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十一話 わからせてあげよう…… 2 ※尿○れ注意

俺の話を聞き終えるまで、赤髪は随分と大人しくしていた。


「アンタ……あのセイント・ソードだったんだな。

へっ、通りで敵わないワケだぜ……」


あ、俺の正体を知ったから大人しくしてたのかな?


「……まあだから、何が言いたいかって言うとさ。


君はもう少し、仲間を大切にした方が良いし、そうした方が君のためにもなる……とか、そういう事を俺は言いたかったんだ。分かってもらえたかな?」


まあ理由は何でも良いけどね。

聞いててくれさえすればさ。


という事で俺はそう言い、話を終えた。


「ま、アンタがそう言うならそうなんだろうな。


……幸い、コイツらも許してくれるようだし。

俺ももう少しアンタに習って、いや仲間に習って。

色々と勉強させてもらうとするよ。


だが、その前にまずは体力を回復させないとな。

だから今回の宝はアンタに譲るぜ……ただし、次はこうはいかないからな」


すると、赤髪はそう言い。


「アニキ、アニキ」と彼を呼ぶぽっちゃりとガリガリに支えられながら、街の方へと去って行った……どうやらまだ、アイツは見捨てられてはいないようだ。


「ああ、俺も期待してるよ。

君達三人が、記憶しておくに値する人物になる事をね……」


それを見た俺は呟き。

こっそりと彼等に防御魔法を掛けてやった。


結構魔力を〝強めに〟したから、街までは余裕で持つと思う。


……と、そうしてこの場合には。

ピアンテと俺だけが残されるのだった。


「あ、あの、師匠!」


「ん?」


「……あ、あの私。

さっきの人達とは別にパーティってワケじゃなくて!その、何故か突然頼まれて一緒にいたっていうだけで、その……」


「…………なら、俺の所に帰って来る?」


「し、師匠!!はい!!」


「それじゃ、俺達も一旦街に戻ろうか」


そんなピアンテとも無事に和解し。


俺は、いや俺達は。

漸くまたいつものパーティに戻る事が出来たんだ。


……いや失礼。別に和解はしてないか。

それに何か忘れてるような気がするんだけど、何だったっけ……?


「ん?クンクン……ピアンテ、何か妙なニオイがするんだけど、途中で変なアイテムでも拾ったりした?」


「え、あ……じ、実はですね。

ちょっと、びっくりし過ぎて、も……も……」


「も?」


「…………漏れちゃったんです!!」


「えぇ……そ、そっか。まあ仕方ないよ……うん、仕方ないよ……何かゴメン」


「いえ、それは良いんですが。

何だか私、こんな話ばっかりしてるような気がして、ちょっと恥ずかしいです……」


「ん?『こんな話ばっかり』ってどういう事?

前にも似たような話なんかした事あったっけ?」


「え?」


「え?」


……まあ良いや、ひとまず街に向かうとしよう。

早くピアンテをお風呂に入れなくちゃいけないからね。



先程ピアンテのお漏らしが発覚し。

ちょっと気まずい雰囲気のまま街に向けて歩く事となってしまった俺達二人。


でも、さっき少しばかり本気を出したお陰(?)か魔物達は全く姿を現す気配は無く。


だから強いて言うなら。

俺達の障害となるのはこの空気だけ……まあ逆に言えば、俺達はそれ以外に何の問題も無く移動を続けていた。


というか、気のせいかもしれないんだけど。

ピアンテの方から来るニオイ、つい最近何処かで嗅いだような気がするんだよね……その時、近くに我慢出来なかった人でもいたのかな?


「師匠師匠!今夜なんですけど、ちょっとだけでも良いんで夜の街に遊びに行きませんか?


テリオーンの街は毎晩とても賑やかで、それはもうお祭りみたいなんだって街の人から聞いたんです!どうですか?とっても楽しそうじゃありませんか!?」


そして、漏洩しちゃったご本人であるピアンテはと言うと、いつのまにかご覧の通り、すっかり元気を取り戻していた。


どうやら気まずい雰囲気が流れていたのは俺の方だけだったらしい。


けどそれにしてもコイツ、本当ポジティブだなぁ……とか何とか思いつつも、とりあえず俺は返事をした。


「うーん、そうだな……まあ先を急ぐ旅じゃないし、ピアンテがそうしたいなら良いよ。じゃあ夜はこの街を散策してみようか」


「やったー!!ふふふ、そうと決まれば色々と調べておかなくちゃですね!!」


それを聞いてはしゃぐピアンテ。

スキップまでして、余程今夜が楽しみな様子だ……別に変な意味とかじゃなくてね?


「エヘヘ、どうしよっかな〜。

露天巡りとか、そこで晩御飯食べたりとか。

いやいや、街を歩いてるだけでも楽しそうだなぁ〜……って、わぁ!?」


すると……どうやらはしゃぎ過ぎたようだ。

ピアンテは足を踏み外し盛大にコケて、床に尻餅をついてしまった。


「大丈夫?」


「いたた……ごめんなさい師匠、ちょっと私浮かれ過ぎてたみたいです」


うん、それは見てれば分かるよ。


けどまあ怪我が無くて良かったと、俺はピアンテに手を貸そうとする。


……と、その時だった。


ピアンテのお尻が……じゃなくて。

その下にある床の一部分が「カチリ」と音を立てたかと思うと。


突然、ダンジョン全体が大きく揺れ動き始めたんだ。


「え!?何!?何!?」


「…………これは、もしかして!」


それとほぼ同時にオロオロし始めるピアンテ。


だけど、俺はそれどころじゃ無いからノーリアクションだった。


思い出したんだよ。

そういえば、このダンジョンからは裏ボスがいそうな気配がしてたんだったなーって事をさ。


とはいえ、それを忘れるくらいにはその気配は弱かったんだけど……でも、そこまでの道が隠されていたって言うなら納得だ。


で、どうやって隠されているかって?


それは例えるなら……揺れ動くダンジョンの壁が動き出したかと思えば、それがいきなり左右に分かれて。


そして、そこにあった扉が姿を現すとかじゃないかな?


……そう、今みたいな感じにね。


そうして、完全に俺の予想通りな形で裏ボスへと続いているのであろう扉は出現した。


……ビンゴ。

絶対にそうだ。間違い無い。


扉が現れた途端、強烈な気配を感じた。

これは絶対に、絶対に裏ボスしか出せないようなものだ……この俺がそう思うんだからそうに違いない!


「……そうか、あの時のお告げは〝コレ〟を予言していたのか……!!」


「え、占い?どうしたんですか師匠?」


「凄い!凄いよピアンテ!

やっぱり君は俺に幸運を齎してくれる存在だったんだね!!」


「は、はぁ……よく分かりませんが、そこまで言われると照れちゃいますね!エヘヘ……」


「よし!それじゃあピアンテ!

俺にしっかりついて来てね!早速裏ボスの所に行こうじゃないか!」


ティオも流石だが、ピアンテもグッジョブだ!

こうして二人は俺に裏ボスへの道を示してくれたんだからね!!


そう思い、すっかり興奮してしまった俺は。


居ても立っても居られずすぐさま扉を開け、その先にいるだろう裏ボスを目指し駆け出して行ったんだ……


「あ!ちょっと待って下さいよ師匠!

私、あの……その前に着替えたいんですけど!!」


「ゴメン!それは後にして!」


「そんなぁ……酷いですよ師匠!!師匠〜!!」

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