10.そこで分隊の話が出て来るんだけど-ちょっとばかり世界旅行してきてもらうよ-
全34話予定です
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「現在、旧ギリシャに三体のレイドライバーを派兵中なのは、知ってるかもしれないし知らないかもしれない。その意図としては、さる筋から第五弾が旧ギリシャになるという情報が得られてね」
その辺りの詳しい話をカズが説明する。旧ギリシャには直接は向かわずに敢えて遅れていくという話もした。
「もちろん被害は最小限に抑えたいところではあるけど、情報の流出を疑われるのが一番困るかなって。だから」
それ以上は言わなくてもここにいる者たちならば皆が分かる話だ。捨て兵を喰らうというのは軍隊では[たまに]よくある事である。増援が出せるのに出せない苦悩、というやつだ。
「ただ、旧ギリシャは是が非でも落とされてはならない州でもある。なので向こうの出方を見て、増援が必要なら空路で増援を出すつもりでいる」
と話をする。
「で、次が旧イエメンへの残党ゲリラ狩りの二人だけど、これは純粋にゲリラおよびゲリラに属するものを排除してくる、と」
これもカズが話を追って説明した。
「まぁね、レイドライバーは対人兵器ではないから、結果はお察しなんだけど。それでも治安の維持が先決だからね」
事実、現在旧イエメンの主要都市には同盟連合軍が派兵をしているから押さえてはいるものの、一部地域にはゲリラ支配地域、と呼ばれるものが存在する。その地域にはなかなか立ち入れないというのもまた事実である。だから旧イエメンのトップは同盟連合への参加を決めたのだから。
いわゆる半武装組織という輩が相手なのだが、何もレイドライバーで向かわなくとも、兵隊を出せばいいのではないか、そう思うかもしれない。だが、目の前で人型兵器が動くのを目の当たりにしてしまうと人間、その力を欲しくなるものかも知れない。
現に、旧イエメンの国のトップたちに[是非に]と言われて今まで来ていたのだから。裏を返せば生身の人間に戦車よりも強い相手、である。結果は言わずもがななのだが、それでも同盟連合としては約束した手前、出さない訳にもいかない。
このタイミングというのは、カズが思っていた通りに良いタイミングなのかも知れない。第五弾の派兵も決まって帝国は旧ギリシャにご執心のハズ、そこで旧イエメンに派兵を、となるのである。カズは副二次的な効果として共和国へのアピールも兼ねているつもりでいる。
つまりは[同盟連合は、ここまでの戦力を有していますよ]と。一時期前の帝国とのアルカテイル戦の一件のようにレイドライバーという存在自体を隠して……などというのは、既に日本奪還作戦で全世界的に知れ渡ったこの兵器の、今更の秘匿理由にはなり得ない。それならばいっそのこと大々的にアピールして共和国へのけん制に使おう、そんな意図も今回の作戦には含まれているのだ。
もちろん帝国へ対しても[我々には複数個所に割けるだけの物的リソース、つまりレイドライバー分隊がいる]というアピールも兼ねているのだ。
「そこで分隊の話が出て来るんだけど」
同盟連合だって何も黙って帝国が撒いている火の粉を消している、という訳にもいかない。そろそろ分隊化をして世界的に世に出さないといけない、そう考えたのである。
パイロットは刷り込みを、サブプロセッサーにしても刷り込み教育と[首輪]が付いているから単独行動させられる。レイドライバーの発展はそこまで進化したのである。
具体的には空母群に強襲揚陸艇を兼ねた輸送船を同伴させて海の人となって貰う。そうすれば上陸作戦も取り易い。それだけの人材を確保できた、と考えるべきだろう。何もアルカテイル基地にレイドライバーたちをすべて置いておく必要はないのだから。
「そうだね、差し当たって」
そうカズは言うと、新人一名とマリアーナを選抜して、
「きみたちはちょっとばかり世界旅行してきてもらうよ」
そんな返しで話を始めた。
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