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13.彼女が?-ええ、彼女が-

全34話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


「ああ、戻られましたね」


「おかえり」


 カズは二人に出迎えられてそのままレイドライバーのハンガーへと連れていかれる。そこにはスポーツウェアを着た少女が立っていた。


「彼女が?」


 カズがそんな質問をすれば、


「ええ、彼女が」


 とアイザックが返して、


「記念すべき第一号、ってところかな」


 と[襟坂]が続く。


 ――おぉ、これはこれは。


 とカズか感心するくらいに良くできているのである。


 ぱっと見は人形臭さが所々に残っているものの、数メートルも離れてみれば人間と大差ないといった感じだろうか。表情筋もあるようで、こちらが指定すればそのように反応する。もっとも、元となったテミラデの頭部には決して外せない生体コンピューターという[首輪]が付いているのだから。


 現に今まで監視はつけていたが、命令で[ここを動くな]と言って一時間立ちっぱなしをさせていたそうだ。脱走しようと思えば出来るだろうし、わざわざ警備の人間には写真を見せて[この娘が来ても発砲しないように]と厳命していたくらいだから。それくらい脳にくっついている[首輪]は優秀なのである。


 カズがしばらく眺めているとテミラデは恥ずかしそうにしながらもどこか怯えたような表情を見せた。


「これは」


 カズが唸る。それくらい表情豊かと言えばいいのだろう。


「触ってみても?」


 カズがそう言ってもだれも止める人間はいない。それこそ[品定め]に耐えられないようでは第一号としては失格なのだ。


 カズは皮膚をさすったり時にはつねったり。その都度表情を見る。本人にはあらかじめ[嘘や偽りをしないように]とも告げてある。つまりされるがままというやつである。


 ――まぁね、義肢技術はオレも目の当たりにしてきたけど、これはすごいな。


 触れはくすぐったがるし、つねれば痛いと言う。研究所で行われていた研究というのはそれこそ多岐にわたる。足と、腕、それから腹と背中でそれぞれ一定の圧力をかけて感じる差は何なのか。それを実現できないか。今回の第一号にはそこまでは搭載できなかった。代わりにコンピューターにディープラーニングさせて触覚の一致を測る。それも第一号の役目なのだ。


「さて、と。きみはこの躰にどんな感想を抱いているのかな?」


 カズはちょっと意地悪な質問をする。そんなカズにテミラデはやはり少し怯えながら、


「この躰は病気をまったくしないと聞きました。私は元々病弱だったのです。病院にも通っていました。両親に会わせて、とはもう言いません。せめて苦しいことは勘弁してもらえませんか?」


 そんな言葉が返ってくる。そんなテミラデに、


「きみをむやみに縛り上げて拷問するような真似はしない、と約束はできる。だけど、研究対象に変わりはないんだ。だからきみという存在でサンプルを採ることはあると思う。触感もその一つだ。今は手をつねられても背中をつねられても、腹をつねられても同じ痛みを感じるはずだ。その解消方法は、きみでしか行えない。そしてその[経験]を積み重ねていってほしいんだよ」


 とカズは静かに説いた。テミラデは泣きこそしなかったが、


「さらわれた時に死を覚悟しました。あの後両親はどうなったのでしょう?」


 と尋ねられる。そこは素直に、


「安心していい。無事は確認しているけど」


 カズはそこまで言って、


「もう会えないのには変わりはない、かな。それだけは覚悟してほしい。きみという存在はもう自分のものではないんだ。まぁ、さらっておいて何だけど、きみは同盟連合という国の持ち物になったんだよ。そしてきみのような存在はこれからさらに増えるだろう。その為にもきみには頑張って貰わないと」


 そう言って軽く肩をたたく。テミラデの表情から少しだけ怯えたまなざしが消えかかっていたのをカズは見落とさなかった。


全34話予定です


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