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85話:●●で撃退です!

「ようこそお越しくださいました。フォード公爵夫妻、ロイター子爵夫妻。そしてフォード公爵のご子息であるブルース殿。ロイター子爵のご令嬢であるミユ殿」


 最初はお互いの自己紹介、それが終わると例の第三王子フェリクスのプロポーズ騒動の話に移り、国王陛下夫妻は謝罪することしきり。ここに当事者がいなく、両親が謝罪とは腑に落ちないが、どうも彼らは第三王子を特に可愛がっているようだ。男子の末っ子であることもそうだが、幼い頃、彼は病気がちだったという。過保護に育てた結果、少し我が儘に育ったとのことだが……。


 よそ様の、しかも王族の子育てに口出しなんてできない。国賓待遇で迎え、今もこうして謝罪してくれるのだ。何より今の着地点に尽力してくれたスチュアートを思えば、蒸し返す必要はなし!


 ということでジェラルドも私も。そしてブルースも。

 ロイター子爵夫妻もミユも、謝罪を改めて受け入れ、謁見は無事終了。


 この後、本来の予定では滞在する部屋に案内され、一息つけるはずだったが……。


 昨晩の密入国事件で到着が遅れていた。そのまますぐ昼食会の会場へ移動になった。


 昼食会の会場は、謁見の間とは違い、レーモン王国と似たような造りになっている。

 豪華なシャンデリアがいくつも吊るされ、今の季節は使われていないが、暖炉が二か所に設置されていた。その壁にはハッサーク国の王家の紋章の巨大タペストリーと、初代国王の肖像画がそれぞれ飾られている。


 ワイン色の絨毯はふかふかで、テーブルクロスは真っ白。ただそこに並ぶ花は、レーモン王国では温室でしか見ないような南国の花々だ。


 着席すると、国王夫妻が対面で座り、国王の隣にジェラルド、私、ブルースが座った。王妃の隣にロイター子爵夫妻、ミユ。こうなるとミユとブルースは対面で向き合うことになり、ブルースの隣は……リアーニャ第二王女だ!


 食事が始まるとリアーニャ第二王女はブルースにばかり話しかけ、自身の対面に座る第二王子のラークは無視。第二王子は隣に座るミユに話しかけている。


 第三王子フェリクスは、婚約者のいるミユに平気でプロポーズした。リアーニャ第二王女も、ミユがいるブルースに平気でベタベタしている。これはどういうことなのかしら?


 その答えをくれたのは、第二王子ラーク!


 リアーニャ第二王女がレストルームに立った時に教えてくれたのだ。


「我が国では一夫多妻制が認められています。よって既婚者と関係を持とうと、問題にはならないのです。勿論、レーモン王国などの他国の文化を知る者や一夫一妻制を好む者もいますが、むしろそちらが少数派。その価値観の違いで、フェリクスが本当にご迷惑をおかけしました」


 なるほど。よく理解した。

 第二王子ラークは、あくまで第三王子のフェリクスのこととして話してくれたが、間違いなくこれはリアーニャ第二王女にも当てはまる。


 リアーニャ第二王女は、ブルースがミユと婚約していようが、気にしていないんだわ。


 ジェラルドは様子見と言っていた。でも、大丈夫かしら……?


 そうしている間にも、料理が次々と運ばれてくる。

 ニンニクで炒めた穀物を、ブドウの葉に包んだ料理。

 ニョッキのようなもっちりとした皮に、マトン肉を包んだ水餃子のような料理。

 円形のパン生地に、マトンのひき肉、みじん切りの玉ねぎ、トマト、パプリカが載ったピザのような料理。これは見た目がピザのようだが、チーズは載っていない。味付けは塩胡椒。ちなみに食べる際にレモンを絞るので、さっぱりとして食べやすかった。


 こうして食後はアイスと紅茶でひと段落。


「この後、皆様をお部屋にご案内させますが、よかったら庭園を散歩してみてください。フラミンゴがいる人工池、クジャクの放し飼いをしているエリアもあるので、楽しめますよ」


 国王陛下のこの提案に、皆、「散歩をしよう!」となる。

 だがここは、家族でづらづらではなく、ブルースとミユは二人きりにしてあげたいと思った。それはロイター子爵夫妻も同じ。目配せし、それぞれで庭園を見学しましょうとなったのだけど……。


 いざ、庭園に向かい、移動を開始すると。

 ミユをエスコートするブルースに、リアーニャ第二王女がつきまとう。


「少しは気を遣って欲しいわ、あの王女には」

「ブルースに、自分をエスコートしろと言い出さないだけ、ましと思うしかない」


 ジェラルドと二人、庭園へ向かい、三人の様子を離れた場所から見守る。

 助け舟を出した方がいいかと思案していると。


 放し飼いにしているクジャクが私をつつき、しきりと羽を広げて見せる。


「もうっ、どうして私に!?」


「キャサリン。美しい羽を広げるのは、求愛行動だと聞くぞ。キャサリンのことを気に入ったのでは?」


「えええええっ!」


 パオーンといい、このクジャクといい、なぜ私に絡むの~!


 そうこうしていると、青紫のクレマチスが咲き誇るパーゴラ(藤棚)に三人が向かった。クジャクがついて来るが、ジェラルドと二人、パーゴラと程よい距離の辺りまで移動する。


 すると。


 なんと!


 遂にブルースがハッキリと、ミユの存在をリアーニャ第二王女に伝えたのだ!


「リアーニャ第二王女殿下。僕は約三ヵ月ぶりに婚約者に再会しました。彼女と二人きりで話したいのですが」


「まあ、わたくしが邪魔ですか?」


「邪魔……というわけでありませんが、ミユとは積もる話があるのです。それはミユにとっては新鮮な話でも、第二王女殿下からすると、つまらない話かもしれません。この国で体験して驚いた文化や慣習など、第二王女殿下にとっては、今さらかと思うのではないかと」


 やんわり、リアーニャ第二王女を遠ざけようとしている。

 が、しかし!

 リアーニャ第二王女はかなり図太いようだ。

 普通なら気を遣い、撤退すると思う。それをせずに……。


「そんなことありませんわ。ブルース様のお話ならなんでも聞きたいです、私は」


 これにはミユが驚いているが、私もビックリ……って、もう、クジャクの嘴によるツンツンの方で驚いてしまう。一方のブルースは……。


「いいでしょう。……ではそちらのベンチに座りましょうか」


 ブルースを挟み、左右にそれぞれ座るリアーニャ第二王女とミユ。


 だがブルースの上半身は、ミユの方を向いている。


 その上でブルースは、ハッサーク国の優れた文化、産業などについてミユに聞かせる。すると一切めげることなく、リアーニャ第二王女は、その会話に強引に何度も割り込む。


「ブルース。ハッサーク国の慣習で、何か驚いたことはある?」


 ミユも頑張っている。リアーニャ第二王女が口を挟めないようにと、懸命にブルースに質問をしていた。


「驚いた……そうだね、カルチャーショックを受けたことは何度もあるよ。それはね、ミユ。婚約者がいる相手にも平気で絡んでくることだ。婚約者と甘い時間を過ごしたいのに、平気でその場に居座る。会話に割り込む。これにはもう辟易したよ」


 ブルース!

 それはまさに今のこの状況よね!

 これにはさすがに自身のことだと気が付くリアーニャ第二王女。

 不服そうにむくれた顔になる。

 だがブルースは、リアーニャ第二王女の方を見ようとしない。

 それどころか……。


「だからもう、そこにいても、その存在を気にしないことにした。……ミユ、ずっと会いたかったよ。一日たりとも君を想わない日はなかった」


「ブルース……! 私もずっと、会いたかったわ」


 まあ♡

 二人はすぐ横にリアーニャ第二王女がいるのに。

 キスをしたのだ!


「なんて破廉恥な!」


 リアーニャ第二王女が抗議するが無視。

 「キーッ」と目を吊り上げ、去って行くリアーニャ第二王女。


 これには思わず笑ってしまう。


「なんだか、ブルースは、ジェラルドに似てきた気がします」

「うん? それはこういうことか?」


 ジェラルドの唇が私に重なる。


 パーゴラに咲くクレマチスの花が、優しい風に揺れていた。



 ツン、ツン、ツン。


 うんっ!?

 このクジャック、リアーニャ第二王女みたいだわ!

 もうっ、邪魔しないで!

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