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閑話 リンデリント帰還後の身体検査

本日2回目の更新です。

右手首を含み体調確認


 リンデリントから帰ってきてアリステア達に報告を終わらせた後、芽依は部屋に帰る途中に拉致にあった。


「…………そんな、まるで人攫いみたいなやり方しなくても良いのではないですか」


 物凄い勢いで腕を捕まれ引っ張られた芽依は、悲鳴を上げそうになり、腕を掴んだ相手に口を押さえつけられた。

 顔を恐る恐る見ると、意地悪く笑うセルジオがいて、悪戯か!と抑えられ声が出ないが、フガー!フガー!と叫ぶ。


「体を見るぞ」


「む!?」


「魔術の痕跡を右手首にあるからな、確認する」


「………………んむ」


「よし、いくぞ」


 そのまま部屋に連れていかれ、あれよあれよと芽依は服を剥がされた。


「何故!?」


「直接触れる必要があるからだが?」


「手首だけですよね?」


「全部脱がした訳じゃないんだ、騒ぐな」


「………………なんで私が怒られるの?」


 脱がされたとは言っても、外側の1番厚手のワンピースであって、中に重ねて来ている薄い水色のワンピースはそのままだ。

 部屋着のようなそのワンピースも一応下着の1種らしいのだが、部屋着でいいじゃないかの芽依は裸に剥かれた訳でもないからと気にしないことにした。


 ただ、追い剥ぎみたいに脱がされた時の生き生きと楽しそうなセルジオを淀んだ眼差しで見てしまうのは仕方ないだろう。


「…………まず、右手首だな」


「はい」


 一人がけ用椅子に座った芽依の前に片膝をついてしゃがむセルジオは右腕を掴み手首を見た。

 親指で痕跡のある場所を撫で目を瞑ると、芽依には何をしているかわからないが、何かを探っているようだ。

 数分そうしているセルジオはゆっくりと目を開けると、また右手首を見た。


「………………どうですか?」


「魔術のあとは確かにあるが、それが何か悪さをしている訳ではないな。ただ位置情報を習得しようとする様子があるから、早めに剥がしてしまう方がいい」


「位置情報!?なに気持ち悪い……」


「体の確認もする」


「え?」


「魔術を残すのには効率的な場所がある。額、喉、手首、胸、腹、足首。それぞれに強く伝達する機能のある場所。額は体を動かす電波を伝達する頭の1部、喉は音の伝達場所、胸は体を動かす血流を伝達する場所、腹部は魔術の力を集め伝達する最初の場所、手足首は体自体を動かす際たる場所。この場所が狙われやすい。あとは、隠蔽を図るために背中」


 指先で芽依の体をなぞりながら場所を教えるセルジオ。

 その場所は体の維持を司る急所に他ならない。

 比較的安易で狙われやすいのが手首足首や額など外気に晒されている場所や、ドレス着用の際の背中等も直接触れやすい場所は狙われやすいようだ。


「…………誰かに体を触れさせた記憶はあるか?」


「えぇ……?無いですよ。私基本的にメディさん達とか数人としか一緒に居ませんし」


「過去の可能性は少ないしな……そんなわかりやすい場所で付けられたなら、あいつしか出来ない」


「少年ですか?それは無いです…………それに、あの子ならきっと自己申告します」


「…………そうか」


 顎に手を当て考え込むセルジオだが、座る芽依の足を掴み足首の確認、額を見て頷く。


「背中、胸、腹部を見る」


「……………………おおぅ」


 ひくつく顔を見てセルジオが眉をはね上げさせる。


「………………いいのか?知らない間に侵食され他人に操られたり連れ去られる可能性があるかの確認だが」


「すぐ脱ぎます」


「全部脱がんでいい!」


 裸になる勢いの芽依を止めて、キャミソールとホットパンツになった芽依はひざ掛けを掛けられ椅子に座ってい。

 背後に周り、胸元をさらにセルジオのシャツで隠すように持たされ背中の部分をめぐられた。

 魔術陣のない滑らかな肌に指先を触れ目を瞑る セルジオは、また何かを調べているようだ。

 黙って待っていると、指先が触れていた手は前に動き腹部に触れる。

 

 ぬぉ!?と声を上げそうになった芽依は思わず口を抑えた。

 腹部とは言え下側をセルジオの素手が覆うように触れているのだ。

 思わず油断していたお腹に力を込めてへこませるが、ぽにょりとした感触をごまかせる気がしない。


 そして、予想通り手は上に上がり心臓付近に到着する。

 ふにゃりと軽く触れるセルジオの手に眉がよった。

 薄着の体に触れるのだ、芽依だって緊張くらいする。

 キャミソールとブラらしき何かの間にあるセルジオの手は、指先だけが中に侵入し胸に直接触れている。

 なるべく触れないようにするのはセルジオの配慮だろう。


「……………………ふむ」


 するりと手を抜かれ、芽依の服を頭から被せると、芽依はモゾモゾと着替え出した。


「………………どうですか」


「痕跡は右手首だけだな……すぐに痕跡を消す」


 また右手首を捕まれると、今度は体の中を風が吹き抜ける感覚がした。

 フワッと髪が揺れてセルジオを見上げると、静かに手首を見つめている。


「……………………痕跡はごく薄いもので体内体外をわざわざ確認しなくては気付かなかった。戻り呪がある意味いい結果を持ってきたな」


 もう大丈夫だと頷いたセルジオだが、今後も定期的な確認はした方が良いと判断された。

 簡易的には直接肌に触れずとも出来るが体内の奥に住み着き巣を作る場合は触れないと対処が難しいらしい。


 芽依が自分で異変に気付くことが出来るのなら良いのだが、それは難しいからだ。


 メディトークにも簡易的な侵食などの変化を見るよう後日通達がなされた。 


 

 






 

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