29.それから更に五年が過ぎた-唯一手に入らないものが[自由]なのである-
全34話です
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それから更に五年が過ぎた。
同盟連合と帝国は相も変わらずあちらこちらで戦闘をしていたし、時々共和国が混じってきてちゃちゃを入れるというところだった。共和国は本当に内部的にダメのようで、二国に正面切って戦争を仕掛けてはこなかった。
レイドライバーも戦闘機である三五FDIも、まぁ、帝国で言うところのM三一DIも今までの生産スピードから比べればそれは伸びたものだ。だから帝国も同盟連合も全世界の至る所に駐屯を、となったのである。
全身義体は非常にいい成績を残していた。この頃になると兵士たちにも全身義体の話が噂として出回り、内々ではあるが志願兵も増えたのである。
二〇五一年現在、同盟連合だけでもレイドライバーが三十体余り、三五FDIを二十機ほど保有している。五年という時間をかけてたったそれだけか? と言われそうだが、それでも増えたほうなのである。このシステムの根幹には人間の脳核というものが存在している。そして人間から脳核を取り出しつつ生体コンピューターを埋設してケースに仕舞うという一連の作業の難しさは昔から何らひとつ変わってはいない。こと、こればかりは人の手で行う他ないのだから。
米州の研究所で脳核の取り出し、生体コンピューターの埋設という作業が出来るほどにはスタッフの育成は順調であった。そんなスタッフだが、初めての執刀はもちろん被検体で行うのである。その理由は言うまでもない、失敗する可能性が極めて高いからである。もちろん、エルミダス近郊の研究所で研修を積ませるのだし、実際に執刀する際にはかの地でベテランが付いて指導もするのだが、それでもそんなに上手くはいかないのである。
現在は米州でサブプロセッサーも製造はしているものの、本体であるカズの在籍している研究所と合わせても執刀できるのは十名程度に留まっている。そしてどちらの研究所もそうなのだが、執刀医は基本的に余程の事がないかぎり外出が出来ない。欲しいものはほぼ何でも、それこそ[そういう方面のモノ]でも[ヒト]でも手配されるのだが、そんな中で唯一手に入らないものが[自由]なのである。
もちろんそれは宣誓させてから、本人の自由意思で志願させての執刀医という事になる。同盟連合が帝国と違う点といえば、一応は本人の自由意思が介入できる隙間があるというところか。まぁ、やっていることといえば帝国と大差ない、いわゆる人体実験なのだが。
しかし、帝国もなかなかに進歩していると見えて、自我のあるサブプロセッサーの搭載に成功した、という情報が手に入った。入手先は例のソフィアが持ち込んだ[虫]である。あれから五年以上見つかっていないのだからそれは大したものである。あるいは帝国の設備管理体制がずさんなのかも知れないが。
帝国も生産スピードは上がってきている。だから戦争の火種も撒くし、同盟連合が仕掛ければちゃんとそこにはレイドライバーが駆けつけるのだ。
帝国の強みは、同盟連合よりも生産スビートが早いという点だ。だが、そのスピードは自我のあるサブプロセッサーが出来上がった頃に一旦かなり落ち込んだ。それは自我のあるサブプロセッサーの作成が本当に難しいことを示している。そこで帝国はどうやら二種類のサブプロセッサーを制作するようになったのである。
つまるところ、自我のある、なし、である。自我がないものであれば生産スピードは落とさずに済む。であれば数を落とさずにそれらを混ぜて、いわゆる混成部隊を作ろうというのである。確かに自我がなければサブプロセッサーとしては質は落ちるが、なに、同じ部隊に自我のあるサブプロセッサーを組ませればよい、そう考えたのだ。
結果として同盟連合と帝国はレイドライバー、戦闘機それぞれ拮抗したスピードで生産、配備、そして戦闘をしていったのである。
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