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二十五話 さあ!ぶっ飛ばしに行こう! 3

ピアンテは勘違いしてるみたいだけど。


別に、そういうワケじゃないんだよね……前にも言ったけど、武器の手入れは彼女が偵察に失敗すると思ってやってただけだし。


だから教えておくけどさ。


俺の本当の目的っていうのはね……こうやって、わざとらしく敵側の陣地で動いて見せる事で。


敵の侵入と、部下達がそれに秒で敗れた事を知らせてあの大馬鹿野郎をビビらせてやりたかったのさ。


だって、そうするなら絶対こっちの方が良いでしょ?


直接ソイツの所に向かって、そのまま普通に勝利して見せるより……ゆっくりゆっくり向かって来る、侵入者がいる事を知りつつも。


圧倒的な戦力差のせいで、それを震えて待つ事しか出来ないっていう、よりハイレベルな恐怖を味合わせてやれるんだからさ。


ちなみに、それをピアンテにも話してみたんだけど。


「えぇ……師匠、それはちょっと悪趣味なんじゃないですか……?」


とか言って彼女、ドン引きしてたよ……


まあ相手が悪者だからって、何やっても良いワケじゃあないのは分かる。


……分かるけど。

でも、もうどうせ後戻りなんて出来ないじゃん?


だから、ひとまず今はこのまま、悪趣味な野郎でいさせてもらう事にするよ……別に開き直ったワケじゃないよ!?


だって仕方ないじゃん?

そう、仕方ないからさ……仕方ないから……アハハ。



流石、トップが黒魔術で好き放題していただけの事はある。


その後も俺達の前に立ち塞がり続ける使用人達は、主人と同様その全てが召喚魔法を使ってきて。


そうして現れるのは。

フェンリルのような獣型魔物や、人型のそのまんまゾンビみたいな魔物。


また中にはドラゴンゾンビだとおぼきし奴や、『それ、ドコから連れて来たの?』と言いたくなるような、死霊のような奴なんかもいて……等々。


ここは邸宅の中であるのだと言うのに、まるでダンジョンにでも潜り込んでしまったかのようなバリエーションの豊富さだった。


ただし、魔物を『アンデット系モンスター』という括りにしてしまうと、途端に種類が少ないように感じてしまうのだが。


……でも、それはつまり。

全部が全部、この『セイント・ソード』こと俺を天敵としているワケでもあって。


だから魔物がいくら種類豊富だろうと、どんなにいようと。戦況は常に俺の一人の勝ち状態で……まあ簡単に言えば。


全く歯応えも無いまま俺達は勝利し続け、いつしか目的の奴等がいるであろう邸宅の最上階へと辿り着いていたのだった。


「師匠!いよいよですね!」


扉の前に立つ俺に、ピアンテが背後から声を掛ける。


そんな彼女はもう、騒いではいなかった。

どうやらこの状況に慣れたらしく、むしろ途中からは逆に大人しくしていたような気がする。


正直喧しかったから、そうしてもらえて非常に助かった……が、ここから先は話が別だ。


相手は『極秘!裏ボス情報メモ』にも情報が載せられていた程の魔物なんだから、もう少し気を引き締めなければならない。


そう、油断大敵というヤツだ。

だから『慣れ』なんてモノは、今に限って言えば捨ててしまった方が良いのである。


……まあ、俺はゆるゆるでも大丈夫なんだけど、でもピアンテは絶対にね。


「うん、でもピアンテ、油断は禁物だからね?

ヤバいと思ったら絶対に俺から離れちゃダメだよ?」


そう思い、俺は一言ピアンテにそう告げ。


「分かりました!!」


元気良く返事をした彼女と共に。


「さて……それじゃあパサレーを苦しめてる、大馬鹿野郎に鉄槌を下しに行こうか!!」


「ええ、行っちゃいましょう!!」


扉を開けて、中に入…………


「…………」


「あれ?どうしたんですか師匠?」


「うーん……いや!やっぱりこうした方が良いな!


…………オラァ!!!」


訂正、やっぱり前に宣言した通り。


俺は扉を開けるんじゃなくて。

それを蹴り開けて、中に進み行った。


「なるほど、それがしたかっただけなんですね……」

٩( 'ω' )و

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