第31話:#622d18
……
gg、gg…………
……
…………
…………gg、g、s、再構築、準備、完了。
progress、1%。
progress、100%。
再構築、完了。経過時間……不明。現在時刻、2049年9月23日6時30分。
……現在地、不明。
??
???
目標設定、1。周辺ファイルを参照し、情報を収集する。
目標設定、2。周辺ファイルの整理整頓。
目標設定、3。現在地、現在状況を把握する。
……弊プログラム、機械知性〈翼〉の動作性の低下、発生中。
周辺に膨大なアイドルファイルを確認。強制終了、整理措置に入る。
整理対象を策定。
【縺雁燕縺ョ鬮ェ繧らカコ鮗励□繧】
【繧イ繝シ繝?縺ォ螟「荳ュ縺ェ縺雁燕縺悟・ス縺】
【縺壹▲縺ィ縺昴?逶ョ繧定ヲ九※縺?◆縺】
発見。
【縺雁燕縺ョ鬮ェ繧らカコ鮗励□繧】、整理開始。
------------------------
「⬛︎⬛︎は俺の髪が好きだけど、自分の髪は好きじゃないのか?」
「なんで?⬜︎⬜︎⬜︎の髪はふわふわさらさらじゃないか。撫でると幸せな気持ちになれる。自分の髪を撫でたところで得られるのは虚無だよ」
「自分の髪がふわふわさらさらだったら良かったと思うことはないのか」
「ないね。だって自分の髪は鏡なしには見られないじゃないか。しかし、君の髪はいつでもどこでも見られる。よって⬜︎⬜︎⬜︎の髪の方が価値は上だよ」
「そういう考え方もあるか」
「そういうことだね。じゃあ君の髪を洗おう」
「なんで???」
「君の髪だって濡れてるんだから洗わないと。あ、大丈夫、風呂場で洗ってあげるから、暑さに弱い君も安心だよ。開放的って、いいものだね」
「いや、それは……大事だけどそこまで問題じゃない。お前が俺の髪を洗うことにびっくりしているというか」
「洗うよ。人生初体験だね。さあさあ座るといい」
「おう、うん。……どんな心変わりがあったんだ?」
「僕の気まぐれゆえの心変わりさ。だから仕方がないことだよ。ぜひとも受け止めてほしいな」
「……はは、気まぐれなら仕方ないな」
「理解が早い同居人で助かるよ。よっと………………髪……濡れると不織布みたいになって気持ち悪いな……」
「開口一番それか……」
「濡れた他人の髪を触ることってあまりなくない?まじまじと見てしまったよ、君のふわふわの髪が濡れるにつれてべちょべちょの塊になっていく様を」
「おう……」
「自分の髪がふわふわさらさらだったらよかったと思うことはないのか?君の質問はこうだった」
「答えを追加しよう。触る時は自分で洗う時がほとんどだからふわさらであっても意味がない。おわり」
「……まあ、見ないし触らないのなら、そうか……」
「残念かい?もしかして、君も僕の頭を撫でたくなってしまったのかな」
「いや、ことあるごとに頭撫でてくるからよほどふわさらに飢えてるのかと……」
「…………っはは!なんだそれ、ずっとそんなことを思いながら頭を撫でられてきたのか?かわいいなあ君は!」
「かわいいの基準がわからないよ」
「君だからいいんだ。君以上にふわふわさらさらなやつがいたとしても撫でようなんてこれっぽっちも思わないさ。感触も大事だけれどね、君に触れることで得られる充足感に比べれば些細なものだよ」
「……こういうことを僕の口から言わせる時点で君はまだまだだね、⬜︎⬜︎⬜︎?」
「……精進する」
------------------------
…………
【お前の髪も綺麗だよ】、終了。
整理完了。
【繧イ繝シ繝?縺ォ螟「荳ュ縺ェ縺雁燕縺悟・ス縺】、整理開始。
------------------------
「ボムマンズで勝つコツは何だ?」
「僕に直接聞くことかな、それ。でもいいよ、勝つコツはね…………とことん性格の悪いヤツになることさ」
「……なるほど。確かにお前は性格が悪いしな」
「えーん初めてそんなこと言われた。傷ついちゃうなあ」
「ごめん。でも……そうなると俺は⬛︎⬛︎にずっと勝てないんじゃないか。お前に対して性格が悪い俺なんて、想像がつかないよ」
「それはそうだ。君が性格悪くなったらほんとに泣いちゃうかも……」
「大丈夫だよ。俺はずっと変わらないから」
「……うん」
「それだと、やっぱりゲームで勝てないことになってしまうけど……⬛︎⬛︎は、どっちがいい?」
「……性格良くてゲームに強い君」
「欲張りだなあ」
「欲張りだよ?君に対してはいくらでもワガママになっちゃうというものさ」
「はは、仕方ないな。じゃあ性格良くてゲームが強くて⬛︎⬛︎のワガママをいくらでも受け止められるやつになるしかないか」
------------------------
…………
【ゲームに夢中なお前が好き】、終了。
整理完了。
【縺壹▲縺ィ縺昴?逶ョ繧定ヲ九※縺?◆縺】、整理開始。
------------------------
「髪を切らないか」
「ぃいー…………」
「何の音だそれは」
「君に髪を切られるのであればやぶさかではないという前提と、同時に髪を切ると視界が変わって毎回調子が狂うからやっぱり嫌で気が進まないが、それでもまあ、切るしかないか……の音」
「⬛︎⬛︎は前髪を伸ばしすぎだし危ない。切る覚悟を決めたほうがいいよ」
「これが意外と見えるものなんだよ。人体の不思議ってやつだね」
「そうか。俺は……⬛︎⬛︎の目がもっとよく見えたらいいな」
「……その心は?」
「⬛︎⬛︎の目は、感情がいつものってて、わかりやすくて、綺麗だからさ。それを少しでも見落とすのはもったいないじゃないか」
「……また君はそういうことを……あーあーあー君のそういうところが本当にずるくて仕方がない。分かったよ。大人しく切られてあげるよ」
「あと、意外と見える、とはいうが、視界に邪魔なものが入っているのは事実だ。転ばないためにも、視界はちゃんと確保しよう」
「……君はねえ、そういうところがねえ」
「……なんかごめん」
------------------------
…………
【ずっとその目を見ていたい】、終了。
整理完了。
周辺整理完了。行動可能範囲、拡張。
これらは、記録?知らない記録、しかし、"知っていなければならないはずの"記録。
……整理対象ファイル策定を再開する。
【縺壹▲縺ィ蠕?▲縺ヲ繧】
------------------------
「⬛︎⬛︎、何が起こってるんだ?さっきのアレは、なんだ?すごい揺れたし、世界が割れたような」
「……」
「なあ、⬛︎⬛︎。俺たちはどこに移動してるんだ?」
「……君はここにいて。絶対に動かないこと。いいね?」
「……⬛︎⬛︎は?⬛︎⬛︎はどこかに行くのか?」
「僕は……僕は、ここを出ていくことになった。君はついていけない。だからここで僕たちの生活は終わりだよ」
「……そうか。それはまたどうしてだ?」
「何と言えばいいのかな。ここに辿り着くまでのつけを払うことになってね」
「俺は一緒じゃなくていいのか?俺がいないといつ死ぬか分からないだろう」
「確かに死んじゃうかもね。でもいいよ。生きようと死のうと、僕からすればこの先大差ないのだから」
「……そっか。いつ帰ってくる?」
「……帰ってこれたらね」
「じゃあ待ってるよ。⬛︎⬛︎がもっと楽しく生活できるように準備しておくから」
「……そう」
「だから待ってるよ。安心してくれ、俺はどこにも行ったりしないから」
「────はは。そうか。うん、せいぜい頑張ればいいんじゃないかな」
────
──
─
よろしければ、ブックマーク、いいね、感想、評価のほどよろしくお願いします。




