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五話 次の街に行こう! ※飲○注意

※今回のお話には性癖が歪む……かもしれないような表現が含まれております、ご注意下さい。

それから二日が経過した頃。


俺達はナチャロの町から遥か東に位置する、砂漠の中にある街『テリオーンの街』にもう少しで到着、という所にいた。


「はぁ、はぁ、マズいです師匠……

水が無くなっちゃいました……どうしましょう?」


ピアンテが何やらブツブツ話しているが、今はメモを見るのに忙しいからスルーさせてもらう。


『極秘!裏ボス情報メモ』によると、その街にある大きなカジノ、『デリオーンハウス』の何処かに裏ボスがいる可能性が高いらしい。


しかし、これでやっと裏ボスに会えるかもしれないというのに、俺は正直不安で一杯だった。


……だってカジノだよ?


そうなると多分だけどさ、そこで大量にゴールドを稼いで、例えばプラチナ会員だとか、ゴールド会員だとかになってさ。


(正直あんまり行った事無いからそーゆうのがあるのか分かんないけど)


「そうだ!もうこうなったら〝アレ〟を飲むしか……師匠!私ちょっとお、お花を摘みに行って来ます!」


「はいはい、行ってら……でも花なんてドコにも咲いてなくない?」


ピアンテがまた何やらブツブツ言って俺の元を離れて行ったが、全然聞いてなかったのでとりあえずテキトーに返事をして、話を戻そう。


そしたらそこで『会員じゃないと入れない部屋』みたいな所に行けるようになって。


そこで初めて裏ボスと戦える……みたいな?


そういう感じのイベントになってて、裏ボス戦はそこに組み込まれてるとか、そういう可能性あるじゃん?


だとしたら困るんだよねぇ。

俺その手のゲーム弱いし、所持金自体はあんまり持たない主義だから、まあ要するに『軍資金が少ない』からさ。


……本当にどうしよう?

「俺、英雄だから今すぐ会員にしてよ!」

何て恥ずかしくて言えないしなぁ。


それか、そこら辺の人に「俺、英雄だからお金貸してくれない?」とか言って軍資金集めを……いやもっと恥ずかしくて言えないわ!!


まあとにかく、俺はそういう理由で不安なんだ。



あ……ちょっと、待った。


それってあくまでも、『ゲームとかでよくある話』であって、この世界でも同じとは限らないか。


それに、ポジティブに考えれば『もし仮にそうなったとしても、それはそれで裏ボスに辿り着いた時の達成感ハンパ無くね?』とも言えるし。


だったら、もうどっちでも良んじゃね?

というかあんまり考えない方が良いんじゃね?


……そうして思考の全てを放棄すると決めた俺は。


ひとまずさっさとテリオーンの街のカジノへと向かい、問題があるのならばそこで考えれば良いという結論を出した。


「はぁはぁ、師匠!!今戻りました!!」


と、丁度そこでピアンテも戻って来た。


タイミングの良い彼女に俺はさっさと目的地に向かう旨を伝え、すぐに歩き出そうとする。


が、ピアンテは何故だかずっとモジモジして動こうとしなかったので、不思議に思った俺は彼女にそのワケを聞いた。


「何してんの?」


「あ、あの……ええと……」


しかし、それでもピアンテはひたすらにモジモジしているばかりだった。


しかもそればかりか、暫くすると段々と頬が赤く染まってきて、最後には瞳に涙を浮かべ始めた。


……え、マジでどうしたの?


熱でもあるのかな?

だとしたら、この二日間砂漠を移動したのが原因だよね?


「あ……もしかして、具合悪い?

何か気付けなくてゴメンね……まあ、街まではもう少しだから後ちょっとだけ頑張って」


「し、師匠!!コ、コレを飲んで下さい!

私も喉がカラカラですけど……それは、師匠も一緒ですよね?


だったら私よりまず先に、師匠に飲んで欲しいんです!師匠は、師匠は私の命の恩人ですから!今度は私が師匠を守って見せます!!


だからちょ、ちょっと恥ずかしいですけど……お先にどうぞ……!!し、死ぬよりは何倍もマシですから!!」


すると突然、ピアンテはワケの分からない事を言い出したかと思えば、これまた突然にも俺に革製の水筒を手渡してきた。


いや、喉カラカラなのはこの前ダンジョンで叫び過ぎたそっちだけだと思うけどね?


むしろ今はまだマシな方で、昨日なんて声スッカスカで8割くらい何言ってるか分かんなかったし。


ていうか、俺はこういう旅には慣れてるからあんまり心配しなくても良いんだけど……まあでも、ピアンテは俺を気遣ってそうしてくれてるワケだし。


じゃ、ここは素直に頂いておくか。

俺は水筒の口を開けてそれを傾けた。


……あれ?


でも水筒の中の水ってさっき、コイツが「もうダメ!」とか言って自分で全部飲み干したような……?


「…………うっ!?」


次の瞬間感じた、あるはずの無い強烈な塩気と口いっぱいに広がる妙な臭い。


それに危険を覚えた俺はすぐに口に含んでいた水を吐き出す。


「ぶはっ!!はぁ、はぁ……」


「あー!?せ、せっかく入れて来たのに……!!」


「な、何コレ糞マズいんだけど!?

おま、ピアンテ!水筒に何入れたの!?」


コレを持って来たのはピアンテだ。

だから俺はすぐさまそう言って、いきなり叫び出した彼女を問い詰める。


「く、糞マズい!?

…………う、うぅうううう!!


私は、私は師匠も辛いと思って……!!

恥ずかしいのを必死に堪えて……!!

入れて来たのに……それを、それを糞マズいだなんて……!!


……うわぁあああああん!!

師匠のバカーーーー!!!」


しかし、ピアンテは言い訳するどころか。


何故か大泣きしながら街の方へと一人で走り去って行ってしまった。


「…………は、はぁ?

マジで何なんだよ、俺が悪いの……?」


もう、訳が分からないよ……

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