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18.せめて生きてくれていれば-離脱します-

全34話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 それからクリスは機体をゼロエイトのところまで持って行って表面装甲を剥がす。被弾していないところのリアクティブアーマーは邪魔でしかないからだ。そして被弾したリアクティブアーマーは装甲としては既に存在していない。


 直ぐにコックピットが現れた。クリスにとって良い情報なのは、コックピット周りのリアクティブアーマーが生きていたという事だろう。これは、コックピット周りに被弾していないというのを示している。ただ、手放しで喜べる状況ではない。コックピット周りのリアクティブアーマーの無事はあくまで正面のみ、側面はレイドライバー本来の装甲がへこんだ状態になっているのだ。


 こんな時にコックピット内をモニタリング出来ない現行システムを、クリスは少しだけ恨んだ。せめてパイロットのバイタルだけでも分かれば心の安寧にも繋がろうというのに、これでは言い方は悪いが[蓋を開けてのお楽しみ]というやつである。


 ――せめて生きてくれていれば。


 そう願いながらコックピットハッチのイジェクトをしてみるが、側面がひしゃげているので動かない。仕方なくレイドライバーの力技でハッチを開く。この辺りはパイロットなら一通り教えられている動作だ。ハッチの開閉の仕方と仕組み、それらを理解さえしていれば、内側のロックを外せさえすれば、実はそんなに力は要らないのだ。


 そして今回の例も簡単に開けることが出来た。


「フィリス准尉!」


 自分もハッチを開けて降りて近づいていく。コックピットの中は、無事であった。ただ、フィリスは気絶していたのだ。はたとみれば、側面から受けた攻撃によるものである。頭部を損傷してる可能性もある。だからクリスはまず現状を理解するところから始めた。


 脈は、ある。パッとみた外傷はない。首が折れているような様子も見受けられない。とすれば失神しているだけなのかも知れない。クリスは念のため首にエアーコルセットを付けて固定して自機にフィリスを運ぶ。


 この機体は第三世代型ではあるが、ベースとなっているのはもちろん第一世代型である。第一世代型にはコアユニットがいた。そう、ヒトが一人[内臓]されていたのだ。それを改修によってコアユニットという存在がいなくなった。最後まで残っていたゼロゼロも今は第二世代型に改修を受けている。そして第二世代と第三世代の大きな違いは存在しないのだ。要はサブプロセッサーを搭載するのかしないのか、それだけの違いである。


 そして現在稼働しているすべての機体はパイロット含めて人が二人乗れるようにコックピットが広くとられているのである。


「このままじっとしていて」


 クリスは、パイロットシート背面にある予備シーを展開してフィリスを座らせ、四肢を拘束する。これは座る人間の意識のあるなしに関わらずどうしても必要な措置なのだ。


 レイドライバーという兵器は[急]が付く動きが多い。戦闘中は当たり前としても、こと移動一つとってみても中にいる人間は[揺れる]のである。パイロットは自分が操作しているのだから[揺れ]ても平気である。それは例えるなら車の運転なんかに似ている。運転手は前を見て運転しているのだから多少の急ハンドルを切っても平気だ。しかし、視野を遮られた、つまりは目隠しをされた状態で助手席に座ればどうなるか。それは急ハンドルを切れば体を遠心力で持っていかれるだろう。


 だからシートベルトと四肢の固定が必須なのだ。これはトリシャがレベッカを助けた時からコックピット周りに改良が施された。パイロットとサブプロセッサーを収容する前提で、補助シートに改良が加えられたのだ。具体的には、サブプロセッサー単体で収容できるようにシートの座面に固定できるスペースを、そして収容したパイロットが意識がなくともある程度の作戦行動が採れるようにシートに固定具が取り付けられたのだ。


 クリスはイッテコイでもう一度ゼロエイトの機体に戻ってパイロットシートの座面にアクセスする。そこで緊急用切断スイッチに手を掛けつつ、


「いいですか、貴方を取り外しますから自爆シーケンスを起動してください。少し時間を取って」


 と告げる。指揮官機から自爆信号を送れば自爆するのだが、サブプロセッサーのバイタルがゼロになった時点で通常は強制自爆モードに入る。それはサブプロセッサーが死亡するくらいならパイロットはほぼ絶望視できるからである。かといってここで通常のシャットダウンをしてしまうと自爆信号を受信すらできない。なのでサブプロセッサーを回収して自爆、という事が出来るようにそういう仕組みが採られているのだ。


 ゼロエイトの[自爆モードに移行します。時間は三分にセットしました]という機械的な言葉を待ってクリスはサブプロセッサーの緊急用切断スイッチを入れた。と同時にそれは完全な人工音声で[サブプロセッサーが取り出されました。自爆信号を確認しました、一八〇、一七九……]というカウントダウンが始まる。


 その音声を聞いたうえでクリスはサブプロセッサーのイジェクトをして自機に戻りフィリスの足元を開いて固定し、彼女の足を再び拘束する。


「離脱します」


 クリスは自機を再起動してその場を少しだけ離れ、ゼロエイトの機体が爆縮するのを確認して残骸が綺麗に壊れているのを確認してその場を離脱した。


 ここでの戦闘は終結したのである。


全34話予定です


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