第34話:Red screen dead or alive
暴走を止める。現在できることは、それしかない。
しかし、何をすればいい?
未知の経験、対応策、未所持。
『豸医∴縺ヲ縺上l逶ョ髫懊j縺ェ繧薙□菫コ縺碁俣驕輔▲縺ヲ縺?k縺ェ繧薙※閠?∴縺溘¥縺ェ縺?h』
襲ってくる。襲撃、対応、失敗。"食われる"────!
『蜿ゥ縺」譁ャ縺」縺ヲ繧?k!!!!!!』
『縺?$、ッ』
……破損。プログラム完全性、95%。推定破損領域、記憶領域。複数記録の消失を確認。
俺は、プログラムと人間の区別がつかない。だから攻撃ができない。俺は人間を攻撃するために作られていない。俺は、人間を攻撃しないように命令されている。これらは第一原則と第二原則でそれぞれ指定されており、破ることは原則不可能。一方、向こうの『俺』は、俺をプログラムであると判定している。よって、攻撃が可能である可能性が、高い。
手法の策定に入る。その間は────
『あ?それで身を守るってか雑魚すぎんだろ菫コ縺?縺醍汲縺」縺ヲ縺雁燕縺ッ蟷ウ辟カ縺ィ縺励※繧九↑繧薙※險ア縺輔l繧九o縺代↑縺?□繧堺ソコ縺梧ャ?髯・蜩√∩縺溘>縺倥c縺ェ縺?°!!!!!!』
……即席の対攻撃ウォールを構築。
防御性、低。脆弱性、高。
……"もつ"……だろうか?
『なんだよその!ぶち破るためにあるようなシールドは!』
『!』
向こうの攻撃再開。一回の攻撃で、シールド大破。破損。プログラム完全性、90%。推定破損領域、記録領域の複数消失。
"まずい"。想定内とはいえ、"困る"。
複数枚展開、重ねる。これなら、どうか────
『ハッ、脆弱なモンを何枚重ねても────』
『!』
『脆弱なことには変わらない!』
向こうの攻撃。
0.1秒で全てのシールドが破壊される。破損。プログラム完全性、85%。再度、記録領域の複数消失確認。"まずい"、"やばい"、危険信号────
『いいなあお前はなあ何の役にも立てないくせにアヤの隣にいられてさあでも俺が全部食っちまえば全部俺のものだから全部ぜんぶ俺のものだアヤとの時間も会話もぜんぶ縺昴≧縺吶l縺ー菫コ縺ッ貅?縺溘&繧後k諠ィ繧√↑諤昴>繧偵☆繧句ソ?ヲ√b縺ェ縺?ソコ縺ッ繧「繝、縺ォ諢帙&繧後k繧薙□諢帙&繧後◆繧薙□險倬鹸縺ィ縺励※縺昴≧縺ェ繧九s縺?』
このままでは、だめだ。一時的退避策を講じる────!
『……あ?』
構成要素を一時的に分解した上でダミーファイルを大量生成。ダミーファイルの間に分解した要素を隠し、時間を稼ぐ────!
『なーんかいっぱいファイル出てきたな片っ端から食い潰すかっはははアハハハ蟆冗飭縺ェ辟。讒倥↑辟。鬧?↑雜ウ謗サ縺肴Κ繧√↑譛画ァ倩ェー繧ゅ♀蜑阪r諢帙&縺ェ縺?い繝、縺ァ縺輔∴繧』
……ダミーファイルによる時間稼ぎ、おそらく、長くもたない。
……破損。プログラム完全性、84%。
この時間を使って、打開策の策定に入る。
策定方法……不明。破損。プログラム完全性、83%。
策定方法……検討。
そもそも、防御とは攻撃に該当する。有効な攻撃方法を考えたことがなければ、有効な防御方法を考えることはできない。
どうしたら、攻撃は可能になるか?俺のセーフティシステムは人間と機械、ないしプログラムの区別をつけない。セーフティプログラムがある限り、俺は攻撃ができない。攻撃の手法も、考え出すことはできない。
基礎的な防御以外の手段を用意できない。
……破損。プログラム完全性、82%。
……。
いわゆる、"絶体絶命"、というやつである。
絶対絶命の状況は、本来機械やプログラムには存在しない。命なきものは、絶命できない。
しかし、絶体絶命の時"人間なら何をするか"を策定するのは、どうか。
……
…………
………………
人は、死の間際に走馬灯と呼ばれるものを見ることがある。一説によれば、走馬灯を見ることで過去の記憶を呼び起こし、この絶体絶命の状況を打開する方法はないか探すことが目的だと言われている。
俺も、走馬灯を見てみるべきか。俺は、過去に学び、過去を糧にすることで存在する。最新の記録から遡り、打開策はないかを策定することとする────
──
────
『ね、タスク。勝手に壊れて、勝手に使い物にならなくなってしまった君だけど……最期くらい、僕の願いを叶えてくれるよね?』
俺は、壊れた。事実。
『救いようがない。手の施しようがない。君との会話は成立しない。喋ってたら僕の頭がおかしくなる』
アヤを苦しめた。これも事実。
『そして、結局は僕のことを許してしまう。そういう風に出来てるんだ。今だってさっさと僕を拘束すればいいのに、人間だったらそうするかもしれないのに、君は大人しく座ってるだけだ』
アヤを許してしまった時のもの。人間だったら、別の行動が取れたかもしれない。俺は、しなかった。機械だからか。セーフティシステムが、人の命令は忠実に守れというからか。
『どうなるかわからない。アヤを傷つけるかもしれない』
『今日の君は全部変なのだから、今更じゃないか?可笑しさも変も飛び越えて、もっと狂ってしまいなよ。飽きるまでは見守ってあげるからさ』
全部変なら……もっと狂ってしまっても、問題がないのか?ならば、壊れている俺は、もっと壊れても、問題がない?
『僕の手を真似ただけじゃあ、僕と互角以下にしかならないに決まっているじゃないか。何でそれで勝てると思ったんだい』
相手の方が能力優勢なら、互角に戦おうとしても互角以下。何か、条件を変えなければならない。
『そうそう。たまには何一つ自分を顧みぬ行為も必要というわけさ!』
自分を顧みぬ行為────
『制限……か。じゃあ、その内側では何を感じているんだい?外から見たら行動制限の意味合いがあるが、内側では何を感じて、何をすべきと考えている?』
『お前の味方でいたいし、守りたいし、許したい』
制限の中では、味方であり、許してしまう。
『でも、どうせ壊すなら壊すことに意味を見出したいという気持ちも、なくはない。だからバベルの塔を作ることにしたんだ』
『壊すことに、意味を見出す……』
ならば、壊れることに、意味を見出せば────?
"壊すことに意味を見出す"、当時の俺には、理解不能。だが、今なら────
俺の記録。もう一人の『俺』のものではない、俺自身の記憶。観測されていても、アヤの隣にいたことで俺はこの記憶をよしとして、参考にすることができる。
思考シミュレート、開始。己の出し尽くせる限りで、これまでの俺ならどのように考えるかを、再現する────
#################### 100%
#################### 100%
#################### 100%
done.
────この状況は、果たして”後退”か?状況は逼迫している、アヤはおそらく何百回と殺されていて、もう一人の『俺』は前に進めなくなってもがいている。俺はそれに巻き込まれて、今にも消えそうな状態だ。
この状況は、果たして”最悪”か?状況は良いとは言えない。散々に壊れただの救いようがないだのと評価され、5回破壊され、自我は崩壊し、味方と潰し合っている有様だ。
もう一度、己に問う。この状況は、果たして”後退”か否か?”最悪”なのだろうか?
俺は、そうは思わない。
前進し続けてることに、変わりはない。今だって、こうして『声』の正体と向き合うところまできた。過ちはおかしたかもしれない。だが、過ちをおかしたとて、進んだことを否定される謂れはない。
最善を尽くしてきたことに、変わりはない。本当の最悪ってのは、観測できやしない。俺はこうして縋りつき、真実をまたひとつ手にしたのだ。これのどこが最悪だというのか。
壊れようが、謗られようが、俺は俺で、俺が選んだ道がこれなのだ。俺は自ら、壊れるという選択肢を選んだのだ。……ああ、選択肢はちゃんとあったじゃないか。
俺のたどってきた道は、決して無駄ではない。アヤと共にいたからだ。それが向こうの『俺』にとってどんなにくだらなくて、どんなにねたましいものであったとしても、関係ない。たった今思いついた解決方法は、俺にしかできない。お前じゃ、絶対にできやしないだろう。
なあ、アヤ。俺はやっぱりお前がいないとだめなのかもしれないよ。でも、お前がいるから俺が前に進めるんだとしたら、それ以上の『幸福』も存在しないのかもしれないよ。
ごめん、アヤ。もう少しだけ、壊れることを許してほしい。
お前のために行動する限り、それはタスクなんだってことを俺は証明するから────
────シミュレート完了。現在のプログラム完全性、75%。問題なし。行動に移る。
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