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91話:根本的に解決です!

 ジェラルドの合図と共に、皆が一斉に動いた。


 黒髪の癖毛に焦げ茶色の瞳で、胸の辺りに爆弾を巻き付けた男を制圧したのはジェラルドとシール副団長だ。


 シール副団長がタックルするように飛び掛かり、ジェラルドがその手からランタンを奪い取った。


 もう一人の茶髪の男性を倒したのはブルース。


 こちらもタックルで押し倒し、騎士が手に持っていた剣を取り上げた。


 残りの騎士は、まずは自身の既に緩めていたロープをはずす。

 次に女性陣のロープをはずすと、そのまま抱き上げる。

 そして女性陣全員を窓の外へ逃がしてくれたのだ。


 さらに兵士の何人かも窓から飛び出し、そこに落ちている武器を拾い上げ、中にいる仲間へパスする。


 食堂の中の男二人の制圧が進む中、私達の背後から突然現れたのは、ハッサーク国の兵士達!


 伝書鳩が届き、すぐに兵士が派遣され、建物は勿論、綿花畑一帯を兵士が取り囲んでいたのだ。


 爆弾がないか確認が進められ、そして男が巻き付けていた爆弾も偽物と判明。

 爆弾を模した物がいくつか発見されたが、それは偽物。


 こうして私達は無事、誰も怪我をすることなく、生還することができた。


 ◇


 綿花畑事件からしばらくは慌ただしい日々だった。


 何が起きたのか全員、聴取されることになったし、ジェラルドは国王とも話し合いをしている。


 それは綿花畑を巡る不当な労働の実態調査を求めるものであり、きちんと調べて欲しいと頼んだのだ。


 もしあの男達が言っていることが事実であるならば。

 ジェラルドは、自身の商会のハッサーク国との取引を止めることさえ厭わないと、国王に告げている。


 これには国王は驚き、きちんと調査をスタートさせた。


 実はレーモン王国との綿花の取引、ジェラルドの商会がその多くを占めていたのだ。もしジェラルドが手を引けば、国が衰退する第一歩になりかねないぐらい。


 国王は調査結果が出るまでは、綿花畑事件の犯人として捕らえた二人の男を罪人扱いはせず、尋問を続けることになった。かつ、伝書鳩により届けられたリスト。そこに書かれていた村の出身地の人間へのヒアリングも開始された。


「すぐに調査結果が出ないと言い出したから、調査結果が出るまでは取引を中止すると告げた。おそらく数日以内には、結果が出るだろう」


 ジェラルドがここまでするのは、彼の先祖は奴隷制に強く反対していたからだ。おかげでレーモン王国では、かつてあった奴隷制は廃止されている。


 こうして綿花畑事件から一週間後。


 この日は迎賓館のすぐ隣にある国立ハッサーク美術館を半日貸し切りで観覧し、併設されているレストランで食事をしていた。


 本当なら、もう少し遠出をする予定だった。

 王都の郊外にある古い遺跡を見たり、ワイナリー巡りをしたり。


 でも綿花畑事件があり、護衛の騎士の数がうんと増えている。

 しかも調査結果を待っていた。

 よって王都内の比較的安全な場所を選び、地味に観光を続けていたのだ。


 さすがに迎賓館にこもりきりでは、ブルースとミユの学生生活最後のバカンスシーズンが味気ないものになってしまう。ということで美術館を見て、食事。


 だがこの場に、あのリアーニャ第二王女の姿はない。


 なぜか。


 綿花畑事件で、リアーニャ第二王女は恋に落ちたのだ。


 一体、王女にどんな心境の変化があったのか。


 あの不安な状況の中、ブルースは全神経をミユに向けていた。

 リアーニャ第二王女も守るべき婦女子の一人ではあるが、どうしたってブルースの気持ちはミユの安全第一に向かう。そしてジェラルドは当然、あの人質状況の中、私を気遣ってくれた。ロイター子爵夫人は言うまでもない。彼女の夫であるロイター子爵がそばにいた。


 だがリアーニャ第二王女は?


 そこにはラーク第二王子もいた。

 王子を守る騎士や兵士は沢山いる。


 ならば護衛の責任者でもあったシール副団長は、リアーニャ第二王女を守るしかない!


 ということで人質にされていた最中、シール副団長は献身的にリアーニャ第二王女を支えた。騎士であるシール副団長にとって、それは当たり前の行動だった。


 だがシール副団長の自然な言動を、リアーニャ第二王女は特別なものと感じていた。


 ブルースが気になっているのに、相手にされない。

 対してシール副団長は「怖いわ」と言えば「命に代えてもお守りします」と答えてくれる。

 「不安だわ」と言えば「大丈夫です。必ず助かります」と力強く応じてくれた。


 吊り橋効果も発揮され、リアーニャ第二王女はシール副団長ラブになったのだ!


 それからはもう、リアーニャ第二王女はシール副団長を追いかけていると言う。シール副団長の心中やいかに!?ではあるが、彼は職務に生き、独身で婚約者もいない。しかも伯爵家の次男。後は当人次第だ。


 とんでもない事件に巻き込まれたものの、リアーニャ第二王女にブルースは、付きまとわれることがなくなった。


 まさに怪我の功名では?


 あとは調査結果が出れば――。


 そう思いながら食後の紅茶とコットンボールというスイーツを楽しんでいた。


 コットンボールは前世の記憶で言うなら、綿菓子にそっくり。

 でも綿菓子はザラメでできているが、このコットンボールは、小麦粉、バター、砂糖、バニラ、レモン風味の塩で作られている。見た目はまさにコットンフラワーを思わせ、繊維が幾重にも重なっているようだ。綿菓子ほど甘くはなく、食べやすい。そして食べ始めると、止まらない……!


 ぱくぱくコットンボールを楽しんでいると、ラーク第二王子が護衛の騎士と共に現れた。


「フォード公爵夫妻、ロイター子爵夫妻、ブルース殿、ミユ殿! お待たせしていた調査結果が出ました!」


 急遽席を用意してもらい、そこに着席したラーク第二王子から話を聞いた結果。


 綿花畑事件で男達が言っていたようなことは、実際に起きていたことが判明した。


 つまり村人を攫うようにしてハッサーク国へ連れてきて、奴隷同然で働かせていたということだ。


 ヒアリングに応じた村人には国へ戻るか、このままハッサーク国に残るか。

 その意志を確認し、どちらを選んでも補償を行うことを決定した。

 さらに不当な労働を強いている領主には、厳罰が科される。そして搾取されている人々を支援する、駆け込み寺のような保護施設を作る方針も決まったという。


「フォード公爵が、調査を力強く主張してくださったおかげで、我が国は間違った道を進まずに済みました。本当にありがとうございます」


 こうして無事、綿花畑事件は、根本的な解決に至る。

 犯人とされた男二人も厳罰に問われることなく、孤児院での奉仕活動三ヵ月で済んだ。

 さらにこの実態を世間に告発するため、行動したこと。それは勇気ある行動と認められ、男爵位が授けられることも決まる。


 保護施設はこの新しい男爵二人により、進められることも決定した。

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