【10/1書籍発売記念:特別SS更新】読書の秋
秋といえば、食欲の秋、スポーツの秋、そして……読書の秋!
前世でも私は読書が大好きだった。だからこそ今わの際で自分の一番近くにあった本の世界へ転生できたのかもしれない。
それにしても本というのは本当に不思議だ。
読んで没頭している時間。
私は現代日本ではなく、騎士や貴族がいる異世界でめくるめくロマンスを楽しんだり、ハラハラドキドキ犯人は誰かと探偵気分で謎解きをするのだ。
読み終わった後でも、物語の登場人物たちは頭に残る。
何かピンチの場面でふと考えてしまう。
「あのヒロインだったら、こんな時、どう乗り越えるかな!?」
美味しい和菓子を食べている時。
「推しの彼がこれを食べたら、初めての味にビックリね!」
そんな妄想も広がる。本が見せてくれる世界はネバーエンディングなのだ!
ということで無類の読書好きだった私は読書の秋を迎えるにあたり、みんなに本を一冊選び、プレゼントすることにした。
「お母様、ありがとうございます! これは……えっ、ロマンス小説ですか!?」
ブルースはご機嫌で私から本を受け取ったものの。
それが巷で人気のロマンス小説=恋愛小説なのでビックリしていた。
「ブルース。女心を知るには、これを読むのが一番なのよ。女性というのはね、男性の想像もつかないようところで、ヤキモチを焼いたり、寂しがったりするの。女心を学ぶには女流作家が書いた恋愛小説を読むのが一番! 女性目線で書かれているから、実は男性が読むと役立つ情報が満載なのよ。女性はこんなことをされたら喜ぶのか、って。目から鱗が落ちるになるわよ」
「なるほど! これを読んでおけばミユに余計な心配をかけないで済むし、喜ぶ言動ができるかもしれない、ということですね!」
「そう。参考になると思うわ。それに物語としても普通に面白いから、楽しめると思うの」
これにはブルースは「ありがとうございます!」と素直に喜ぶ。次に本をプレゼントしたのは……。
「ありがとうございます! この本は……」
「これはね、読みながらも目も楽しめるし、ミユの役に立つと思うの」
「……もしかして将来私がお茶会を主催する時、これらの料理やスイーツが参考になるということですか!」
ミユがその愛らしい瞳をキラキラ輝かせる。
「ええ、そうよ。公爵夫人のお茶会は社交界では注目の的よ。この沢山の挿絵付きの料理本は、異国の料理やスイーツばかり集めている。奇をてらいすぎる必要はないわ。でも『まあ、初めて見ますわ』は、『さすが公爵夫人のお茶会ですわね』につながるから、この中で気になる物を見つけ、アレンジして出すといいと思うわ」
「なるほど……! 読んで見るのが楽しみになりました! ありがとうございます!」
大喜びでミユは料理本を抱えて部屋を出て行く。
入れ替わりで部屋に戻って来たモナカにも声をかける。
「モナカ。秋の夜長は読書を楽しむのが一番よ。あなたにはこれを贈るわ」
「! 奥様これは……!」
「先日、舶来品としてリックがくれた刀。モナカにプレゼントしたけど、使い方が分からないわよね? これはジェラルドの商会に頼んで取り寄せてもらったのだけど『一刀流の伝書』と言って、刀の基本となる型・技法、そして心構えについて書かれているの。私が翻訳しておいたわ。分からないところもあったけど、概要は伝わると思うの」
「奥様、わざわざありがとうございます! 剣とも違う、大変美しい武器で、ぜひ使ってみたいと思っていたのです。ですが見よう見まねで振るばかりで……。明日からは手に取り、使いこなせるよう、練習に励みます!」
そう言って『一刀流の伝書』を抱きしめるモナカの瞳には、普段とは違う輝きが宿る。
やっぱりモナカはただの侍女ではないと思うの。いざとなったら武器を扱えるし、この世界のSPみたいだわ。だからこそ、『一刀流の伝書』でこんなに喜べる。
ご機嫌で本を置きに行くため、部屋を退出したモナカに代わり、やって来たのはチャーマン!
「奥様。旦那様が今日は秋晴れで、気温も穏やか。ティータイムはテラス席にしようとのことです」
「そうね。まさに今日は天高く馬肥ゆる秋だわ。ねえ、チャーマン。秋は気候も落ち着いて、本を読むには最適よね」
「ええ、その通りです。奥様」
「秋の読書タイムにこれはどうかしら?」
チャーマンは「!」と私から本を受け取る。
「『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~事件簿シリーズ』、奥様、これはミステリー小説ですね!」
「ええ、そうよ。チャーマンが休憩時間でミステリー小説をよく読んでいると、モナカが教えてくれたの。異国の翻訳された古書よ。きっとまだ読んだことがないと思うの」
「ええ、初めて目にしたタイトルです。ありがとうございます、奥様! 休憩時間の楽しみができました!」
ほくほく笑顔でチャーマンが部屋を出て行く。
こうして身近な人たちに読書の秋をプレゼントしたが……。
「キャサリン」
「ジェラルド!」
美しく紅葉したプラタナスの葉のような色のティーガウンに着替え、私はテラスへ向かった。そこにはティータイムを楽しむために、パールグレーのセットアップをキリッと着こなしたジェラルドが待っていてくれる。
「ジェラルド、あなたにピッタリな面白い本を見つけたの!」
私は笑顔で最愛に本を差し出した――。
お読みいただき、ありがとうございます!
キャサリンがジェラルドに渡した本。
それはどんな本だったのか。
今回は余白を残しました~
そこは読書好きの皆様で、ぜひお好きな本を当てはめていただいてOKです♪
皆様がどんな本にするのか。気になりますね(笑)
ちなみに『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~事件簿シリーズ』は実在します!
このページ下部の上から6個目に目次ページへ遷移するバナーがございます。
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結末を知らずに転生した私は真犯人を見つけられるのか!? [四半期]推理(文芸)2位、よかったらお楽しみくださいませ。
そしてご報告です。
遂に本作が紙書籍となり、10/1から全国で発売となりました!
ここまでこれたのは読者様のおかげです。
ありがとうございます!
なろう版から10万文字以上を新規に書き下ろし、新キャラまで登場。書籍ならではでお楽しみいただけます!
ページ下部にバナーを設置していますので、詳細はそちらをご覧くださいませ~
【速報】商業化3作品目決定
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』
https://ncode.syosetu.com/n8047kv/
こちらの商業電子書籍化が決定いたしました~
ひとえに読者様の応援のおかげです。
本当にありがとうございます☆彡
最後に連載中の作品のご紹介です!
【終わりから始まるハッピーエンド】
『悪役令嬢の決断』
https://ncode.syosetu.com/n1420kr/
└驚きの1話目、2話目からのくすりと笑える展開、その後はコメディで話はどんどん進み――。魔法もない世界で奇跡はどう起きるのか!?
【出会いは偶然、でもこの恋は必然!?】
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』
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└100万PV突破! 本編完結済、一気読みできます!
おまけの物語を更新中~
本を読みながら笑ったり、時にしんみりしたり。
続きが気になり、止まらなくなったり。
そんな読書の旅を長らく楽しむ側でした。
そこからその旅を提供する立場になったわけですが。
読んだ後にほっこりできる。
それをモットーにこれからも書き続けたいな~
よかったらこれからも皆様の読書の旅にお供できたら幸いです。
ということで!
この世界には沢山の本で溢れています。
次の読書の旅へ向かいましょう~
読者様にとって、素敵な旅になりますように☆彡






















































