三十五話 ダンジョン『新生の魔王城』に挑もう!
……で、それを見た俺達三人はというと。
「おぉ……新生の魔王城……
って事は、久々のダンジョン攻略ですね!!
ならこうしちゃいられません!!師匠、パサレーさん!!行きましょう〜!!」
ピアンテはいつも通りだから以下略。
「や、やっぱり戦わないといけないんじゃない……!?
どどど、どうしましょう聖也君!?
私、今武器に出来そうなものなんておたまくらいしか持ってないわ……!!」
パサレーは最早、俺に全力でしがみ付いていて。
そして最後に、セイントソード様こと俺は……
「……なるほどね。
裏ボスとはまた違うかもしれないけど、『強化されたラスボスとの再戦』ってのもまた、こうグッとくるものがあるというか、何というか……
とにかく楽しみだ!!
二人共!!すぐ行こう!!さっさと行こう!!」
魔王の粋な計らいによってテンションが爆上げとなり。
まだ入ってすらいないというのに大満足な状態で、魔王城へと乗り込んで行くのだった……!!
「あ、あの〜……」
「ピ、ピアンテ様、少しお話が……」
「え?どうしたんですか?
トロールさん、ブラックドラゴンさん?」
「あのセイントソード様に寄り添っている、ご婦人の事なのですが……」
「ん?ああ、パサレーさんですか?
あの人はちょっと前から私達と一緒に旅をしてる仲間ですよ!!」
「なるほど、そうでしたか……
それで、あの方とセイントソード様とは、一体どういうご関係で?」
「ん?師匠とパサレーさんの関係、ですか?
さっきも言いましたけど、『仲間』ですよ……??」
「いえ、そうでは無くてですね……」
「何というかその、今のお姿から察するに……
もしかするとお二人は、恋仲なのではないかと思いまして……」
「いえ、それは無いと思いますよ?
パサレーさんは初めてこのお城に来たからああなってるってだけで、いつもあんな風にしているワケじゃないですから!!」
「そ、そうでしたか……」
「ふぅ、それは良かった……」
「ところで、何でトロールさんとブラックドラゴンさんがそんな事気にするんですか?」
「!?」
「そ、それは……!」
「ピアンテ!さっきから何してるの?置いてっちゃうよ!!」
「あ、ちょ!?待って下さいよ師匠〜!!」
「…………ふぅ」
「あ、危なかったな…………」
何か知らないけど、ピアンテがトロール君、ブラックドラゴン君達と話してて、ちょっと足止めを喰らってしまったから……改めて言わせてもらおう。
こうして、俺達は今度こそ。
魔王城へと乗り込んで行くのだった……!!
「せ、聖也君……!!」
「し、師匠!!これは……!!」
「うん、これは…………凄いな!!思った以上に凄いよ!!」
そして遂に、俺達が足を踏み入れる事となった魔王城……もとい、ダンジョン『新生の魔王城』。
その内部を見た俺達三人の感想としては以上であり。
それはただただ凄いと言うだけだったり。
もしくは俺の名前を、ピアンテに至っては自身が俺に与えた敬称を叫ぶばかりで、全くその構造やその凄さが他者に伝わらないようなものであった。
……だって本当に凄いんだもん、仕方ないじゃん?
まず、入り口からして以前とは全くの別物になっていたんだ。
何せ、そこから先はグネグネとした迷路のようになっていて、また奥には罠も、魔物の気配もする……という感じで。
それはまさしく、ダンジョンの入口と呼ぶに相応しいものをしていたんだから……むしろ以前と同じ部分を見つけるのが難しいくらいだ。
恐らく、これは魔王自身の魔力によって作り上げたんだろう……
だがそれにしても、この空間からはこだわりというか、本気度というか、とにかくそんなようなものがひしひしと伝わって来る。
だからそう、本気の本気でアイツは俺と戦い合うつもりでいるんだろう。
まだ入ったばかりだというのに、俺はこの時点でその事を確信し、やはりと言うべきか俄然やる気にさせられてしまった。
と、いうワケなのでここからは、『一応』ではなく、『徹底的に』気を引き締めて挑むとしよう……
しかし、そんな俺にも不安はあった。
とはいえ、それはダンジョンに対してでは無く、どちらかといえば〝こっち側サイド〟に対してのものなんだけどね……
「せ、聖也君!!絶対に私を離さないでね!?絶対だからね!?ね!?ね!?」
まず不安要素一つ目、それはパサレーだ。
さっきからひたすらにビビりまくっている彼女は、やっぱりダンジョンの中でも俺から離れようとはしなかった。
ちなみに「離さないでね!?」と本人は言っているが、そうしたくても出来ないくらいの力である。
ただまあ、その気持ちも分かるから、無理矢理引き剥がしたりするつもりはないんだけど……おかげで非っ常〜に、歩きにくいんだよね!
もしこんな状態で、罠とか魔物に気付けなかったら最悪の場合、全滅…………ダメだ、そんなアホな理由でダンジョン攻略を断念するワケにはいかないな。
じゃあ、こうしよう……
「パサレー、ちょっとごめんね!」
「きゃっ!?せ、聖也君!?」
「いきなりでごめんね。
でもこっちの方が歩きやすいからさ」
「そ、そうよね……ありがとう。
で、でも、少し恥ずかしいわ……」
というワケで、俺はパサレーをお姫様抱っこして歩く事にした。
これでもまだ少し歩きにくいけど……でも、ひとまず不安要素は一つ減ったと言っても良いだろう。
いや、例えそうでなくても言わせてもらいたいんだ。
だって不安要素はもう一つあるんだから。
で、それは何かって言うとね……まあ、言わなくても分かるかもしれないけど。
「師匠師匠!!多分こっちが正解の道ですよ!!
私のカンがそう言ってます!!こっち行きましょうこっち!!」
そうこの子、ピアンテ。
頼もしき我がパーティのトラブルメーカー。またの名を『歩く不安要素』だ。その点に関しては右に出る者はいないだろう。
ていうか今の発言だってそうだし……また泣くから言わないけど、君のカンとか一番信じちゃいけないヤツだからね!?
……まあ、それがなくても。
なかなか成長しているとはいえ、戦闘能力的には彼女もまだまだだから、普通に心配なんだよね。
今でこそこんな風に元気だけど、魔王城にいる魔物なんかと出会したら絶対また泣くか、騒ぎ散らかすだろうし。それに、また漏らしたりする可能性だって充分にある。
で、そうなると、ただでさえパサレーを抱えていて動きが制限されている俺が、〝ソレ〟に足を取られちゃってパーティ全滅……なんていう場合もありそうだし。
だからこそ心配で堪らないんだよね……あ。
だったらせめて、こちらである程度動きを抑制出来るようにしておこうか!
『捕縛魔法(首だけ)!』
「さあ師匠こっちに……って!?
わぁあああ!?師匠!!一体何なんですかこれは〜!?」
「首だけタイプの捕縛魔法だよ。
リードもちゃんと付いてるし、先は俺が持ってるから、ピアンテはそれ以上俺から離れないでね?首が締まっちゃうよ?」
「リードって……!?それはちょっと非人道的過ぎませんか師匠!?私の事なんだと思ってるんです!?」
と、いう事で俺が使ったのは捕縛魔法を応用したものだ。これでピアンテが突っ走るのを食い止められるだろう。
ただ、彼女からは批判の声があったが……まあ、それは承知の上だ。悪いけど無視させてもらう。
……さて。
それじゃあ、不安要素はこれで全部無くなっ……ったワケでもないけど、今出来る事はやったからひとまず前進する事としようか。
そうして準備を終えた俺達は、漸くダンジョンの入り口を離れて歩き出した。
(^ν^)




