11.日本に向かってもらおうかなって思っている-また一緒に飛べるんですね-
全34話予定です
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マリアーナとターニャ、つまりはゼロテンのパイロットはその場で、
「はい、マスター」
と答えていた。
カズは、
「これから日本に向かってもらおうかなって思っている」
と告げた。マリアーナの[日本、ですの?]という問いに、
「現在、沖縄には同盟連合の空母群が駐留中だ。そして三五FDIも一機、搭載されている。今回はその増強とレイドライバー部隊の随伴が主目的だ。これには理由がある」
その理由とは、太平洋側にレイドライバー部隊がひとつもいない、それこそが問題なのだ。もしも帝国が日本を再奪還しようと原子力潜水艦で密かに太平洋側に送っていたら? それでなくとも同盟連合内部でも日本の次は台湾を、という声が無い訳でもない。
日本と台湾、これは同盟連合と帝国の両陣営にとっては要の場所である。そして現に日本は同盟連合が奪還した。その後の復興も着実に進んでいるという話だ。流石に三五FDを、とまではいかなかったものの、日本にはかなりの数の二八Fが提供されている。国内生産も順調に復旧しつつあり、志願兵を募っての兵力もいいところまで復旧しているという話だ。
そんな中で次に来るのは台湾だろう、という上層部の判断なのだ。それに、仮に台湾でなくとももしも太平洋側から直接米州を狙われたら? 米州というのは、本土での戦闘を一度も経験したことのない州だ。それは旧米国時代からずっと続いている。現在も、偵察機一機たりとも上空を飛んだためしがない。それだけ外部の刺激にぜい弱だ、と言える。もちろん帝国だっておいそれと同盟連合の[本州]と呼ばれる米州にちょっかいはかけないとは思われるが、レイドライバー部隊が少しずつ形になってきた現在、少々の部隊をこちらに回してもいいのではないか、そんな話が出ているのだ。
レイドライバーにしてもも三五FDIにしても近々での補充のアテはある、ならばいっそ分隊化を、となるのが必定であろう。
「なので、とりあえずは沖縄に駐留して、それ以降の話は追って連絡ってところかな。階級で言えばソフィアが上なんだけど、折衝事があるから表面上はマリアーナが部隊長として立ち振る舞ってもらうよ。もし、戦闘が始まったらソフィア大尉が指揮を執る、そんなところで」
それに、とカズは続けて、
「三五FDIとソフィアの相性はいいようだ。仮に空戦のみとなれば」
システムに介入、例の日本戦の続きが出来る可能性もある、というところなのだ。
「まぁもっとも、それだけ本州の人間も太平洋側での戦闘を本気で考えているというところなのさ。ソフィアことゼロフォーの話題はそれこそ上層部にも届いていてね。[戦の女神が付いている]と、それはもう」
現に上層部だけでなく同盟連合内部ではちょっとした噂なのだ。日本戦に限らず、戦乙女が乗った戦闘機は一ケタ違う相手と単機でやりあって生き残っている、と。
「だから、今回の三五FDIの遠征にはカレルヴォ大尉に行ってもらえれば」
「また一緒に飛べるんですね」
嬉しそうなカレルヴォがそう言うと、
「一緒に飛べるかどうかは未確定だけど、一緒の隊にはいられるかな」
と返す。
「さて、一連の作戦は以上なんだけど、残った組は引き続きアルカテイル基地の防衛、それから万が一考えて旧ギリシャにいつでも飛べるように待機だ」
と終わりにしようとしたところで、
「ではアルカテイル基地の三五FDIは一機のみという事になるのでしょうか?」
サンドだ。そう言われたカズは[おっと失敬]とおどけて見せて、
「本国から三五FDIの補充が二機なされたんだ、これには自我のあるサブプロセッサーが乗ってるんだけど、その二機をこちらに回す計画でいる。で、訓練してもらって……それ以降の話はまだ未定かな。二機は最低でもここに置くとするつもりでいるし、そのうち一機はサンド大尉に当たってもらう。何といってもここは最前線だからね。戦闘がなければ後方だ、なんてのは間違っても思っていないとは思うけど」
と言ったあとに、
「新規に配属された二名のパイロットも優秀だ、との内定が回って来てるんだ。この地で完熟訓練をして、その先この地に留まらせるのか、それとも別の戦地に赴くのか……それはまだ未定というところだ」
つまりは二機、補充が回ってくるのである。そしてカズは[そうそう]と付け加えて、
「エルミダス空軍基地にいる三五FDIたちには旧ギリシャへの増援として向かってもらう手はずになってる。まぁ、ここからならひとっ飛びだし、いい加減後方待機も飽きただろうし。空についてはそんなに心配はしていないかな」
そうして軍議は閉会となったのである。
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