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めんどくさがり令嬢の、めんどくさライフ 8

 案の定、公務はガタガタで。ライオットは執務室で頭を抱え、大きく溜め息を吐く。同行していたコーシャン侯爵家のマルゲリータも、自分がしでかした失態に、顔面蒼白になりソファに座っていた。


「・・・・・はぁ~~~・・・・・。マルゲリータ嬢。」

「は、はい!!」

「もう少し、各国の動向と内部情報を勉強して来い。もしくは、解からなければ知ったかぶりをしないで、ただそこで笑っていろ。それさえできないのであれば、婚約者候補から辞退しろ。・・・・それだけだ。」


出て行け。眼で強く云われ、マルゲリータはガクガクと震えたまま立ち上がり、震えながらカーテシーをして執務室から出て行く。カッ、カッと令嬢とは思えないほどの脚音を立てて、逃げるように立ち去って行った。


「・・・・・詫び状を書く。テン。」

「かしこまりました。すぐにご用意をいたします。それと、今回の件。すでに、国王陛下の耳に入っております。説明をしに来い。とのことです。」

「・・・・・説明。するもなにも、全部影が報告済みだろう。なにを説明しに行けばいいのだ。」

「ご令嬢たちの社交を見誤っていた。と云うことでしょうか。」

「だから、アンジェリーナでないと無理だと云ったのにっ。」

「そのアンジェリーナ様に、無理強行をされて、過労で倒れさせたのはどなたですか。」

「・・・・・私だ。」

「解かっていらっしゃるのであればよかったです。・・・・忘れているのなら、そのドタマをかち割ってやろうかと思ったが。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


とてつもない辛口に、ライオットも云い返すことなどできず。話している間にも用意された便せんに、ライオットは今日の不手際と無礼を謝罪する文を書きしたためた。


 コーシャン侯爵家、マルゲリータ嬢がしてしまったことは、すぐにアンジェリーナの耳にも入り、とこに臥せりつつも、頭を抱えるしかない。


「・・・・嘘でしょう? 噓と云ってちょうだい。ティーファ・・・・。」

「大変申し訳ございませんが。事実でございます。この失態により、おそらくコーシャン侯爵家は、婚約者候補から辞退されるかと。」

「侯爵家では、各国の動向や、王族の思考などを教育していないのですか?」

「されているかと思いますが。我が、スカイフォース公爵家とは教育の内容は雲泥の差かと。」

「・・・・雲泥の差。・・・・・いけないわ。この国を怒らせると、国交が途絶えてしまうわ。王族がどうなろうと構わないけど、民たちに被害が及ぶのはどうしても塞がないと。・・・・ティーファ。点に連絡をして頂だい。きっと、殿下のことだから謝罪の書だけで終わらせようとするでしょう。それだけでは、ダメだと。」

「かしこまりました。すぐに、連絡をいたします。」


急ぎ部屋から出て行くティーファを見送り、アンジェリーナは床に臥せっている場合ではない。とベッドから出る。


「影! いますか。」

「・・・・・ここに。」

「すぐに、いまから書き留めるものを、あちらに送ってちょうだい。それと、送る時は必ず殿下の書状も一緒にね。テンにその旨云って、渡してくれるかしら。」

「かしこまりました。・・・・・国王陛下より、アンジェリーナ様にお詫びを預かっております。」

「そんなのいらないわ。わたくしが手を貸すのは、この国を愛していて、この国に住む民たちを愛しているからです。」


紙に必要な物を書き記し、影に渡す。影は受け取ると、すぐに姿を消した。


「こうしてはいられないわ。わたくしも、動かないと。・・・・執事長を呼んで!!」


チリン、チリン。


鳴ったベルに、ティーファがいない時に動くメイドが動き出す。アンジーは軽く顔を洗い、着替えを済ませると、父親のいる執務室へと向かった。


 怒りに肩を震わせたリンドバーグ国第一王子 ケイト・リンドバーグは静かに書をしたためていた。


「・・・・・同行して来た令嬢に、我が国を侮辱され、進行している神をも嘲笑われた。我が国としては、コンシェルジェン国より正式な謝罪がない限り、国交を断絶することを進言します。・・・・これで、良いか。」

「国交断絶はやりすぎではないですか? ケイト様。」

「そうか? あれほどの侮辱を受けては当然のことだと思うが。」

「お気持ちは解かりますが。これでは、スカイフォース公爵家も黙ってはいないと思います。」

「スカイフォース公爵家・・・・。アンジェリーナ嬢が同席していれば、このようなことは怒らなかったと思うぞ? 同席させなかったということは、私を下に見ていたということでだろう。」

「いつもは同席されていらっしゃいましたからね。なにかご事情があったとは、お考えには?」

「事情?」

「はい。取得しました情報では、連日あのライオット殿下の公務に同席をさせられて、過労で倒れられた。と。」

「は? なんだと!? あのくそ王子は、アンジェリーナ嬢が倒れるほどに、同席させていたのかっ。」

「はい。それで、どうしようもなく今回のご令嬢を同席させたようですけども。いかがなさいますか?」

「それが事実であったとしても。アンジェリーナ嬢が同席できないのであれば、ひとりで来るべきだった。あのような常識しらずの令嬢を同席させるなど・・・・。」


コン、コン、コン。


話していると、ドアが叩かれる。お付きの男性は、一礼をすると、ドアへと向かった。


「・・・・・はい。・・・・・え?」


ドアを開け、そこにいる人物を見て、目を丸くする。それもそのはず、そこにいたのは先ほどまで話していたアンジェリーナと、専属メイドのティーファであった。


「お久しぶりです。ヌーさん。ケイト・リンドバーグ殿下はいらっしゃいますか?」

「その声は・・・・!! アンジェリーナ嬢か! 入ってもらえっ。」


聴こえた声に、ケイトはすぐに席を立ち、出迎えに開いているドアへ行く。少し顔色の悪いアンジェリーナを見て、ケイトは抱えると中に戻り、ソファに降ろした。


「きゃあっ。・・・・・相変わらずですね。ケイト殿下は。」

「ケイト、と。それより、先ほど聞いたばかりなのだが。過労で倒れていたと。もう動いても・・・・。」

「もうご存じでしたのですね。お恥ずかしい限りです。・・・・本当は、今週いっぱいは休むように。と主治医に云われていたのですが。そうも云っていられなくなったことができてしまいましたので。出向いた次第でございます。・・・・まずは、お詫びを申し上げます。この度は、我が国の侯爵令嬢が、ケイト・リンドバーグ殿下に対し、無礼で極まりないことをしてしまったことに、大変申し訳ございませんでした。大変、恐縮ではございますが。この場は、わたくしに免じてお許しくださいませんでしょうか。」


座らされたソファから立ち上がり、深く頭を下げてアンジェリーナが謝罪をする。ケイトはすぐにアンジェリーナを座らせた。


「詫びは受けよう。だが、アンジェリーナ嬢が謝罪をすることではない。謝罪をすべきは、あの侯爵令嬢と侯爵家、さらにはライオット王子だ。」

「・・・・そう仰られると思いました。でも、あのお二方の謝罪を待っている訳にはいきません。国交断絶をお考えでしたでしょう? そうなると、一番の被害を被るのは民たちです。王族がしでかしたことで、民たちが苦しむことなどあってはならないことですから。それに、今回のわたくしの謝罪は、民たちのことを思ってのことであり、あのお二方のことを思ってのことではないですわ。」


きっぱりと云い切るアンジェリーナの物言いに、ケイトは しょうがない。と笑む。


「そうだな。あなたはそういう方であった。ヌー、そこにある書状を。」

「はい」


執務机より、先ほどケイトがしたためていた書を取り、渡す。ケイトは内容をアンジェリーナに見えるようにして、その書状を破った。


「・・・・ところで、アンジー。これは、元学友として云うのだが。過労で倒れたということは、療養が必要でだろう?」

「ふふ。そうですね。父からも、この際だから、リンドバーグ国で少し休んできたらどうだ。と云われていますわ。」

「なら、私が帰国する時に一緒にどうだろうか。妹たちも、アンジーを連れて来い。とうるさくってね。」

「あら。良いですわね。わたくしも、少しライオット殿下の無理強いに、ほとほと嫌気がさしていたところなんです。」

「なら、決まりだな。ヌー、ティーファに必要な物の説明を。」

「ティーファ。ヌーから聴いてくれる?」

「「かしこまりました。」」


いつの間にか、リンドバーグ国での療養が決定したアンジェリーナは、出されたお茶を飲みながら、ライオットがどう動くかを考えていた。



ライオットは、社交が苦手で殆どアンジェリーナを伴い、アンジェリーナにまかせっきり。なので、どの国もアンジェリーナを困らせる気はまったくないのです。それに気づいていないのは、ライオットだけなのです。

久々で、エピソードタイトルを間違えてしまいました。

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