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14.それから一か月-その戦闘はそんな時間が流れていくさなかに起こった-

全34話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 それから一か月。


 旧ギリシャは案の定、帝国軍からの攻撃を受けた。もちろんカズたち同盟連合側はそれに対して策は立てていた。そしてほぼ同盟連合の書いた筋書き通りに事態は進んでいったのだ。


 目論見と少し違う点として挙げられるのは旧ブルガリアからの帝国軍の地上部隊の侵攻、これが予想より大規模だったという事だろうか。旧トルコは先の帝国からの侵攻の影響が色濃く残っていたので軍事的には疲弊していた。なので結果として少しの増援しか送れなかったのだが、その分を旧EU諸国、現在でいうところのそれぞれの州が結束してイタリア経由で軍を送り、前線を維持したのである。


 帝国の、例の新型戦車も投入されて、陸、空ともにそれは大騒ぎしたものだ。


 初めは同盟連合が劣勢だった。どこをどう通ったのか、何と敵レイドライバーは陸側、つまり旧ブルガリア側から来たのだ。数は二体、それが機械化部隊と共に進軍してきたのである。空を見上げれば戦闘機ももちろん飛んできていた。その中には最新鋭機と思われる機体も。


 旧ギリシャの領内に同盟連合が持つ主要装備は最新型を使用しているとはいえ、その配備されている兵器自体はいわゆる通常兵器である。必然、新型戦車や敵レイドライバーに対してみるみるその数を減らしていった。もちろんその間、三五FDIが気張って空は何とかイーブンという線を保っていたのだ。


 だが、陸上部隊の劣勢が本格的になるかどうかの境目でクリス達こちら側のレイドライバー部隊が到着、そこから反転攻勢が始まったのである。


 クリスとフィリスのレイドライバー二体のツーマンセルで戦いつつ、ゼロファイブは少し離れた機械化部隊の排除に航空戦力と共に当たっていた。この、レイドライバー戦が始まる頃には空はようやく同盟連合が有利になっていた。同盟連合の三五FDIは一機も落とされることなく過ごしていたからである。一方の帝国は熟練不足だったのか、それともこちらが一歩リードしたせいか、最新鋭機を一機失うという結果に至った。


 一歩リード、それはやはり経験の差なのか、作戦にあたったのはエルミダス空軍基地で後方待機していた二機である。そして同基地には三八FIもいる。今までの待機中、さんざん完熟訓練をしてきたのだ。これにはサンドやカレルヴォたちの影響も大きいと言える。


 彼らに[空の常識]をくるりとひっくり返されてからの、カズの[んじゃ、頑張って]という状態だったのだ。特にゼロフォーが操る機体には誰一人として勝てなかったのだから。

 彼ら、彼女らはそんな口惜しさがバネになったのだろう、エルミダス空軍基地で行われた模擬戦闘では対多数戦闘もこなして見せたのだ。


 空が勝ち始めた分、帝国の機械化部隊は徐々に押されていった。新型戦車は航空部隊が引き受けたのもあってゼロファイブ単独でも機械化部隊と渡り合えたのだ。やり方さえ、攻略方法さえ見つけてしまえば、あとは単純作業だ。そんな状態だったものだから、クリス達は敵レイドライバーだけに集中が出来た。


 レイドライバー戦は拮抗を極めた。相手は手練れの指揮官とおそらくは新兵という組み合わせ、つまりはこちらとイーブンである。そして自我が無いとはいえ脳みそが余計に二つもある分、訓練不足を除いても穴を埋めるに足る戦力になっている、と言えるだろう。もしかしたら自我のあるタイプの実戦が間に合ったのかもしれないが。


 同盟連合も日々進化している。それは帝国にだって言える話だ。ほんの一週間前までは敵なしだった兵器でさえ次の一週間でひっくり返る、そんな可能性を秘めている分野だ。それだけ同盟連合、帝国共にしのぎを削っているのだから。


 ただ、意外といえば意外だったのが所属不明の偵察機が何回か上空を駆け抜けていったことだろう。もちろん同盟連合のものではない。しかし、機影を見るにどうも共和国製のものではないか、という推測が立ったのだ。空戦域を敢えて避けて、陸上が見て取れる高度、具体的には低空飛行と呼ばれる飛行形式で数度、なぞっていったのだ。


 それは同盟連合、帝国の二国からしてみれば[見世物ではない]と言いたいところだが、互いが互いに集中しているこの状態で、はっきり言うと[構っていられるか]と言うところだったのだ。


 話をレイドライバー戦に戻すと、二対二のイーブンで操縦者もベテランと思われる人間と新兵と思われる二名、同盟連合もクリスとフィリスの二名。それぞれが遮蔽を取りつつ展開した、というところまでは基本に忠実だ。遮蔽の取れる場所であればちゃんと隠れて作戦を練りつつ行動する。クリスにはそれが出来るのだ。もちろん互いが遮蔽をとれば持久戦の様相を呈してくる。


 その戦闘はそんな時間が流れていくさなかに起こったのだ。


全34話予定です


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