転生
俺の名前は赤嶺集。とある一般企業で最近チームリーダーに昇格したこのところのごくごく一般の社会人だ。
最近、仕事が忙しく家に帰れず会社で寝泊まりすることが多い。しかしながら今日はいつもより忙しい。ほとんど寝ることができずほぼ4徹で頭がぼーっとする。つまるところ超ブラック企業だ。いくら働き方改革が進んでようと黒いところは黒いのだ。
「リーダー。今日こそ帰れますよね?俺そろそろ限界ですよ。こんな納期で終わるわけないじゃないですか!」
「やるしかない。平田さん、今日はもう帰っていいぞ。あとは俺が巻き取っておくから。あと1徹でもすれば納期に間に合うはずだ」
「リーダー………。あとは頼みます。」
そうしてチームメンバーの平田くんを帰らせてまた仕事を進める。ああなんでこんな企業に入社しちまったんだろう。っとまあこんなことを考える暇あったら仕事しないと。
あれ、PCの画面ってこんなんだっけ?あれ何してるんだっけおれ?あれ、指がなんか変だな。ああ仕事進めないと………っく、なんかふわふわするなぁ。あれ何も見えない………あれ…………これやばいかも。頭も痛い。ああ………。
そうして赤嶺集、30歳、彼は過労死によって命を落とした。
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くはあ、あれPCは?どこだ。くそ、なんか涙出てきた、叫びたい気分だ。あれどこだここ。会社じゃない、というか病院か?
「おぎゃあ、おぎゃあ」
あれ、言葉が、てかおぎゃあ?ん?誰か来た。
「キェールキェール、アークルブリードァレア」
「ビミミーソグラシブルム、ファフェーニアグーバルバラドァレア」
随分と大きな女性と男性だな?しかも何言ってるのかわからない。夢でも見てるのか?作業してるときに寝落ちでもしたのか。ああなんかわけわからん。飯も食べてないからすごくおなかが減ってる。くそー!
「おぎゃあ、おぎゃあ」
すると大きな女性が
「フェニア?キェールキェール、グラグラビィ~ド」
うわ!なんだ!突然成人男性に突然そんなものは近づけるなんて!くっ、ん?あれ意外と性欲が湧かない、でも飛びつきたい。ええい、夢なら何してもええやろ!それ!ん、自然と口が、んん!美味い!体に染み渡る!
「アブソリングーダ、プロメデラドァレガ」
満足満足!ってこんどはなんだ!ちょいちょい持ち上げられたぞって、
「げぷっ」
「キェレラリラ~タ」
背中を叩かれてげっぷなんて、あかさんにでもなった気分だ、というかあかさんなのでは?なんとも不思議な夢だ。ふぁあ~なんか眠くなってきた。夢の中で眠くなるなんておかしな話だぁ………。
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とある王国、屋敷にて
小さなベットの上にはまだ生後間もない男の子がいた。
「おぎゃあ、おぎゃあ」
「よーしよーし、どうしたのかな?」
そのようにしてあやすのはとある王国の貴族のライフロール家、辺境伯の夫人クラリッサ・アイン・ライフロールである。
「僕のかわいいファフェーニア、おなかでもすいたかな?」
そしてこの者はライフロール辺境伯家現当主、クロム・アイン・ライフロールである。
「フェニア?よーしよーしおっぱいですよ~」
「凄いがっつきようだな。これは将来大物になるぞぉ!」
そう、親バカの発揮である。しかしながら二人にとって初めての子供であるためこうなるのは至極当然である。
そうしてどうやら満足したようなのでげっぷをさせる。
「げぷっ」
「はーいよくできました!」
そうしてお腹いっぱいになったからかファフェーニアはスヤスヤと眠りについたようだ。
「あらあら、なんて愛らしいのかしら。私たちの天使」
「寝顔はもっと愛らしいね、ゆっくりお休み私たちの天使」
かくして、赤嶺集は30歳にして過労死により命を落として、新たな世界にて生まれ変わるのであった。まあいわゆる異世界転生である。しかしながら転生したことに彼本人が気が付くのはもう少し時間がたってから気が付くようだが。
過労死、転生、よくある転生物語、今後彼がどうなっていくのか、どんな成長をするのか、どんな仲間と出会い、どんな人生を歩んでいくのか、暖かい目で見守ってほしい。これは転生した彼が異世界で生き抜く姿を描いた物語、まだ先は暗雲に隠されていれどその道は輝かしいものになる願いたい。それでは、お跡がよろしいようで。
©転生世界で生きるために~ファフェーニアの手記~
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