23.どう見る?-不用意な言動は慎むべきね-
全34話予定です
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アルファとチャーリー、ブラボーとデルタに分かれた四体は、それぞれ持ち場の[戦場]へと向かった。そして向かった先はまさに最前線だったのだ。帝国軍の前線基地をそれぞれ叩くというミッションだ。そして武装は、といえば一般兵士と変わりがない。普通に軍服を着て、ライフルを装備し、腰には榴弾をぶら下げている、そんなスタイルである。
遮蔽を取りつつもほふく前進や壁際からの狙撃、そんなのを繰り返していた。
「どう見る? まぁ、どっちかが外れという事もないだろうけど、比較試験というていであればやっぱり」
アルファがチャーリーに問いかける。こんな時、全身義体化した躰というのはとても上手く出来ている。何と言っても思考しただけで通信が出来るのだ。それも暗号通信というオマケつきである。もちろんこの通信は短距離のもの、かつ同一の個体、つまりは生体コンピューターを埋設された脳核を持つもの以外には受信できても理解は出来ない。
だからだろう、ログを取られているというのを忘れがちになる。
そんなアルファに、
「不用意な言動は慎むべきね。ログ、だっけ? 採取されてるんでしょ。でもまぁ、それくらい愚痴ってもいいかもね、なんて言っても脳さえ無事なら今は私たち、不死身のアイアンマンなのだから」
とチャーリーが応じる。
そんな二体が配置された班の人間というのも、ある程度の事情を知っているのだろう、着任したときも部隊長に[ご苦労]としか言われなかった。まぁ、実際どんなのが来ようとも戦力になってくれればそれでいいのかも知れない。それにひとつ、普通の隊員補充と違うところといえば、整備員がついてきているところだろう。それはクリスたちのレイドライバーを整備するという目的もあるのだが、まずは喫緊の課題として全身義体の整備というのがあるのだ。
二体がいる部隊は優秀なのだろう、それほど戦死者や負傷者を出さずに順調に進んでいく。もちろん敵だって攻撃の手は緩めない。というか、必死である。よほど本国からきつく言われているのだろう、最後の最後というところで攻めあぐねている、そんな感じなのだ。
「じゃあ、オレたちで突破口でも開いてみるか?」
アルファがチャーリーに向かってそう尋ねる。チャーリーは、
「それがいいかもね」
とあっさりと提案を飲んで、
「部隊長、我々が活路を開きますので援護を」
と伝えると遮蔽から出てジグザクに走り出した。その動きというのは本当に人間と遜色はない。ただ一点違うところといえば、動く速度である。銃を構えつつ身を低くした状態で走るとなれば必然的にその移動速度は落ちる。だが、二体は速度を落とさずに走れるのである。
さらに言えばその射撃の命中精度だ。はじめのうちは一、二発外しはしたが、それは計測射撃であって本射撃ではない。そして本射撃は遮蔽から手だけ出して撃つ射撃などは除いて、しっかり照準を付けたものについていえばほぼ百発百中なのである。
そして彼らの脳には生体コンピューターが取り付けられている。敵の射線の予測もある程度はできるし、それを活用する経験も彼らは持っているのである。
だから敵本陣の突破という、とても時間のかかる作業もこの二体で難なくこなして見せたのだ。
被弾は、チャーリーが左腕に一発受けた。ちょうど移動中に予期していなかった場所から射撃を受けたのである。もちろん即応戦して仕留めたのだが。
そしてこの地の拠点は陥落する事ができた。チャーリーはといえば負傷した左腕が本当に[使えなく]なったのか試していた。その結果、どうやら外装をすこし削った程度だと判明した。
「動けるか?」
という整備士の問いに、
「もちろん、これくらいで交換なんかしてたら勿体ない。しかし、この身体は良くできてるのね、痛みのコントロールも自在なんて」
そう、それは仮に腕が吹き飛んでもペインアブソーバーを最大にしておけば全く痛みを感じずに戦闘続行が可能なのだから。
「じゃあ、次の戦線だ」
帝国軍の拠点はここだけではないのだから。
全34話予定です




