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三十四話 魔王城に行こう!(三回目)

ルボワの町を後にして。パサレーが仲間に加わって。それと、俺に色々あって……


あれから、幾つの時が過ぎただろうか……一週間くらいかな?言葉にするとそこまで経っていないような気がする。


そして、それくらいの日々を過ごした俺達三人は今。


魔王城へと向かっていた。


まあ、恒例行事みたいなものだよね。

『極秘!裏ボス情報メモ』の文句を言いに行くとか、ただ単にまた行きたくなったとかのさ……


と、言いたい所だけど今回は違う。


実は魔王からの手紙を見て、俺達は今こうしてアイツのいる城へと向かっているんだ。


何でも、『今度は私がアンタに挑戦するわ!だからさっさと城に戻ってらっしゃい!』との事らしく、どうやらアイツは俺との再戦を希望しているみたいなんだよね。


一体、どういう風の吹き回しだろうか……?

とは俺も思っているんだけど、でも。


またトロール君とブラックドラゴン君の作るおやつが食べたくなってきた頃だったし、俺としてはむしろ丁度良かったんだよね。


……とか言っていたら、もう魔王城だ。


さて、それじゃあ早速、あの二匹に今日のおやつは何なのか聞いて…………じゃなく。


魔王のリベンジとやらを見せてもらおうか!!


…………だからおやつの事は、その後に聞くとしよう。



とは言っても、俺にとっては見慣れたいつもの場所だ。残念ながら緊張感など微塵も湧いてこない。


だから俺は、魔王との再戦をまるで忘れているかのような、いつもと同じ調子で奴のいる城へとどんどん近付いて行った。


「師匠〜!今日のケーキはどんなのが出てくるのか、知ってますか?私楽しみで仕方なくて……!!」


右隣にいるピアンテはそんな事を言っている。

足取りは軽く、表情も明るい。うん、彼女も緊張はしていないようだ。


まあ、ピアンテがココに来るのは二回目だから、そうなるのもしょうがないと思……


いや、腐ってもココは魔王城だ。

まだ二回しか来てないのに慣れるっていうのもどうなのかな……??


「せ、せせせ聖也君……!!たたた、確かに魔王城に行くとは聞いてたけど……まさか、な、中に入るの……??」


そんなピアンテとは裏腹に、左隣にいるパサレーは酷く不安そうにしており、さっきから俺の腕にしがみ付いたまま離そうとしない。


そして、そのせいで俺の左腕もまた、さっきからずうっとモフモフの羽毛で包まれているのだった。


ああ、あったかくて気持ち良い……まあそれは良いとして。


そうそうコレコレ。このリアクションこそが正解だと俺は思うんだよ、何しろココは魔王城なんだからね?


とはいえ、ずっとそうさせているのも何だか可哀想だと思い、俺はパサレーを宥めながら歩いた。


「パサレー、落ち着いて。

そんなに怖がらなくても大丈夫だよ、ココにいる魔物達は皆優しいんだ。


まあ、一人『ツンデレもどき』みたいなのもいるけど……でも、ソイツも悪い奴じゃないからさ?ね?」


「そ、そうなの……!?

私てっきり、ココは魔物達の王が棲んでる恐ろしい所だと思ったんだけど……違うの?」


「あ〜、それはまあ、間違いじゃあ無いんだけど……」


まあでも、あんまり意味は無かったんだけどね。


とにかく、そうして歩き続ける事数分後。

漸く俺達は魔王城の門前に辿り着いたのだが……それを待ち受ける、二つの影がそこにはあった。


そして、それは勿論。

もうすっかりお馴染みとなった魔王の側近二匹組、トロール君とブラックドラゴン君だ。


改めて見ると、二匹共相変わらずデカい。

そして実に強そうだ。これならばあの魔王を子供扱いするのも充分に納得出来る。


……まあ実際、その通りなんだけど。


と、いうのはやはりパサレーも感じているらしく。

彼女の俺の腕を掴む力がより一層強くなったのを肌で感じた。これはもうモフモフどころでは無い、『モフモフ・改』だ。


という事で俺は、パサレーを安心させるべく彼女の手を握り返しながら、あとモフモフも感じながら、二匹へといつものように挨拶した。


「やあトロール君!ブラックドラゴン君!いつもお出迎えありがとう!


今日は魔王の手紙を見てココに来たんだ、通してもらっても良いかな?」


「こんにちはトロールさん!ブラックドラゴンさん!

今日のおやつはどういったものなんでしょうか!?」


ああそれと、ピアンテの様子を伝え忘れてたけど……


でもご覧の通り、いつもと変わらず元気一杯だし。

あと空気も読めてないから、悪いけどやっぱり省略させてもらうね。


「ピアンテ様、その話は後にしましょう…………


……失礼。ゴホン、セイントソード様、ピアンテ様。そしてそのご同行者様。ようこそいらっしゃいました。


本日は主の我儘に付き合って頂き、誠にありがとうございます。しかし……」


でもトロール君は、何処か硬い表情でそう言い……


「セイントソード様。

今日の魔王様は、本気で貴方がたと戦うつもりで御座います。どうかお気を付けて……」


ブラックドラゴン君も同様、真面目な口調でそう話した。


……二匹共、今日は普段と違ってなんと言うか、真剣な感じに見える。


ならやっぱりアレは魔王の冗談とかでは無くて、マジだったんだな……


そう思うと、俺は今になって漸く緊張……は、してこないんだけど、でも奴が本気なのを知って一応は気を引き締める事とした。


「えぇ!?せ、聖也君!!

今、戦うって……ほ、本当に大丈夫なの……!?」


というか、それを聞いて一番緊張していたのはパサレーだった。


また更にモフモフが強まり、近付くのを感じる。

何故ならば、怯えた彼女が俺に身体まで寄せて来ているからだ。


今は……そうだね、『お化け屋敷で彼氏の腕にしがみ付く女の子』くらいには、パサレーは俺に接近しているだろうか?


とにかく、余程心細いのだろう。

そんな彼女の手を俺はまた強く握り返し、二匹との会話を続ける。


「…………ねえトロール君、ブラックドラゴン君。

一応聞いとくけどさ、それってやっぱり結構マジなヤツなの?」


「ええ、その通りで御座います。

魔王様は今日という日のため、セイントソード様と別れた後からずっと、毎日一生懸命に特訓をしていましたから……本気も本気で御座います」


「しかも、それだけでは御座いません。


この城は今現在、魔王様のご指示によって『打倒セイントソード様』を目標とした特別仕様となっておりまして……まあ簡単に言えば、ダンジョンのようになっているというワケです。


ですので今一度申し上げておきますが、どうかお気を付けてご入城下さい……」


そして二匹は、最後にそう念押ししてから扉へと手を掛け……


「さあ!!それでは、どうぞお入り下さい!!」


「「ダンジョン、『新生の魔王城』へ!!」」


俺達の前に新たなダンジョン、『新生の魔王城』への入り口を示して見せるのだった!!

(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

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