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28.これでちゃんとお互いが会って話が出来るね-実績がない兵器は一般化は出来ない-

全34話です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 ソフィアははじめこそ驚いていたが、直ぐにそれも慣れていった。それはそうだ、元々が人間なのだから、該当する器官が出来れば自然とそれを動かすことに抵抗はない。


 ちなみにこのカズたちが作った全身義体というのは、それ単体でほぼ完結するようにできている。というのは、外部からのパックという形での栄養供給も基本的に必要なければ、酸素も口呼吸をしているためにそこから供給される。栄養はといえば口から摂るのだ。そして排泄物として分解した食事の残渣を排出する。それだけ人間に生理的な部分は似せて作られている。もちろんこれはカズたちが考えた[標準モデル]である。特殊な戦地に向かう義体などは呼吸や食事などをパックで補給しつつ無呼吸、食事なしで戦うなどというのも想定されている。


 研究は、この短期間でそこまで来たのである。


「これでちゃんとお互いが会って話が出来るね」


 カズがソフィアにそう語りかける。その言葉に、


「はい」


 と笑顔を見せたのは今までにないソフィアの進歩なのだろう。感情を取り戻しつつある、というところなのだ。


「きみにはこれからお披露目と、各員への説明に付き合ってもらうよ。功績をあげれば躰がもらえる、そう示すんだ。そしていざとなれば相互に移動が可能になる」


「つまりはサブプロセッサーとして躰から取り外される可能性もある、と」


 直ぐに欲しい答えが返って来る。


 マリアーナはそんな一部始終の間、枷が解かれる事はなかった。つまりは両手両足を拘束したままなのである。


「そうだ、何で枷を外さないか疑問に感じているかもしれない。その理由はね」


 そうカズが問いつつマリアーナの顔を見ると、少し震えているものの平時の顔をしている。


 ――これは枷は必要なかったかな?


 とは思ったものの、手で[言ってごらん]と合図をすれば、


「わたくしたちも脳を取り出される可能性が高まる、という話ですね。そうすればパイロットにもなれるし、サブプロセッサーとしても機能する。敵との交渉事は身体がある方が行えばいい、ですの」


 そんなマリアーナは少しだけ身震いした。それはそうだ、このまま行けば躰とおさらばするのは目に見えているのだから。


 しかし、


「まぁ、それは可能性の一つ、という話さ。現段階では今いるパイロットはそのまま人間としての状態を維持しようと考えてる。それは、全身義体は実績がまだないからなんだよ」


 ――そう、実績がない兵器は一般化は出来ない。それはこれからの課題かな。


 全身義体を一つの兵器とみた場合、制作されてから運用はまだ数サンプルの、それも短期間でのサンプルしか取れていない。テミラデと戦場に送った四体だけだ。そして長期間の運用でどんな弊害や障害が出てくるのかはこれから調べる必要のある事項だ。カズの言う[今いるパイロットはそのまま]というのは、今ここで[何かと便利だから]と言ってすべての人間をサブプロセッサー化してしまって、もしも未知の障害が、それも修正不能な障害が起きては、それこそ手の打ちようがなくなるのだから。今現在のシステムで言えばパイロットは人間、サブプロセッサーは脳核に生体コンピューターを埋設してはいるものの脳だけの存在である。その組み合わせでこの五年、いやつい先日六年経ったのだが、それだけの時間をやって来られたのだ。


 なので、


「当面はパイロットはパイロット、それからサブプロセッサーという体制で。この前上がってきた五期生は別としても、六期生以降はサブプロセッサーの数が増えるだろう。そしていずれは」


 その先は言うまでもない話だ。


 カズは、


「それをきみに平常心で聞いてほしかったのさ」


 そう言ってマリアーナの足枷を外した。


「いいんですの?」


 と問うマリアーナに、


「今のきみなら大丈夫、でしょ?」


 と言ってニッと笑顔を作る。マリアーナは既にこちら側の人間なのだ、それに[刷り込み]が行われている調律済みの三期生である。


 ――まぁ、非道だと言われてしまえばそれまでなんだけど、ヒトとしてみた場合はどうなんだろうか。これは[進化]と呼べなくもないのではないか。そんな気がするんだ。


 カズの瞳は遠い、それでいて案外近い未来を見ていた。


全34話です


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