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三十六話 ダンジョン『新生の魔王城』に挑もう! 2

静まり返る魔王城の内部には、俺のカツカツと鳴る靴音と、ピアンテのしょんぼりしている様子が音だけでも分かる、弱々しい足音の二つだけが響く。


だけかと思いきや、そのすぐ後ろからはどしどし、どしどしと、二匹いるのであろう大きな生物の鳴らす物音が続いていた。


「…………」


そこで俺はまた足を止め。背後を振り返った。


すると、そこにいたのは……


まあ予想はしていたが、トロール君とブラックドラゴン君であった。二匹はずっと俺達の後を付いて来ていたのだ。


いやいやいやいや!?何やってんすか君達!?


今の君達って一応、敵側なワケだよね!?

それが何で俺達の後ろにいるの!?俺てっきり、二匹は後々中ボスみたいな形で俺に挑んでくるのかと思ってたんだけど!?


っていうか、そうじゃなくてもせめて背後はやめようよ!?何か嫌だからさ!?流石の俺もそんなワケ分かんない状況に追い込まれたら緊張しちゃうからさ!?


……そう思った俺は、当たり前のようにして付いてくる二匹に声を掛けた。


「あ、あのー……トロール君?ブラックドラゴン君?」


「はい、セイントソード様」


「如何なされたのですか?」


いや!違う!違って!

それこっちのセリフだから!!


とは思いつつもひとまず俺はツッコむ事はせず、話を続ける。


「いや、あのなんて言うか、少し気になってさ。

君達って何で、俺に付いて来てるのかな〜って……」


「え……?それは、どういう意味でしょうか?

我々は当然の事をしているまでですが……??」


「トロールの言う通りに御座います。

安全に魔王様の元へと、皆様方をお送りする事こそが我々の役目ですから!!」


するとまた、二匹はワケの分からない事を言い始め……


「へ、へぇ!?そ、そっか!!そうなんだ!?

なるほどなるほど……それなら安心だね!?」


それを聞いた俺は、とうとう混乱してしまった。


(ただし自分でも『何が安心なんだろう……??』とは思っている)


「セ、セイントソード様?大丈夫ですか?

……お、おいトロール!これはどういう事だ……!?」


「わ、私にも分からん……だが、我々の行動は間違っていないはずだ。ダンジョン作成時のマニュアルにも書いてあっただろう?


『あまりにもダンジョンが高難易度の場合は、責任者が同行すること』と!」


「ああ、そうだな……確かその後には。


『そうすれば冒険者が強敵にダンジョンの奥へ奥へと追い込まれているかのような状況にも出来、尚且つダンジョン内部の状態も確認出来るので一石二鳥です』とも書いてあったはずだぞ!?」


だが、次に行われた二匹のそんな会話を聞き、俺は気付いた。


この二匹は恐らく、ふざけているのではなくて……


ただ単に、『ダンジョンを作成するのが初めてだから色々とよく分かっていない』という事にだ!!


……考えてみれば、確かにそうだ。


トロール君とブラックドラゴン君は魔王の側近……謂わば『会社のお偉いさん』のようなものであり、そんな者達が現場のあれこれを知らないのはむしろ当然。


だから魔王の指示で初めて自分達の手でダンジョンを作りこそしたが、その常識というかルールというか……


とにかく。

そんなようなものが全く分からないのであろう。


つまり、二匹は悪気があってそうしているワケでもなければ、ウケ狙いでそうしているワケでもなく。


ただひたすらに、自身の役割を果たそうとしていただけであったのだ。


……ならば仕方がない。


ちょっとやり辛いけど。

むしろ逆に緊張しちゃうけど。


でも、真面目に働いているトロール君とブラックドラゴン君をこれ以上困らせたくはないし。


このまま、魔王の所まで行くとしようか。


そう決めた俺は、慌てた様子でいる二匹へとこう言った。


「あー、確かにそうだったなー!

高難易度のダンジョンには、後ろに誰かいてくれるものだったよなー!


ゴメンゴメン!俺うっかり忘れちゃってたよー!

やっぱり久々のダンジョンだからかなー!あははー!」


ただ、混乱していたためかその言葉は、結構な棒読みになってしまったんだけど……


「や、やはりそうでしたか……!!」


「我々が何か不注意をしてしまったのかと思いましたが、そうではなかったのですね……!!ああ、良かった……!!」


だがそれでも、二匹を落ち着かせる事は出来たらしく。


「いやー本当ゴメンね!!

それじゃあ気を取り直して、皆で魔王の所に行こうじゃないか!!」


「はい!セイントソード様!!」


「我らと共に参りましょう!!」


そうして俺達は、無事(?)にまた前進を続けるのだった!!


…………何処か、居心地の悪さを感じたまま。



「……ねえ、聖也君。

さっきから気になってたんだけれど、ダンジョンってそんなものだったかしら?


私、魔物が背後から付いてくるなんて聞いた事がないんだけど……?」


「師匠、私もです!

そんなのって今まで一度も……」


「しー!しー!言わないで!二人共今は言わないで!

今だけで良いから!言わないであげて!お願い!」



……それからというもの。


もうパーティが『三人と二匹』になったも同然の、俺達のダンジョン攻略は…………


めっっっっちゃくちゃ楽だった。


それはそれはもう、マジで小さい『っ』を何個も付けるくらいにはだ。


というか、もう楽とかそんなレベルじゃないと思う。


だって俺、何もしてないもん。

ただパサレーをお姫様抱っこして、ピアンテのリードを引いて、それで歩いてるだけだもん。


もうそれって難しいとか簡単とかいう次元の話じゃないじゃん?ただの散歩じゃん?


まあ、そうなったのは主にトロール君とブラックドラゴン君の仕業(?)なんだけどね……


というワケで暇だから、いや暇過ぎるから。


移動中のこの時間で、何故そうなったのかという事を話していくとしようか。

(^ω^)

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