表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/33

『全国山伝説』(●●出版より)

 名を付けるという行為は非常に重要な意味を持つ。

 この世界に存在するモノは無機物有機物問わず、必ず命名され、命を吹き込まれる。なぜ、人々はモノに名を付けるのか。それは「関心」と「共有」が主な理由として挙げられる。アレは一体なんなのか。アレについて知っている者はいないだろうか。そのような認識を仲間と共有、そして他のモノと区別するために行われる行為が名付けであり、コミュニケーションにおいても非常に重要な意味を持つ。

 日本の山は「城山」「丸山」といったものが非常に多く見られる。これはその名の通り、地方の豪族が城を築いていたり、形状が丸いことから名付けられたりというのが定説である。また、気候、動植物の生息環境、山の色彩から名付けられるのが大まかな山の名の法則だろうか。

 山では春の風物詩として「雪形」が見られることがある。これは春を迎えた雪山の雪が一部融け、露出した岩肌の部分と合わさることで、まるで芸術作品のように様々な模様を描く現象である。この雪形が命名の元になっている山は北アルプスに多く存在し、代表的な例では五竜岳、白馬岳、蝶ヶ岳だ。富山県にある人形山では面白い逸話が残っている。


 昔、山に老婆と二人の娘が暮らしていた。ある日、老婆は女人禁制だった山に入ってしまったために、跳ねた小枝によって目を傷めてしまう。娘たちは山の神に対して祈りを捧げたところ、万病に効く湯に連れていけというお告げがあった。娘たちはそのお告げに従い、老婆を背負って湯に連れて行くと、たちまち彼女の目は治ったという。その後、二人は山頂に神様がいることに気付き、お参りに行ったのだが、下山途中に山が荒れ、老婆の元には戻らなかった。春になり、山の雪が融け始めると、その娘たちが手を繋いでいる姿が見えることから「人形山」と呼ばれるようになった。


 ただ雪形から名付けられるだけではなく、このような民話が残されることこそ、名を与えることによって命が吹き込まれることの証明ではないだろうか。



(中略)



 ●●県にある■■山にも面白い逸話が残っている。この山は古名では●●山と呼ばれており、現在の名とは異なっていた。しかし、ある日、その地区を大きな洪水が襲った。山は水没してしまったのだが、その際に松の木に大きな■が絡まっていたことから、■■■■山と呼ばれ、それが短縮されたことで、■■山と呼ばれるようになった。また、山には非常に多くの■が見られ、その■を捕獲する意味から、■■山と伝えられていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ