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三十三話 …………話してあげよう! 2 ※ゲ◯注意

※今回のお話には性癖が歪む……かもしれないような表現が含まれております、ご注意下さい。

……とまあ、こんな感じで俺のトラウマは再燃したってワケさ。


でも一応言っておくと、この世界にも大分慣れたせいか俺は割とすぐに立ち直れたんだよね。


それにパサレーともギクシャクしたのは最初だけで、今ではむしろ笑い話みたいになってるしね。


まあ、これは彼女があまり細かい事を気にしない性格なのが大きいんだけど。


って事だから、この話はおしまい……


……ではないんだ。


だって、もしも本当にそうなら……その時の話をもっと楽しそうにしているはずだろう?


実はこの話にはね、続きがあるんだ。


……いや、もっと正確に言えば。


もう一つあるんだ。


再燃したトラウマをより悪化させ、今も尚俺を苦しめ続ける原因となった、もう一つの出来事が……!!



これは、さっき話したのとはまた別の日の事だ。


こっちは確か、パサレーが我がパーティに加入してから四日目とか五日目くらいの頃だったと思う。もっと詳しく言えばお昼時だったはずだ。


で、その時にも俺は、パサレーから「聖也君はお昼ご飯、何か食べたいものある?」って、ランチメニューの希望を聞かれたんだけどね……


当時の俺はふと、ルボワの町でも食べたシチューのセットを思い出して……そしたら、無性に食べたくなってきちゃってさ。


だから、俺はパサレーにそれを頼む事にしたんだ。


そして、そんな俺の注文を聞いたパサレーは二つ返事ですぐに作り始めてくれたよ。


「はいは〜い、分かったわ。

じゃあ、少し待っててね…………あ。


でも、聖也君は覗いちゃダメよ?

今度という今度は、流石の私もちょっと恥ずかしいから、ね……」


ただし、妙な事を言われた後にだけど。


とはいえ、まだ……まだ、そこまでは良かったんだ。


でも逆に言えば、ここからがダメだった……いや、ダメダメだった。


俺が……俺が……


パサレーの言いつけ通りキッチンに入ろうとさえしなければ、こんな事にはならなかったのに……!!



『じゃあ、それってお前のせいじゃね?』


そう思う人もいるだろうが、俺だって悪気があってしてしまったワケではない。ちゃんとした理由があるんだ。


だって突然、シチューセットを作っていたはずのパサレーがいるキッチンから、一瞬呻き声みたいなのが聞こえてきたんだよ?


そんなの入るに決まってんじゃん?

仲間のピンチかもしれないじゃん?


そうでなくても料理に失敗して、ベタなクソマズ料理とか出てきたら困るじゃん?


例えばほら、あーゆうのだよ。

魚の頭が飛び出てるパイとかピザとか、全体が紫色の何やら分からん料理とか……まあ、それはともかくとして。


そんなワケで俺は、キッチンの中で何が起きたか確かめるため、そこに近付いて行ったんだ。


ちなみに言っておくと。

その時の俺達三人はある街の宿屋に泊まっていて、厨房もそこのモノを借りてたから。


だから、当たり前と言えばそうなんだけど。

ちゃんと屋根も、壁も、仕切りもあって。


わざわざ覗き見ようとでもしなければ、中の人がお料理している所は、待っている側の俺達からは全然見えなかったんだ。


だからまあ裏を返せば、様子見するならそうやって近付いて行かなきゃならなかったんだけどね……


(もう一つちなみに言っておくと。

そこには、ピアンテもいたのだが……


彼女には聞こえなかったらしく、相変わらずいつもと同じオムレツを待ち続ける彼女はニコニコとしているばかりで……


いや、それどころか「え〜??そんな声しました??もしかして、師匠のお腹の音だったんじゃないですか??」とか言って、全く付いて来ようとはしてくれなかった)


まあとにかく、そうして俺はキッチンの前まで来たんだけど。


「パサレー、今何か、呻き声みたいなのが聞こえたような気がしたんだけど……大丈夫?」


そう声を掛けてもパサレーからの応答は無く。


「うぅ……おえぇ……!!」


代わりにまた、呻くような声が俺の耳に届いた。


それで、流石に心配になってきた俺が、覚悟を決めてキッチンへと足を踏み入れると。


「……!?」


…………そこには、驚きの光景が広がっていた。


とはいえ、室内には何の異常も無いようだった。

料理が失敗したような雰囲気も、荒らされたような形跡も、争ったような気配も当然無いのだから間違い無い。


ただし、パサレーだけは例外だった。


何故ならば、彼女は……今まさに、シチューを煮込むために使うのであろう鍋に。


どうしてか顔を埋めてゲ…………もとい。

何かを吐き出そうとしていたのだから。



ただそれはあくまでも、彼女のそんな姿を見た俺がそう思ったというだけで……もしかすると、いやきっと、いやいや絶対、必ず。


パサレーがそんな事をするはずが無い。


するワケも分からないし。する意味も、理由も、必要も、そんなモノは一切合切無いんだから……


『俺に嫌がらせをしたいから』などと、彼女が考えてさえいなければ。


「パ、パサレー……何、してるの……?」


だからこそ、パサレーを信じていた俺は彼女にもう一度声を掛けた。


大事なコトだからもう一度言うが。

俺は彼女がそんな事をするはずが無いと、信じているのだから。


…………でも。


「え!?せ、聖也君!?

も、もう!!またなの!?


見ちゃダメって言ってたのに……!!」


「ゴ、ゴメン……さっきここから、呻き声が聞こえたような気がしてさ……


そ、それでパサレー?

い、今って、何をしてるの……かな……??」


「…………ねえ、聖也君」


「え?」


素囊そのうって知ってる?」


「……え?」


俺がまた以前の時のように、顔を真っ赤にしたパサレーから教わった素囊なるものは。


鳥類等、一部の生物が持つ消化管の一つであるらしく。そしてそれは、簡単に言えば食べたものを一時的に保存しておくための器官であり。


……で、そこから作られた、栄養豊富で美味しい、『シチューの素』ことピジョンミルクは。


栄養豊富だろうが、美味しかろうが。

どうだろうが結局の所は、ゲ…………まあ、それっぽいものと何ら変わり無いワケで。


だからつまり……何が言いたいかって言うと……


全ては俺の予想通り、いや。

現実は俺の想像以上に残酷だったという事だ。



…………はい。


そうして、俺は過去の記憶が間違いじゃなかったって事に気付いたワケ。


ちなみに、勿論未だにそのトラウマには悩まされている。事実、俺はまだシチューセットは食べられていないからね。


パサレーにはちょっと申し訳ないような気もするけど……


でも、オムレツは……まだいける。というか全然食べれる。卵の入手方法はともかくとして、味は最高だからさ。


ああそれと、パサレーの方はね……

やはりと言うか、こっちはもう全然大丈夫みたいで、その話をすると彼女はいつもケタケタと笑ってるよ。


俺にとっては笑い事じゃないんだけどね……


まあ、そういうワケだからこれでこの話は終わりだ。


というか、続こうが何しようがここで終わりだ……もうやめようよ、こんな話。


誰も望んで無いでしょ?そうだよね?

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