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めんどくさがり令嬢の、めんどくさライフ 2

読んでいただきありがとうございます。

 約束通り、1時間で会場を後にしたアンジェリーナは、馬車の中で、モノすっごく嫌そうな顔をしていた。


「冗談じゃないわっ。誰がっ、ライオットの婚約者になんかなるもんですかっ。こうなったら、国外逃亡よ!!」


憤慨して、部屋に戻り、クローゼットを開ける。かばんを出すと、簡易服を詰め始めた。


「アンジェリーナ様。国外逃亡をされると、お家が潰されるかもしれませんよ? そうなると、旦那様と奥様が路頭に彷徨われることになってしまうかもです」

「おっ、お父様とっ、お、お母様が・・・・!! ううっ。それでもっ。わたくしは、ライオットの婚約者になんかなりませんからね!!」


ティーファの言葉に、アンジェリーナはどうにか気を取り直し、簡易服を詰めるのをやめる。ティーファは、ホッとして息を吐いた。

 とりあえず、お風呂でも。とティーファは入浴の用意をする。アンジェリーナは淹れてあった紅茶を、ゆっくりと飲んでいた。


「あんのくそ腹黒王子めぇ・・・・。公爵家にいないのであれば、侯爵家にならたくさん同じ年ごろの令嬢がいるでしょうにっ。それにっ、今日も侯爵家のご令嬢たちは全員揃っていたでしょっ。そっちから選びなさいよっ。くそ腹黒根性悪の小悪王子がっ」


もう、公爵令嬢と云うのを忘れているとしか思えないほどの、罵詈雑言が出てくるわ、出てくるわ。どれだけ、嫌われているのですか。ライオット殿下。とお湯を用意していたティーファは思っていた。


「お父様もっ、お父様ですわ! わたくしがっ、あれほどっ。めんどくさいことが大っ嫌いなのを知っているのにっ。なんで、婚約者にっ。あんなくそめんどくさい腹黒にっ。って考えられるのかっ。やっぱり、国外逃亡よっ。国外亡命よっ。・・・・どこか受け入れてくれるところを探さないとっ」


こう云う時のアンジェリーナの行動力は、とんでもなく早く。ティーファは慌てて浴室から出て、アンジェリーナを呼んだ。


「あ、アンジェリーナ様っ。お湯の用意ができました。お疲れでしょう。ゆっくりとマッサージも致しましょう。髪も香油を垂らして、洗いましょう」

「・・・・ティーファ。安心して頂だい。国外逃亡と亡命をする時は、ティーファも一緒ですからねっ」

「は、はい・・・・・」


永年、専属メイドとして就いているティーファの性格を知り尽くしているアンジェリーナが、ティーファの退路を断つために云う。ティーファは、それはとっても嬉しいのことなのですが。と思いつつ、アンジェリーナを浴室へと導いた。


 一方、ライオットは、一応お茶会として残っていた令嬢たちとも交流をしていて。テンは、笑いと云う面を被ったライオットの後ろに控え、その様子を見ていた。


(・・・・アンジェリーナ様が退出して、帰ってしまわれてからは、いつもの表情に戻ってしまいましたか。・・・・どうも、アンジェリーナ様の前では、年相応の表情をされるのですが。他の方々の前では、鉄仮面と云われるほどの仮面をつけてしまわれますからねぇ・・・・。国王様も王妃様も、ライオット様のそういうところを気にしていらっしゃるのですが・・・・・)


できれば、アンジェリーナがライオットの妻として傍にいてくれるのが一番望ましい。しかし、アンジェリーナは国一番と云われるほど、めんどくさいことが大っ嫌いな令嬢なのである。王子妃教育も、王太子妃教育も、さりげなくアンジェリーナの勉強内に解からないように入れ込ませていたのだが。それが、今日判ってしまった以上、アンジェリーナが国外逃亡もしくは、国外亡命を考えているのは、手に取るように解かっていた。


(今もこうしている間に、アンジェリーナ様は国外逃亡か国外亡命の下調べと準備をされていらっしゃると思うと・・・・。気が気ではないでしょうね。ライオット様)


にこやかに談笑はしているが、ライオットから醸し出される気配は、早く帰れこの香水臭い奴らども。とだだ洩れているのが見て取れて、テンはひとしれず溜め息を吐いていた。


 お風呂から出たアンジェリーナは、ティーファを下がらせて、おもむろに続き部屋になっている書庫へと入る。灯かりを点けて、本棚を見上げると、王国法律全集と書かれた本を手にし、近くにある椅子に座った。


「・・・・どうにか、あの腹黒との婚約をできないようにしないと。もうっ。本当にめんどくさいのだからっ。だいたい、なんでわたくしがこんなめんどくさいことで頭を悩ませないといけないのよ。本当に、あのくそ腹黒。・・・・あ、廃嫡に持っていけばいいかしら?」


どこを読んでいるんだ。と突っ込みを入れる者は傍におらず。不敬も良い言葉を云いながら、アンジェリーナはパラパラとめくっていく。


「それにしても。ライ様って、他のご令嬢にはあんなに冷たく接していらっしゃったかしら? 王立学園にいらっしゃった時は、あそこまで冷たくはされていなかったと思うけど」


なにか原因があったのかしら? と王立学園に通っていた時期を思い出す。が、ナニも思い出すことなどなく。それも当然で、学園に通っている間、アンジェリーナはライオットとは全くといって良いほどに、接していなかったからであった。


「まぁ、腹黒のことはどうでも良いわ。いまは、どうやって婚約者にならなくて済むか。と考えないと。・・・・ほんとっ、めんどくさいんだからっ。めんどくさいことなんてっ、早めに処理してあとは楽をするのが一番よね」


手っ取り早いのは、ライオットと侯爵家の令嬢とを婚約させることで。アンジェリーナは、王国法律全集を見て、王国貴族図鑑も取り、2冊を見比べてライオットの婚約者候補に挙がりそうな侯爵家を調べ始めた。



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