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64話:そう言えばあのお方は自滅です!

「なるほど。一輪の薔薇の意味を思い出せない若造かと思ったが、余計なところで気が回るのだな。その上、明らかにキャサリンに、よからぬ関心を持っているように思える」


 ジェラルドの澄んだ泉のような瞳の奥に、ジリッと浮かび上がる炎。


「ジェラルド、それでね、ダンスが終わっ、!」


「ベッドまで運ぶ。しっかり掴まれ」


 そうよね。あの瞳のジリッは合図だったわよね。

 そのままベッドに運ばれ、ジェラルドの溺愛タイムに突入する。


 ♡ ♡ ♡


 それからしばらくしてから。

 いつもの腕枕ではなく、ジェラルドは私を抱き寄せる。


「キャサリン、冷えるだろう。このままわたしにしっかり抱きつけ」

「……は…いっ」


 まだ息が整わない私を気遣うよう、さらに体が冷えないように。

 毛布をかけると、背中をジェラルドが撫でてくれる。

 それはとても温かい。


「潜入がバレた件。もしあの若造が何か言っても、キャサリンが考えた通りでいいだろう。ブルースの婚約者であるミユを心配したから潜入した。スキー合宿の一件もあり、心配したで押し通せる」


「そうですね。一輪の薔薇を受け取ることになった経緯ですが、最初スチュアートは、私にハンカチを渡そうとしたのです」


「……ハンカチ? 若造のイニシャルや紋章が刺繍されたハンカチか?」


 この世界では、想う相手のイニシャルや紋章を刺繍したハンカチを贈る慣習があった。通常は女性から男性へ。でもその逆がないわけではない。よってジェラルドは確認のため、私に尋ねたわけだ。もしスチュアートのイニシャルや紋章が刺繍されたハンカチだったら……。


 それすなわち、ジェラルドへの宣戦布告に等しい。


 そこで私は「違います!」と言い、青のパンジーが描かれていたと伝える。

 ただイニシャルや紋章ではなくても、青のパンジーでもアウトだと思う。花言葉が「私を想って」「純愛」なのだから。


「なるほど。あの無粋な押し花のカードの贈り主は、若造……スチュアート殿下だったということか。それならば納得だ。王宮の庭園なら、青いパンジーなど当たり前のようにあるはずだ」


 ジェラルドの興味がそちらへ向かってよかった! 「わたしへの宣戦布告か!?」となったら大変なことになっていたと思う。


 代わりにジェラルドは、怒りより、スチュアートの幼さに苦笑している。


「カードでは名乗らず、ハンカチを渡し、自身が送り主だったとサプライズするつもりだったのか」


 とんだサプライズだ。


 愛し合う恋人同士や夫婦なら嬉しいが、あのスチュアートにされると……。まったく意識していない方向から飛んできたボールが、頭に直撃するような衝撃しかない。


「青いパンジーの押し花の件も、これで解決だな。あのムッチリン大使の悪事は、奴の母国に報告させてもらおう」


 女の敵のムッチリンも、これでお終いね。母国で裁判沙汰になれば、強制送還され、その身分と地位も剥奪だろう。


 ムッチリンはこの後、自滅してくれる。


 女の敵は解決。ということで私は、最終的にスチュアートからハンカチを受け取らなかった経緯を、ジェラルドに説明した。


「そのハンカチをスチュアート殿下が取り出した時、青いパンジーの花言葉を思うと、受け取れない!と思ってしまったのです。そこで咄嗟に『東方のハンカチは縁切りのジンクスがあり、贈り物として不適切と思われている』と口にしました。『それを知ってからハンカチが贈られると、気分が悪くなる』と話したのです。そうすることで、ハンカチを贈られないで済むと思って……」


 ジェラルドがぎゅっと私を抱きしめ、額へキスをする。


「東方の国でそんな慣習があるとは知らなかった。キャサリンは物知りだ」


「そんな……」


 当然、前世での知識なので、この大陸で知る人は……いるのかしら?


「あの場でハンカチを受け取らないで済む方法として、その発言が間違っているとは思わない。そこで断られて引き下がらず、薔薇を贈るところが……しつこいな」


 これには思わず苦笑してしまう。


 スチュアートは小説で、束縛系男子だった。そして多分、この世界でもそうなのだろう。束縛と執着しつこいは近い気質に思える。よって既にその片鱗が見え隠れしているのだろう。


「ひとまず国王陛下が殿下に注意を与えている。表立ってキャサリンに何かすることはないだろう。ただあの殿下は策を弄するからな……」


「殿下は吊り橋を克服できたのが、私のおかげだと思っています。その感謝の気持ちを、一時的に変な方向へこじらせただけです。すぐに目が覚めますわ。私のために策なんて、弄しませんよ」


「……キャサリン。君は自分の魅力をよく分かっていないようだ。吊り橋への恐怖心を克服させる。そんなこと咄嗟にできるマダムは、キャサリン以外、わたしは知らない。それにこの美しい髪」


 ジェラルドが髪をひと房とり、キスを落とす。


「思慮深い瞳」


 今度は左右の瞼に順番にキスをする。


「ピンクローズを思わせる頬」


「チュッ」と音を立て、ジェラルドが頬にキスをする。


「この鼻でさえ、愛らしい」


 鼻へのキスは、くすぐったくて笑ってしまう。

 だがジェラルドのキスは続き、それは首筋、鎖骨へと移動していき……。

お読みいただき、ありがとうございます!

完結のお知らせです。


日間ヒューマンドラマ文芸ランキング2位☆感涙(7/20)

『皇妃の夜伽の身代わりに

 ~亡国の王女は仇である皇帝の秘密を知る~』

異世界恋愛の話ですが、心の葛藤をしっかり描いたので

ヒューマンドラマです。


・中盤は怒涛の展開、終盤で全伏線の回収。

・きっちり断罪ざまぁもあり、ハッピーエンド!


16話の公爵令嬢あたりから真骨頂になっていきます。

ぜひ目の肥えた読者様に読んでいただき

率直な感想を聞かせてい欲しい~と切に願っています。


とういうことでページ下部にリンクバナー(4個目)ございますので

何卒よろしくお願いいたします!

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