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二十七話 漸く!裏ボスをぶっ倒してやろう!

そうして、漸くご対面する事となった百魔集合体アグリゲート・ドラシェン。


それはまさしく、裏ボスと呼ぶに相応しい姿形をしていた。


元々は獣に近い種族か体型だったのだろう。体毛に覆われた体の前半分……いや、本体と言った方が良いだろうか?


とにかく、そこは以前の俊敏さ、狡猾さを残しているように見える……ああ、そうだ思い出した。


確かコイツ、生前はフェンリルみたいな姿をしていたな。ならそう見えるのも納得だ。


そして体は厚く長く太く、まるで竜のようで。


だがしかし、その中で最も目を引くのは……何といっても醜悪なその外殻だろう。


やはり、様々なモノを取り込みながら地獄より這い出て来たという情報は確かだったようで。


それは魔物や人などと言った種族に関わらず。

ありとあらゆるモノの腕を、脚を、頭を、目を……


そんな有象無象をその身に纏い。

呼吸の度悪臭を振り撒き。動く度床に血や汁を垂らし。時々、体のあちこちから悲鳴や唸りを上げ。


そして、俺達を見下ろしているのだった。


…………うん!

これはこれで良い!良いと思うよ!


だって、こーゆう『色んな意味でヤバい見た目をした敵』ってさ、意外と裏ボスによくいるじゃん?


例えばほら、『某大人気死にゲー』とか。あと『ヘリがよく墜落する某大人気サバイバルホラゲー』とか、そんな感じのゲームにさ!


まあだから、そういった敵の……『格』とでも言えば良いかな?とにかく、それは充分合格ラインだし。


それに、こういう奴にはあるあるだけど。


色々とくっ付いているからこそ、様々な敵の技とか魔法を使ってきたりしそうで、戦いがいがありそうで……!!


まあ、何が言いたいかって言うと……とにかく。


……今の俺は!!

ワクワクしちゃってどうしようもないんだよね!!


というかそうでなくても、対裏ボスっていうのがやっと出来るワケだから、それもそれで堪らなく嬉しいし!!


「ただ、ちょっとキショ過ぎるのは難点だけど……まあやっと裏ボスと戦えるんだ、この際我慢しよう!!」


そんな感情を胸に、裏ボスを見つめ返す俺は。


いつしか興奮のあまり打ち震えていた。


勿論、ビビってるからじゃなくて嬉しくてだよ?

だからそう、これは武者震いってヤツだ。


「ぎゃああああああああ!!!

ひいぃやゃああああああああああ!!!」


対して、ピアンテは今まで見た事も無いくらい叫び散らかしていた。


まあ気持ちは分からんでもない。

今俺達の目の前にいるこの魔物は、過去最高クラスにグロテスク……つまりめっちゃキモい見た目をしているんだから。


そりゃあ、そんなモンを見ちゃったら誰でもこうなるよね。ましてや、ピアンテだって一応は女の子なんだし。


でもちょっと五月蝿い。

いやゴメン、やっぱり正直に言おう。めちゃくちゃ五月蝿い。


「……捕縛魔法(緩め)(イージーバインド)


という事で、ピアンテは魔法でサクッと部屋の隅にあった柱に縛りつけておいた。


「あぁああああ師匠!!

『絶対に俺から離れちゃダメだよ?』って言ってくれたのを忘れたんですかぁああああ!!


ヤダヤダヤダヤダ怖い怖い怖い怖い!!

師匠!!早く解いて下さいよ〜!!師匠〜!!」


あ……確かにそんな事言ったな。

ゴメンよピアンテ、ばっちり忘れてた。


でも、これは君のためでもあるんだ。

だってまた、近くで漏らされたりして、それで俺がまたコケたりでもしたら……今度こそ二人共、助かりはしないだろうからさ……


というか、普通に喧しいし。

あとこれは流石に本人には言えないけど、多分普通に戦力外だろうし。


まあ、そういうワケなので戦いが終わるまでピアンテは放っておくとしよう。


さて、それじゃあ邪魔者……間違えた。

ピアンテも避難(?)させた事だし、早速始めようか。


俺は剣を手に持ち、戦闘の構えをとった。


すると自身に向けられる殺気を感じ取ったのか、百魔の集合体もまた体勢を低くして俺を睨み付ける。


「お、良いねお前。

俺を前にしてビビらない奴は久し振りに見たよ!!」


……さあ。

楽しい楽しい、対裏ボス戦の始まりだ!!



だが、その戦いに水を差す者があった。


俺が待ちに待った、ワクワクドキドキの時間が始まろうとしているのにも関わらずだ。本当に許せない。


そして、そんな事をした奴とは。

ピアンテでも無く、裏ボスでも無く、当然ながら俺でも無く。


やはりと言うべきか、あのいけ好かない虎野郎だった。


アイツはいざ戦わんとしている俺と魔物の間に割って入ると、とんでもない事をしでかした。


黒魔術・行動制限ネグロマギア・アクションバインド!!


……やった!!やったぞ、成功だ!!


フハハハハハ!!

これは捕縛魔法の際に生じた魔力を使った即席の黒魔術だ!!今のお前は通常攻撃以外、何も出来ん!!


抜かったなセイントソード!!まさか自らの行いによって苦しめられるとは思わなかっただろう!?」


そう、何とコイツは。


コイツは……万が一にも俺がそれを喰らう事に賭けて、行動制限の黒魔術を俺に放ちやがったんだ。


そして、それは奇跡的に……いや運悪く俺へと効果を発揮し。


コイツの言う通り、今の俺は魔法も、技も、果てはアイテムを使う事すら出来なくなってしまったというワケだ……


それと恐らくだが、わざわざ捕縛魔法の魔力を少し変化させて行動制限にしたのは。


何も出来ない俺をただ殺すよりも、何とか抵抗出来るくらいの俺を少しずつ痛ぶる方がその過程を楽しめるからなんだと思う……なるほど、コイツは性格まで腐っていたようだ。


だが。コイツはたった一つ、間違いを犯した。


それは俺の行動を制限した事でも、俺を完全に捕縛魔法で行動不能にしなかった事でも無い。


別に行動など制限された所で俺は負けないし。


もし仮に行動不能となったとしても、俺を捕縛出来る程の魔法はかなりの精度と魔力を必要とする……


よって、そんなものは数秒と持たないからだ。

それくらいの時間なら例え一方的に攻撃されようとも余裕で持ち堪えられる。まあ、俺ならばの話だが。


……なら。

虎野郎のした間違いとは、一体何なのかと言うと。


それは…………この俺を怒らせた事だ!!

夜に更新しました!すぐにでも、朝にでも、お読み頂けたら嬉しいです!!

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