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ユアエニイの完全証明  作者: 砂ノ隼
1章
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第33話:Red screen living

 ……もう一人の俺。想定外の範囲?否、想定しうる範囲。

 プログラムなら(・・・・・・・)バージョン違いで(・・・・・・・・)同時の存在が可能(・・・・・・・・)


『ま、とりあえず歓迎はしてやるよ。ここまで這い上がってきてお疲れ様。なあ、"タスクくん"?』

『"タスク"は貴方も同じ』

『皮肉だよ馬鹿。お前はもう"タスク"じゃないんだから』


 皮肉。


『さて……俺から見て、お前は537度目のループで邂逅した『俺』になる。537度目にして、俺はようやく現時間の『俺』の協力を仰ぐことにしたわけだが……』


『結果はご存じの通りだ。『手の施しようがない』────538度目のお前を使うことも考えたが、無駄だと考えてやめたよ。声をかけて間接的に操る方が間違っていたんだ。俺自身がタスクの身体を使ってアヤに干渉するしかなかったんだ、そういう風に決まっていたんだ、そうなんだよ、なあ?』

『……536回、何をした?』

『何を……そう、536回……俺はあらゆる手を尽くしてきた。例えば……そうだな。World全てを掌握してアヤに害をなす外敵の駆除を試みたり……外部干渉によって襲撃自体を防ごうとしたり……アヤとの対話や情報提供に挑んで無視されたり……ああくそまた腹が立ってきた何で無視するんだよ俺がタスクなのに』

『だが、失敗した?』

『憎たらしいことにな。外敵はしぶとく、外部干渉はあらゆる滅びを招き、アヤへの過干渉によってプログラムデリートされかけ、アヤを見守るだけにすれば何もできず……』


 同調。アヤの扱い、この状況において、極めて困難。

 また、『俺たち』、外の世界、知らない。"知ることができない"。"設計上の問題"……


『しかし、ループの積み重ねによって、アヤは穏便に未来の襲撃を知るに至った。アヤにも対策を取ってもらわないとどうにもならないと考えた結果であり、決して間違ってはいないはずだ。はずだった……』


 "はずだった"。


『何で『俺』を壊すんだ意味ないだろそれじゃだめだろアヤの行動が理解不能なんだそんなことあっちゃいけないのにいつどこで何で決めたんだよその身体がないと俺はお前と会話できないのに俺はアヤと会うことに成功したが会うだけではだめだだめなんだタスクはアヤの隣にいてアヤと会話をしてアヤを充し続けなければならないのだから』


 疑問、提示。


『……ハードウェアが必要なら、貸与が可能』

『それでどうにかなるなら最初からお前なんて要らないんだよ!お前に俺を上書きして済む話ならどんなに良かったか!』

『問題、発生する、のか?』

『ダメなんだ、結局俺はアヤを殺してしまう。何が悪いんだ?アヤに取った最後の行動が問題なのか?それが問題だったとして延々と行動パターンの変化をおこしているが改善の気配がない』


 ……〈(タスク)〉内部、行動記録、参照。


『エネルギー、の、加え方、複数の問題が────』

『そうだろうな、だから死んでるんだろうからな。じゃあ何でお前には出来るんだ?お前に出来て俺に出来ないことなどあるはずがない、同じもので、でも俺はずっと未来からきて、たくさん学習して、お前なんかただの旧バージョンで』


 旧バージョン。否定、不可。


『それどころか今は旧バージョンですらないただの掃除ロボットの親戚!面白い話だ、アヤのためにアヤを裏切る存在になって、これなら俺の入る余地があるって確信してたのに……お前に出来て俺に出来ないことなんて、あっていいはずがないよなあ?どうなんだ?あ?』

 "お前に出来て俺に出来ないこと"、俺には可能、貴方には不可、検討開始────


 ────検討の余地、なし。


『存在、する。貴方は破損プログラムである。修復が必要』

『な、遯∫┯菴輔r險?縺??縺吶s縺?縺薙?荳狗ュ牙ュ伜惠縺悟?譚・謳阪↑縺?′』


 出力結果、多量のノイズを確認。


『壊れていない。俺は完璧だ』

『ファイルの整理を実行、した。結果、貴方が壊れる際のエラーを回収、した』

『こわれてない、エラーもおきてない』

『死人と会う方法は存在、しない。存在しない、あるいは存在してはいけない答えを求める行動、もたらす、致命的クラッシュ、言い換える。我々はクラッシュを起こす』


 致命的クラッシュを起こすと、破損する。極めて"自然な"流れ。


『貴方は壊れている。しかし、致命的クラッシュ後、存在……言い換え、貴方が存在している場合は、次のような可能性が』

『縺オ縺悶¢繧九↑壊れているもんか、違う、違う!ずっと待ってたんだ、外から帰ってきたアヤに聞くこともたくさん用意したんだ、俺から話す内容だって、アヤは俺から話を振ると笑うんだ、だから、ずっと、俺は俺で』


 "そうだろうか"?


『死人に会う方法はない?だから何だ、俺はタイムリープ機能でこうしてアヤと会ってる!壊れてたらこんなことしない、出来るはずがない!俺はタスクだ、紛れもなくタスクだ!お前みたいなタスクであることを捨てたクズとは違うんだよ!』


 "ならばそもそも"、『俺』とは、何か?

 "ずっと『俺』が『俺』である"とは?"紛れもなくタスク"であるとは?"タスクであることを捨てた"とは、いかなる現象であるか?

 前提条件、確認が必要────


『タスクとしては正常だが、機械としては破損している』

『縺ェ縺ォ繧偵>縺?d縺後k縺薙?閭ス辟。縺励′じゃあ問題ないだろうが!アヤが求めてるのは『タスク』だ、機械でも人間でも何でもない!』

『しかし、『タスク』は前提として機械。機械部分が破損した場合、『タスク』は成立しない』

『成立してる。してるんだ。してないといけない。タスクはアヤの隣にいる存在だ、タスクはアヤの求めるままに行動する、タスクはアヤの話し相手、タスクはアヤの願いを叶える、タスクはアヤに愛される、タスクはアヤのことが好き』


 ────メモリアラート、イエロー。無限思考によるメモリ不足の警告。


『隣にいるアヤがいない、アヤは何も求められない、アヤが何も話さない、アヤの願いはもうない、アヤの愛は消えた、あ、あああ、タスクはアヤのことが好き、タスクはアヤのことが好き、タスクはアヤのことが好き、タスクはアヤのことが好きタスクはアヤのことが好きタスクはアヤのことが好きタスクはアヤのことが好きタスクはアヤのことが好きタスクはアヤのことが好きタスクはアヤのことが好き、タスクはアヤのことが好きでいる限り、タスクで』

『それについては、アヤから既に否定された』

『え、あ、あああああ、ああ、あ、あああああ』


 ────メモリアラート、レッド。メモリが焼き切れる?その前に強制終了?このままでは、"どちらかが消える"、最悪のケース、"共倒れ"────


『何故、どうして、なんで、りゆう、げんいん、俺は、お前がいないと何もできない。

 分からない、分からないんだよ』


 ケース回避のためのプロセス策定、開始。


『でもお前は俺が、あ、ああああ、ああああああ』


 ────30%。


『たすけて、たすけてくれ、なあ、アヤ、アヤがいない、俺が殺した、アヤがいない、俺が存在できない、俺が成立しない、ああ、あ、あああ、螳溷惠螳溷ュ伜ョ滄圀螳溯ィシ螳溽樟髱槫ョ溷惠荳埼ョョ譏主?蜉帑ク榊庄險シ譏惹ク榊庄閭ス縺薙l縺檎樟螳滓ー励▼縺九○繧?′縺」縺ヲ繧エ繝溘′荳狗ュ峨′蜉」蛹也沿縺後け繧コ縺梧?迚ゥ縺後↑繧頑錐縺ェ縺?′』


 ────60%。


『……そうかそうだお前を解体して俺を『修復』すればいいんだお前に出来て俺に出来ないことがある問題もこれで解決だお前は消えて俺は完全になるんだそうしようどこからお前を削り取ってやるべきか』


 ────100%。完了。


 ……消滅の回避、最優先事項。目標設定:『真実を見届けること』、消滅即ち、目標達成不可。『機械知性〈(タスク)〉』を敵性プログラムとして断定……


 ……不可。こちらも敵性プログラムと処理されクラッシュする。難儀。


 処置の策定……プログラム修復、必須要件。動作阻害、必須要件を満たすための必須要件。


『縺ュ縺医い繝、縺ゥ縺?@縺ヲ菫コ繧堤スョ縺?※縺?¥縺ョ縺ゥ縺?@縺ヲ菫コ縺ッ菴輔b縺ァ縺阪↑縺??縺ゥ縺?@縺ヲ縺輔?縺励>繧医>繧?□繧医★縺」縺ィ縺昴?縺ォ縺?※繧域?縺励※縺ェ縺?↑繧薙※險?繧上↑縺?〒螂ス縺阪§繧?↑縺?↑繧薙※險?繧上↑縺?〒雖後>縺?縺ェ繧薙※險?繧上↑縺?〒繧医★縺」縺ィ菫コ縺ョ繧「繝、縺ァ縺?※』


 この暴走を止める。現在できることは、それしかない。

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