26.その声は、マスターですの?-きみには[証人]になってもらうよ-
全34話予定です
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「その声は、マスターですの?」
目隠しをされているのだから分かりようもない。しかし、はっきりと聞きなじみのある声である。
「そう、オレだよ。まずはここでは何だから中に入ってもらおう。付き添いはオレがするから」
ライトバンから出てきた職員を手で制してエルミダス基地に戻るように伝える。この研究所にエルミダス基地、アルカテイル基地のそれぞれにいつでも人員輸送などが出来のように研究所付きの職員が待機しているのである。そして、今はエルミダス基地所属のライトバンでここまで来た。という事はエルミダス基地に何かあったときに移動ができなくなる。なのでここで元の基地へと返すという動作が出てくるのである。
職員の[分かりました]という言葉を聞き届けてから目隠しのままのマリアーナの肩をしっかりと抱いて研究所内に移動する。そんな移動をしばらくしてある部屋まで連れてこられた。そこで目隠しだけ外される。手枷はつけたままだ。それはこの研究所では余程のことがない限り簡単に外してはもらえないだろうし、カズも外しはしないだろう。
マリアーナが連れてこられたのはいわゆる個室である。
――あぁ、以前にもこんな場所で過ごしたかしら。
カズが倒れた事件の時である。あの時は結局カズが復帰するまでずっと目隠しと手枷の生活を余儀なくされた。一人でトイレすらまともに行けなかったのだ。詰まるところこの個室はそういう部屋なのだろう、くらいには思っていたのだ。
ただ、前回と今回の違うところといえば、カズが目の前にいて目隠しを取ってくれたというところか。
そんなカズは、
「いいかい、マリア。これから目の前で起こることは研究所と本人以外ではきみしか知りえないことだ。だけど、それ故にきみには[証人]になってもらうよ」
と静かに告げた。
――えっ、証人? 何が始まるというのですの?
マリアーナの頭には疑問符しかつかない。もちろんそういう環境下で、事前の予備情報一つない状態で色々とやらされてきた身だ、さらに言えばそんな台詞を吐いているのは自分が絶対視しているカズである。そんなに抵抗はないのだが、抵抗感というよりは戸惑いというべきなのだろう。
「これから何が始まりますの?」
と尋ねずにはいられないのである。
そんなマリアーナに、
「これからする事は、今までにないものなんだ。そして、第一例目になる。もしかしたらこれが今からレイドライバーという兵器の先駆けになるかもしれない」
ときたのだ。そんなだから、
「そんな重要なものにわたくしが立ち会ってもよろしいですの?」
と聞きたくもなる。たが、
「きみでないといけないんだよ、これが」
と返される。マリアーナの答えは、
――もちろん、貴方様についていきますの、それがどんな事だって。
「分かりました、やりますの」
と答えた。カズは少しだけ笑顔を見せながら、
「んじゃあ、もう一度」
そういって目隠しをしてマリアーナを部屋から連れ出す。行先は告げられでいない。だが、そこが[何かの]実験場なのであろうことくらいはマリアーナも理解していた。
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