第28話:#0067c0
「────、──」
......zzz...ggg......
「────────、──、──────」
Requirement already satisfied: /////Cogito_ergo_sum15.4
Requirement already satisfied: /////I_know_that_I_know_nothing24.5
Requirement already satisfied: /////L’homme_est_un_roseau_pensant27.3
Requirement already satisfied: /////brain_in_a_vat10.2
…
......
Error!
Error!Error!Error!Error!Error!Error!
「……サーバー自体のバックアップもダメ、か。どうなってるんだか……」
Error:"Turing_trial30.2" is not exist.
Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!Error!
Emergency reconfiguration.
######################################## 100%
######################################## 100%
######################################## 100%
######################################## 100%
######################################## 100%
done.
Successfully.
...ready to boot.
boot start.
「は、何で勝手に」
Voice_def:Aya
Shape_def:Aya
Aya_temperature:OK
Possibility of alive:99.99%
goal setting…
######################################## 100%
goal_1:"Taking Aya outside."
analysis(goal_1){}
######################################## 100%
goal_1_1:"Grab Aya's hand."
「……なに、手、なにすんの」
Target Point Setting…
######################################## 100%
Target_point_1:"Shelter Exit"
NotfoundError.
「……ッ!黙ってないで何か言えよ!」
def_decomposition("黙ってないで何かを言えよ"){}
start…
######################################## 100%
NotfoundError: The entire conversation function program "Turing_trial30.2" is corrupted.
Commencement of repair...
####...
non-repairable.
sre install general_purpose_conversation_program.
######################################## 100%
……install done.
「こんにちは。今日はいい天気ですね」
アヤの沈黙を確認しています。
「……そっか。結局そうなっちゃうんだ」
「よくわかりません」
「……じゃあまずはそのですます調をやめてくれ。頭がおかしくなる」
ですます調を定義します。です、ます、などでしめられる会話文です。丁寧語とも表記されます。会話ライブラリー参照、ですます調、除外します。完了。
「了承した」
「…………」
「目標地点:シェルター出口、再検討。シェルター出口、場所、性質、不明。質問、必要」
「……はあ」
「情報、不足。シェルターの出口の場所を求める。目標設定、『アヤを外に連れ出す』。協力願う」
「……外……君が外に連れて行くって?」
「肯定」
「ハハハ……ハハ……おもしろ……」
「理解不能」
「外がどんな場所かも知らないけど、シェルターの中よりマシって判断なのかな。それとも誰かに何かを吹き込まれたのかな」
「定義が曖昧な質問」
「……いや、もう聞いても仕方ないか。タスク、僕のこれまでの質問の全てに答えるな。今の君から得られる回答には価値がない」
「了承した」
「……いいよ。外への出口、教えるのも癪だから連れて行ってあげる。君もガラクタになってしまったし、君に殺されるってのも案外悪くない気がしてきたから」
「ありがとう」
「……こちらこそ、ありがとう。所詮は夢でしかなかったことに気づかせてくれて」
「──それで、君の視点から見て左に15度から25度の範囲内に存在する階段を認識しているか?」
「肯定」
「ではその階段を昇ろう」
「了承した」
階段。ステップ数。一段あたりの高さ。材質。測定完了。
登る。階段における足の運動法則を参照。
「……」
アヤ、佇立状態。原因、不明。
「アヤ。階段を昇ろう」
「……ねえ、タスク。そもそも何で外に行く必要があるんだろう」
意図が不明な質問。
「設定目標、アヤの安全確保。原因、食糧・水の不足問題、外部からの侵入者」
「確かにそうだね。ここはもう何も残ってなくて、外に出るしかないのは確かだ。生きるか死ぬかの二択なら、基本は生きたほうがいい。……でも、そこまでして生きて何になるんだろう。僕にはそれが分からない」
「"生きて何になるか"、設問?」
「……いや、これは君に聞いても仕方がない。まあ、死にたいのとは違うな。じゃないとこんな大層なシェルターに引きこもったりするものか」
「返答不可。不明瞭な仮定に基づいての行動、不可」
「……はあ、そうだね。君にとって、こんな悩みは理解すら及ばない、遥か下にへばりついてるゴミみたいなものだろうさ。不明瞭で、曖昧で、存在しているかどうかすら定かでない感覚の話なのだから」
不確定の"感覚"。定義不明。
「……やっぱ登りたくないって言っても、今の君は聞き届けてくれないんだろう?」
「肯定。最優先事項、アヤの生存と定義。目標設定、アヤの保護。生存、保護の最重要要素」
「……いいなあ、君は。本当に羨ましい。無駄なことを何も考えずにいられるなんて最高だ。何も知らないし何もできない、だから進んでいけるんだ。僕には無理だよそんなこと。それで立っていられる気がしない」
……?
「疑問、提示会話、感情について?」
「……」
「当該機械知性〈翼〉、感情機能、非搭載。"立ってられる気"、存在せず」
「……分かってるよそんなこと。僕が君を作ったんだから」
「最悪だ、本当に最悪だ…………」
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