏んでいるものの、それは確約ではない。そして確約でない以上、相手は疑わねばならないのが鉄則である。
「オーライ、オーライ」
トレーラーはそのまま整備ドックの中に収納される。ここエルミダス基地は初めてレイドライバー部隊の基地が置かれた土地である。必然、秘密の多いレイドライバーという存在を弄るのに適した配置がなされている。具体的に言えば、警備する人間が多いのである。そして、その体制というのは今もあまり変わっていない。重整備をする場合は必ず天幕が下ろされ、周りをぐるっと警備員たちが取り囲むのである。
ちなみにエルミダス空軍基地も同様である。向こうもここと同様、三五FDIの整備には天幕が下ろされて警備の人間が周りを取り囲む、そういう仕組みがとられている。
「さてと」
そんな言葉と共にカズは自力でデッキアップしたソフィアの機体に乗り込んでいく。無人とはいえこの機体にはコックピットがちゃんと存在していて、人間が実際に乗れるのだから。
中に入るとディスプレイ下にある端末端子に持っていたタブレットを接続する。
この辺りの整備や会話、データのやり取りというものは必ず有線で接続するのが常識になっている。それは万一に万一の漏洩を恐れての措置である。と同時に電波が途切れた場合のデータのロストを防ぐ、という意味合いも持つ。身内と呼べる庭先で整備をするのに、なにも電波をバラまかなくてもいいのだ。
接続がすんで正面ディスプレイに接続がなされたという表示が出たのを確認してから、
「それじゃあ、まずはお疲れ様、そして感謝を。本当によくやってくれたよ」
とまずはねぎらいの言葉を掛ける。そしてそれは[マスターの言葉を実行したまでです]という謙遜ともとれるようなソフィアの声に返されて、
「じゃあ、まずは今回の報酬だ」
というカズの言葉が受ける。
カズはタブレットを操作してあるデータを送る。それは直ぐに正面ディスプレイに写されるように出来ている。そしてその画面内容はソフィアも同時に閲覧できる。その為にレイドライバーに接続しているのだから。
「送り出す前に言った通り、きみのたどってきたルーツがこれだ」
そこにはソフィアに関するデータがすべて映し出されているのである。
出身地から家族構成、そしてどのようにして研究所に流れ着いたのかまで。
「いいかい、これがすべてだ」
カズはソフィアに秘密を開示することにしたのである。
「じゃあ一つずつ見ていこうか」
もちろんレイドライバーにデータを送った視点でソフィアなら、ゼロフォーならそのデータを理解するのに何秒もかからない。それは彼女の頭部には生体コンピューターが搭載されているからである。処理を一旦任せればそれこそ脳にとって必要な信号に変換して、文字通り[頭の中を流れる]ようにデータが通っていく。だが、ソフィアはその設定をしなかった。
――私にそれが見られるだろうか。
ソフィアはそんな心配をしていたのである。自分のルーツは確かに知りたいと自分で願った意思だ。それは間違いないのだが、カズから前に話があった時は[帰ってくるまで調べないで欲しい]と言われていた。それは当然良くない話なのだろう、くらいには想像がついていたのである。そんな情報に改めて対峙しているのだ。
「まずは家族構成からだね」
そうして一つずつディスプレイに表示されていく。
全34話予定です




