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我が天使降臨


 ニコニコしながら去っていくメロディアとユキヒラ。

 今日は出店していない為、芽依の福袋のみ購入しに来たようだ。

 メロディアたちのように最近芽依たちの出現日時を知っているかのように現れる客が一定数いる。

 何処で調べているのか芽依にはわからないが、固定客がついているのはいい事だと、芽依が頷くと、初期からのお得意様で芽依が1番最初に天使と名ずけたニアが現れた。

 羽をバサリと動かして、光が差し込む。

 キラキラ輝く姿は正しく天使様で、芽依は目が潰れる……と大袈裟に手で覆った。



「……お姉さん? 」


「ああぁぁぁぁ、私の可愛い天使様……」


 素早い速さでニアの前まで行き、両手を広げると、少し思案したニアはチラリとハストゥーレを見てからポフリと芽依の胸に飛び込んだ。


「っ! 今! 今私を見てからご主人様に……っ! 」


「あらぁ……落ち着いてハス君」


「落ち着けません、フェンネル様! 」


 珍しくブースを抜けて芽依の背中側から服の端を優しく掴むハストゥーレ。

 前にニア、後ろにハストゥーレ。

 

「私、死んでもいい……」


『冗談でもやめろ』


「ごめんなさい! でも、ガチ天使がお迎えに来たら私着いていく自信がある! 」


『そんな自信道端の溝にぶん投げろ!! 』


「溝ぉ?! 」


 びっくりして思わず叫ぶ芽依を見上げるニア。

 ん? と首を傾げてから珍しくギュッと抱き着いてきたニアを抱き締め返して真顔でメディトークに言う。


「連れて帰るのならいい? 」


『元いた場所に返してこい! 』


 可愛らしい天使にニヤニヤしながら特別製のニア用ぶどうセットを渡す。

 デカデカとニア用と書かれた袋は他の福袋よりも明らかに大きくてニアは見比べ目を丸くする。


「少年用特別仕様です……あ、ぶどうボールの開発を……」


『しねぇぞ』


「くっ……この世は無常……」


『なんでだよ』


 ぽんぽんと弾む会話を相変わらずの無表情なニアが見ているが、その雰囲気は優しい。

 温泉のお土産もしっかり渡して、他にも他にも……と箱庭を見る芽依を流石に止めたのはニア本人だった。


「お姉さん……貰いすぎ」


「えー、少年の為ならいくらでも貢ぐのに」

 

「メイちゃん、ハス君ダメージ凄いからそこら辺で許してあげてぇ」


「あれ?! 」


 へたりこんでいるハストゥーレを見てびっくりする芽依。

 ニアはそんなハストゥーレを見て無表情ながら勝ち誇った雰囲気に、ハストゥーレは珍しく睨んでいる。


「睨んだ! なにそれ可愛い! ハス君私にも睨んで! 」


「えっ?! 」


『なに言ってんだ……』


 ニアが来る事で、張り合う可愛いハストゥーレが見れる。

 この相乗効果は芽依たちの目も楽しませるもので、家族には見せない姿が見れる貴重な瞬間なのだ。

 



「…………えぇ、ドラムストってどうなってるのさ……」


 初のカテリーデン販売に来た売り子の少年はたじろいでいた。

 はじめてが芽依の隣であるのがもはや不運だろう。

 それなりに販売実績のある人は、客が流れてくるから芽依の隣を狙う売り子は多いが、新人やあまり売れ行きの良くない売り子は芽依の周りを避ける傾向がある。

 各方面に充実している商品が並ぶ芽依に客を奪われるからだ。

 だが、強かに芽依と仲良くなる売り子もいる。


「お、メイじゃねぇか。ラッキー、客寄越せ」


「まぁた遠慮なしに言うねー」


 ギザギザの歯を見せて笑うのは、虎に似た耳と尻尾がある幻獣の売り子だった。

 ちょうど正面のブースが入れ替えでやってきたその幻獣は、ガチャガチャと器具を立てて見やすいように商品を並べていく。

 様々なバンズを売ってるハンバーガーショップで、芽依がハンバーガーを売り出してから堂々とパクって良いか? と聞いてきた人だ。

 笑いながら了承すると、まさかの芽依がその日に売っている数少ない惣菜を買ってバンズに挟み販売するというありえない事をしでかした。

 思わず全員ポカンである。

 しかし、笑いだした芽依が、箱庭からレタスに似た葉物やソース、ハンバーグやコロッケなどを出して様々なハンバーガーを作った。

 そこから何故か仲が良くなった人物、キングストンである。


「おーメイ。海老のなんかねぇか? 」


「海老のなんかってなに? 」


「なんか」


「えー……これは? 海老カツ」


「うめぇの? 」


「ばっか! メディさんが作ってるんだよ、美味しいに決まってるじゃん! キングばーか! 」

 

「うっせ! 寄越せ! 」


 メディトーク付き添いで前のブースに行くと、メディトークと一緒にあれこれと相談して本日の目玉商品を作る。

 口が悪く態度も悪いキングストンだが、何故か人に恵まれる。

 芽依の海老カツに刻んだキャベツやソースを挟み販売すると飛ぶように売れる。

 ロイヤリティで、販売の5パーセントは芽依にくるのだ。ちゃんと海老カツ分だけ。

 元々美味しいハンバーガーを作るキングストンだから、他のも一緒に売れていく。


「いやぁ、メイがいると楽だな」


「ねぇー、言い方! 」


 こうして、新しく来た売り子の心を砕きながら初売りを行った芽依。

 相変わらず完売御礼で、やった! とハストゥーレに抱きつくと嬉しいそうにモジモジしていて可愛いと力の限り抱きしめたのだった。


 

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