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三話 ダンジョンに入ろう!

『ナチャロの古井戸』という名のダンジョンに飛び込んだ俺は、そのまま裏ボスを探し出すため薄暗いその中を歩き続けていた。


中の魔物は蝙蝠のような奴、蜥蜴のような奴、蛇のような奴、蜘蛛のような奴と、そこに相応しい見た目をした奴等がうじゃうじゃとしている。


しかも、その全てがこの町の周辺にいる魔物とは比べ物にならないような強さだ。


魔物達も俺の強さを分かっているのか今の所手は出して来ないが、逆にその知能の高さからコイツらが滅茶苦茶に強い事はすぐ分かった。


「……良いね、流石裏ボスのいるダンジョンだ」


どうやら興奮してしまっているようだ。

思わず呟いた自分のセリフで、俺はそうである事に気付き口元だけで微笑む。


まあでも、仕方ないだろう?

今から念願の裏ボスと戦うんだから、興奮するなって言う方が無理な話だ。


…………あとは。


「師匠、師匠〜!!怖いです!!怖いです〜!!」


さっきから腕にしがみ付いているピアンテが、もう少し静かにしてくれていたら俺の興奮は最高潮になるんだけどなぁ。


……いや、違う違う。俺は言ったよ?


最後の忠告もしたし、その後もちゃんと止めたんだ。

むしろ俺はだいぶ親切な方だと思うよ?自分で言うのもアレだけどね?


だけどピアンテは「その裏ボスっていうのがよく分かんないですけど、私はどこまでも師匠について行きます!さあ行きましょう!」とか言って、そのまま付いて来ちゃったんだよね。


「師匠!!師匠一旦!!一旦町に戻りません!?

本当一旦で良いんで一回戻りませんか!?」


でも、おかげでこの有様……本当この人大丈夫かな?とりあえず明日は叫び過ぎで声スッカスカになってるのは確定だろうけど。


「んー!!んー!!んー!!」


うるさ……声が枯れるのを心配して、口を手で塞いでみたけどまだ叫んでるよ。


…………悪いけど、ダメだな。


このまま付いて来ても彼女のためにならない。

ここはもういっそ、無理矢理にでもお帰り頂くとしようか。


そう思った俺は立ち止まってピアンテに言った。


「ねえ、ピアンテ」


「師匠!やっと町に戻る気になってくれ」


「本気で俺の弟子になりたいの?」


「……え?は、はい!勿論です!」


「そっか……だったらさ。

俺について来れたら認めてあげるよ!!」


次の瞬間、俺はすぐさまダンジョンの奥へと向けて走り出した。


「………………え?

えええぇ!?師匠!?師匠〜!?」



俺から離れた途端にピアンテはターゲットにされてしまい、次々と魔物が彼女を胃袋に収めようと襲い掛かる。


「ぎゃああ〜!!嫌〜!!助けて師匠〜!!」


だがピアンテは全速力で走り、何とか魔物の攻撃を掻い潜り続けていた。


それを、俺は遠くから眺めている。


……待って。

これは別に、俺の変な趣味とかじゃないからね!?


これには『ピアンテに俺の弟子になるのを諦めさせる』&『ちゃんとした修行の一つ』っていう、一粒で二度美味しい、しっかりとした二つの目的があるんだ。


まず一つ目はそのまんまの意味。


そして二つ目は、まあこれは俺の自論なんだけど。

こんな感じで『放置する』ってさ、一番人を強くすると思うんだよね。


一人で覚えて、一人で学んで。

一人で全部やらなきゃならない。

そうする事によって人はどんどん成長していくんだ。


だってそうしなきゃ、『死』が待っているだけなんだから。


ただ、このやり方のデメリットは特に大きなものが一つあって。それは、『これやると師匠ポジの奴はほぼ確実に嫌われる』っていう事だ。


まあでも、それならそれで私は……じゃなくて俺は一向に構わん!って思ってるし。


まずそもそもとして、さっきも言ったけどこれはピアンテに俺の弟子になる事を諦めてもらうためにやっているんだから、むしろそれで良いんじゃないかな?


だからそう、これは俺からピアンテへの最初で最後の指導なんだ。


まあまあ、ヤバそうになったらちゃんと助けるからさ。もう少しだけ黙って見守っていさせてよ。


「……ニンゲン……ハヤクコイ……」


……っと、そんな時だった。


ダンジョンの奥から響く声と、強烈な殺気を感じたのは。

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