表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/150

19話:温泉は最高です!

「お父様、お母様、行ってまいります!」


 制服の上に、紺色のダッフルコート。

 マフラーと手袋をつけ、スキー道具一式を馬車に積んだブルースを、笑顔で見送ったジェラルドと私は。


 馬車がエントランスから見えなくなると、大急ぎでそれぞれの部屋に戻る。


 すぐさまウールのロイヤルパープルのドレスに着替え、黒の毛皮のついたフード付きロングケープを羽織る。耳当てと手袋をつけると、従者にトランクを持たせ、エントランスへとんぼ返り。既にジェラルドもそこにいて、シルクハットに厚手のグレーのロングコート、足元は黒革のロングブーツだ。


 エントランスに馬車が入って来ると、従者が次々と屋根にトランクを乗せる。いくつかの荷物は、馬車内に運ぶ。そして自分達も馬車へ乗り込む。


「旦那様、奥様、いってらっしゃいませ」


 ヘッドバトラーを筆頭に、使用人たちが見送りをしてくれる。

 遂に私とジェラルドも、ラヴィークの地に向け、出発だった。


 ラヴィークの地は、王都から一泊して到着となるくらい遠い。だからこそ雪が積もるような山々があり、スキーも楽しめる。ブルース達が宿泊する街の手前で一泊し、ラヴィークの地を目指すことになった。


 バカンスシーズンには、公爵家が所有する別荘に行くが、それはどこも当日中に到達できた。宿泊を伴う移動はこれが初めてで、自ずとワクワクしてしまう。


 馬車は適度な休憩を取る必要があり、そういった休憩所では、ちょっとした軽食なども手に入る。大きな休憩所は、まさに前世の道の駅のようで、土産品なども沢山売っていた。


 ジェラルドと私も、いい大人なのに。

 かなりはしゃいでご当地名物を食べ、地元産のワインを味わった。


 日没前に、予定していた宿場町に到着し、そこで一泊。


 翌朝早くに宿場町を出て、お昼前に、遂にラヴィークの地に到着した。


 馬車の窓からも見えていたが、降りると地面は見えず、広がるのは一面の銀世界。

 つまりは雪でおおわれた山の麓の街だ。

 ここから登山鉄道が走っており、山の頂上近くへ向かう。

 そこがゴールであり、宿泊するロッジ、スキー場、スパ施設などがある。



「遂に着いたな」

「着きましたね!」


 目の前に沢山のロッジが見え、湯煙も見えていた。

 そして王都と変わらないのではという程、沢山の人がいる。

 時間をずらしているので、既にブルース達は、ロッジにチェックインしているはずだ。


「では我々もチェックインしようか」

「そうですね」


 ロッジは沢山見えていたが、実はすべて同じ商会が運営している。

 全部で五つのロッジは、それぞれフロントがあるが、建物同士が連結していたり、渡り廊下でつながり、行き来が可能になっていた。しかも入浴料を別途払いさえすれば、五つのロッジの入浴施設を利用できた。


 生徒達は、ロッジ・ハーモニーとロッジ・クリスタルに滞在している。ブルースとミユが泊まるのは、ロッジ・ハーモニーだった。そしてロッジ・クリスタルは満室だったが、ロッジ・ハーモニーは、最大規模の部屋数。おかげで部屋を押さえることができた。ただ、残されていたのは、スイートルーム! 三階建てのロッジの最上部の部屋で、ベッドルームも三つあった。


「毎晩違う部屋で、キャサリンを抱けるな」


 ジェラルドがそんなことを言うので、私は赤くなるしかない。

 ひとまず二人とも変装をして、ブルース達の様子を見に行くことにした。


 今回、ジェラルドと私が扮するのは、成金男爵夫妻だ。

 私は光沢のある真紅のドレスに白い毛皮のコートをまとい、やたらギラつく宝飾品を身に着けている。

 

 ジェラルドはヒョウ柄のコートを着て、髪はオールバック、付け髭で顎を覆う。


 変装した二人で並んで姿見を見ると……。


 胡散臭そうな成金男爵夫妻が誕生したと思う。


「キャサリンはこんなセクシーなドレスも、似合うのだな。ブルースの社交界デビューの時のドレスは、露出の多さで妖艶だった。でも今日は、体にピタリと吸い付くようなドレスで、バストやウエストが強調され……。他の男に見せたくないな」


「ジェラルド。このドレス姿を見ることができても、肌に触れることができるのは、あなただけです。嫉妬など、不要。行きましょう」


「……なんて甘美な言葉だ! キャサリン、今すぐベッドに押し倒したい」


 ジェラルドを宥め、ロビーに行くと、そこには沢山の生徒の姿が見える。

 今は、ティータイムを過ぎたくらいの時間なので、今日はスキーはなし。

 どうやら夕食までの一時の自由時間を、それぞれが思い思いで過ごしているようだ。


 ブルースとミユ、一緒にいると思いきや……。


「どうやらクラスごとに、スキーのチームがあるようだ。そのチームのメンバーとの行動が、基本のようだな」


 ジェラルドの言葉に「なるほど」となる。ブルースは自身を含めた四人の令息といるが、ミユは……。


 心臓が止まるかと思った。


 ミユが一緒にいるのは、宰相の次男、騎士団長の嫡男、そして……第二王子!


 レーモン王国第二王子スチュアート・コール・レーモン。


 小説では、婚約破棄されたミユにプロポーズする、見た目王子、中身ヤンデレ、実態は束縛系男子だ。


 ブルースがミユを、婚約破棄するはずがない。ゆえにこの第二王子のことは、ノーマークになっていた。


 紅一点でスキーのチームを組んでいる。この采配は、婚約者がいるミユなら、安全と思われたせいではないか。見ると四人で楽しそうに談笑しているが、そこに色恋の気配はないと思えた。


 大丈夫かしら?


 するとそこへ教師が来て、生徒達を食堂へと誘導している。


「わたし達は、部屋に食事が用意される。だがその前に、温かい泉の湯に入ってみるか? 実はファミリー用の貸し切り入浴施設があると聞き、それを押さえてある」


 それは前世で言う家族風呂では!


 え、というか。ジェラルドと二人で入浴するのー!?


「今さら照れる必要はないだろう? それに共に湯に入れる機会など、滅多にないのだから」


 そ、それはそうなのですが……!


 この日、ジェラルドと初めて一緒に、温泉を楽しむことになった(照)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ