92話:いろいろ体験できました!
事件も無事解決した。
もろもろ方針も決まり、私達がすることはもうない。
ならばまだバカンスシーズンは始まったばかり。
ハッサーク国を楽しまない手はない!
ということで少し遠出して、砂漠でラクダに乗る体験をした。
このラクダに乗る体験は、なかなかインパクトがあるものだった。
まず座らせたラクダに乗ると、ラクダは後ろ足から立ち上がるので、いきなり前のめりになる。これを事前に知らないと、転がり落ちると思う。さらに動き出すと、馬とは揺れが全然違うのだ! 馬は上下の揺れ。だがラクダは前後の揺れ。これは不慣れだと酔うかもしれない。
幸い、ジェラルド、ブルース、ミユも私も大丈夫だった。だがロイター子爵は酔ってしまい、途中で降りることになった。ちなみにロイター子爵夫人は「馬もあまり得意ではないので」ということで最初からラクダに乗る体験はしていない。
なお、降りる時も注意が必要です!
立つ時と違い、ラクダは前足から座る姿勢に入るので、意識していないと前のめりになり、転落する。馬とは本当に違うのだ!
ただ、飼育されているラクダは人懐っこい。そして好奇心が旺盛。そして私はなぜか……動物に好かれる?
ラクダは通常、発情期に鳴くという。だが今は特に発情期ではないとのこと。ところが怪獣みたいな独特の声で鳴かれ、もうビックリ!
ただ、鳴くだけであり、パオーンのように鼻チューをされることもない。孔雀のようにツンツンもない。
平和……かというと、そうでもないのです。
鳴く際、思いっきり口を開けると……Oops,Dragon breath!
すごい口臭でした。
そんなラクダに乗る体験をしたり、砂漠の近くにある古い遺跡を見学したり。
砂漠に沈む夕日と星空を眺めたり。
あのベージュの砂漠が茜色に染まる日没鑑賞は感動だった。
星空はもう宇宙のようであり、胸が熱くなる。
ただ、気温が日中に比べ、恐ろしい程下がっていた。
でもその涼しさも最愛であるジェラルドがぎゅっと抱きしめてくれるから……。
彼の愛と体温でほっこり、心身共に温まった。
大自然を満喫する一方で、ハッサーク国のダンスも習った。
このダンスは本来、あの露出多めの伝統衣装で踊るもの。
でもさすがに人前で、ロイター子爵夫人もミユも私も、あの衣装でダンスをする勇気はない。
そこで通常はイブニングドレスで着るような、胸元や背中の露出が多めのドレスを着て、ダンスを習うことになった。ただ、これだと足の動きや腰、お尻の動きが際立たない。本来は、一夫多妻が認められているハッサーク国で、夫の愛を競う女達の間で誕生したダンスらしく、露出多めの伝統衣装で踊ってこそ意味があるのだとか。
とは言われても、日中からそんな姿を見せるわけにはいかず。
だがしかし!
迎賓館に用意されている部屋に戻れば、ジェラルドが毎晩のお楽しみ(?)で購入したあの衣装が沢山あるわけです。
そして当然、夜にはリクエストが!
「キャサリン。せっかくだ。あの衣装で、ダンスの真髄を見せて欲しい」
ジェラルドに言われ、挑戦することになったが……。
これは踊る自分が言うのもなんだが、妖艶だと思う。
腰の動きは煽情的。
手や指の動きは官能的。
胸の揺れさえ振りつけになるが、こちらはもう扇動的だ。
さすが一夫多妻制の国で、夫の寵愛を競うために誕生したダンスなだけある。
殿方の目を確かに釘付けにすると思った。
ダンスの習熟度としてはまだまだのはず。
でもジェラルドは大満足してくれた。
いろいろな意味で♡
そんな濃密な夜を過ごし、前世でいう垢すりのような体験をしたり、岩窟ホテルに宿泊もした。
どれもレーモン王国にいては体験できないものばかり。
ブルースもミユも、学園生活最後のバカンスシーズンを満喫できたと思う。
そして迎えた最終日。
この日の最後のイベントは、送別仮面舞踏会だったが、これは要するに伝統衣装での参加もOKということ。ハッサーク国に来たばかりの時に開催してくれた舞踏会とは違い、異国情緒が漂う。
例のダンスの曲も流れ、そこはもうハッサーク国の女性達が、大変なまめかしい踊りを披露。そうかと思えば、プロダンサーが登場し、同じダンスを踊るのだけど……。それは競技ダンスに見えてしまう。色っぽさが昇華され、芸術の域まで高められている。これには拍手喝采。
その後はいきなりワルツが流れ、男女が手をとりダンスを始めるのだから……。
本当に斬新な舞踏会だったと思う。
こうして予定していた滞在の全日程が終了。
翌朝は国王陛下夫妻に謁見し、滞在中の活躍とこれからの友好の証の褒章を全員が授けられた。さらに宮殿のエントランスで盛大な見送りをされ、汽車が待つ駅舎へ移動。
思い出せば汽車では密入国事件があり、ハッサーク国に着いてからは、綿花畑事件があった。
ひと夏の間にこんな事件に遭遇するなんて!
でも見事すべて解決し、今がある。
ブルースが自らリアーニャ第二王女を対処する姿を見ることもできた。
ジェラルドは綿花畑事件で、犯人の変装の綻びを見つけることができたのだ。
ミユも人質になっても毅然とし、状況観察ができていた。
きっと私達家族は最強だと思う。
これからも何かあったとしても。
安心してください。
何が起きても“家族の力”で軌道修正し、ハッピーエンドにして見せます!
お読みいただき、ありがとうございます!
ひと段落です~
卒業舞踏会まではのんびり書いていきたいなぁと思います。
6本も連載作品を毎日更新していたので少し休憩をいただいてもよいでしょうか……!?
ごめんなさい!
良かったらこちらの作品、お読みいただけると嬉しいです!
『森でおじいさんを拾った魔女です
~ここからどうやって溺愛展開に!?』
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既に10話以上公開されています。
謎のおじいさんの正体が判明し、そして――。
さくさく読めます。ご賞味くださいませ☆彡
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